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銀河戦記/脈動編  作者: 神崎理恵子
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第七章・会戦 Ⅲ



 戦列艦ペトロパブロフスク艦橋。

「まもなく索敵艦が消息を絶った宙域に入ります」

「カチェーシャ、頼む」

 遠隔透視能力のあるエカテリーナ・メニシコヴァに指示を出す。


「敵艦がいます……こちらに近づいてきます」

「近づいて?」

「はい、まっすぐに」

「向こうの方が先にこちらに気づいたというのか?」

「まさか、この宙域は電離した水素イオンのせいで電波探信儀は使えないはずです」

 レーダー手が疑問を投げかけた。

「敵にも遠隔透視能力を持った者がいるのでしょうか?」

「分からんが……とにかく戦闘配備だ!」

 カチューシャの遠隔透視能力が、Pー300VXを認識できなかったのは何故か?

 VXの搭乗員に対する精神感応ではなく、直接の物体感知なのだろうか。


 やがて有視界に敵艦が入ってきたのを確認した。

「敵は単縦陣で迫ってきます」

「よし、左右に展開しつつ、左翼と右翼を前に出して応戦する」

 いわゆる鶴翼の陣で迎え撃とうという算段のようだ。

 突撃してきた敵軍に対して集中攻撃を加え自軍の被害を抑えることができる陣だ。

「敵艦、隊列を左先梯形陣に移動しています」

「このまま行く! 有視界戦闘である、各砲台は目視で手動で撃て!」

 電磁波レーダーが使用不可であるから、それに連動した兵器も自動攻撃はできないので手動に切り替えが必要だ。

 双方の艦隊が距離を縮めてゆく。

「射程距離まで三十五秒」

 目前に敵艦隊が迫っている。

「砲撃用意!」

 砲台が一斉に敵艦を捕えようと回り始める。


 その時だった。


 眩いばかりの光が艦体を包み込んだ。

 砲台が蒸発するように消えてゆく。

「な、なんだ今の光は?」

「こ、攻撃です! 敵が攻撃してきました」

「馬鹿な! まだこちらの射程外だぞ。敵の射程は我々より長いのか?」

「優に五割は超えるようです」

「このままではやられる一方だ。相手の懐に飛び込むぞ! 機関一杯、全速前進だ!」

 速度を上げて敵艦隊に突撃する。

 鶴翼陣で包囲殲滅しようとしていた隊形が崩れてゆくが、致し方のない所だろう。

「射程内に入りました!」

「よし、撃て! 撃ちまくれ!」

 勇躍として総攻撃を開始する艦隊。

 無数の砲弾が敵艦隊に向かって襲い掛かる。

「着弾します」

 砲弾が炸裂して、辺り一面が硝煙で埋め尽くされ、艦隊の姿もかき消された。

「砲撃中止、様子を見る」

 双眼鏡を覗きながら、敵艦隊のいる場所を注視している。

 やがて硝煙が治まった時、艦隊の姿は消えていた。

「敵がいないぞ!」

「まさか、あれだけの攻撃で消滅するはずがありません」

「しかし、残骸すら消えてなくなったぞ」

 首を傾げていると、艦に大きな衝撃が走った。

「な、なんだ?」

「艦尾に被弾!」

「敵か? 別動隊でもいたのか?」

 艦の周囲を映し出すスクリーンに、次々と被弾していく友軍艦隊の姿があった。そして取り付いて攻撃を加えている敵艦。

「いつの間に、こんなすぐ傍にまで接近されたのか?」

「フラーブルイ撃沈!」

「サラートフ航行不能になりました」

 次々と損害報告が挙げられてゆく。

「砲台がすべて破壊されました!」

「ここまでか……」

「スクリーンを見てください!」

 ミロネンコ司令官が乗員が指さすスクリーンを見ると、並走して進行する敵艦がいた。

「敵艦からと思われる無線が入電していますが……言語が分かりません」

「無線だと? どうせ『直ちに降伏せよ』だろ。聞く耳もたぬわ」

「しかし、このままでは……」

「また、奴隷にされたいのか? 俺達の祖先がされた屈辱は忘れてはならないのだ。砲台が使えないのなら体当たりだ。一対一で当たれば、勝つことはできなくても負けはしない」

 奇形や遺伝子異常、精神薄弱によって虐げられたという記憶が、潜在意識の奥深くまで浸透しているミュータント族。

 人類との和解など眼中になかったのだ。

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