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暗くなりて、散りゆく国の終末。~立体的な視野を持つ~

作者: 清麗 時雨


我が国に強い嫌悪感を抱いている。少なくとも10年前の頃の我が国は嫌悪感を抱く程ではなかった。しかし最近になって、天災や国王の心の移り変わりによって国内の情勢は完全に荒れていた。余は今の国内の情勢になる二、三年前に旅に出ていた余であるためいざ我が国に帰路してこの在り様を目の当たりにして、目を見張った。


そこで余は「何故こんなにも人の心は廃れているのだろうか?また、国王はこのような事態で何をされているのだ?」という疑問が私の脳内を駆け巡った。人の心が廃れてしまった理由は想像も出来ないがとりあえず、国王が何をしているかについてはある程度想像が出来た。雲は今にも落ちてきそうな程に低い位置にあり、黒いクレヨンで塗りつぶしたかのような色をしていた。この光景を見て余はある憶測を立てた。「余がいない間に間違いなく良くないことが起きている。それは恐らく国王の心の持ち様を変え、人々の心を廃れさせた張本人だろう。」そして、その憶測は見事に当たっていた。


国王の住む都では、地の神によって建物が原形をとどめないほどに崩壊していた。唯一国王の屋敷だけは、大地に一棟壮大に構えていた。しかし、都の外でも風の神や、水の神、等によって農作物やら住み処を失った国民が都中に群れている。国王は閉ざしていた口を開いて発したのは、「国のために働け」の一言であった。(この一言は国王にとっては当然のことだろうと思ってはいるだろうが筆者の視点で見ても国民の視点と同じく納得出来るはずもなかった。つまり、国王は安全な国を共に作りあげるために働いて欲しいと伝えるのが本来は正解なのだ。)


今の都には盗人が住み農作物も風の神や水の神等が悪戯をして飢餓による死人も日を重ねていく内に一人から何千人、何万人と増加していき、その死人の多くは都のなかに捨てられ山を形成していた。気味が悪いせいか一年を通して都に近づく者はただの一人としていなかった。そんな中、余は大雨の降る闇深き都に来てしまったのだ。とはいえ、私には家も何もない。あるのは手持ちにランタンと肩掛け鞄の中にある崩れかけたおむすびと竹筒に入った茶そして宿に泊まれるくらいの銭だけだ。しかし、宿に行こうにも、この大雨であれば必ず無傷で宿に着けるという保証はない。また、道中は先の見えない暗闇が続くため、物怪が出るかも知れないと思い余は雨宿りをして仕方なく都で一晩過ごすことにした。


まず、ここで一晩明かす為には寝心地がよく、安全に眠れそうなところを探さなくてはならない。しかし、今の国民の心の乏しさを踏まえ考えると人目のつかぬ場所で一晩過ごす方が安全だろうと考えた余は死人の山の中に隠れるようにして眠ることを選んだのだ。


(余が死人の山の中で眠ることにした理由に関しては言うまでもないが、私たちの思う人目につかないという理由とは大きく異なっている。)


余の他に恐らく私と同じ旅の者であろう者が人目のつくような場所で仰向けにして大の字で寝ていた。すると、次の瞬間、盗人がその旅の者から金目の物を奪い逃亡した。このとき改めて、今の世の中の国民の心が廃れていることを実感出来た。


話は少し飛んで帰路に着いてから半年が経ったある時国の一部の国民が国の復興を目指し都の修復に取りかかったのである。しかし、もとの都は最も盛大に栄えた都だったため今の復興を目指している国民の数では恐らく300年経っても修復は無理なことである。しかし、彼らはそれでも諦めることはなくただ、黙々と作業をするだけであった。


その頃国王は国中に安全な国作りをモットーに国民の力を合わせ、復興を進めて欲しいという旨を広めたが、それは上面だけの話。実際は本人は屋敷があるため国のことなど当にどうでも良いのだ。つまり、国王自体も腐れた心の持ち主なのだ。


時は流れ、五年が経過した頃ついに我が国は飢餓により国民は神々の悪戯が起こる以前に比べ一割程度となり、国から離れてゆく国民ばかりとなった。こうなればもはや国の再建は不可能。こうして、我が国は余の知る当時の国ではなく。酷く錆びれ荒廃した更地のみが残り、面白味もない。私も失望した。誰もが国に失望した。

そして我が国は散ったのだった・・・・・・。


これは恐らく今のコロナ禍でも同じことではないだろうか、今の政府や地方公共団体の長などはコロナによる生活困窮者などを支援する事は出来るであろう。


話はずれるが私は今まで書いた文の中ではほぼ、国王が悪いように考えているかのような文ばかりを書いているが、これをコロナ禍の話で考えると、「感染者が減らないのは全て政府などのせいだ!!」ということなど、私たち国民にだけ非がないような発言をする人が多い。しかし、深く考えて見てください。


政府は未知のウイルスに対抗するために感染対策となるような情報を与えているのだ。もうお分かり戴けたであろう。つまり、政府だけが悪いのではなく、国民が一丸となり協力して感染対策を徹底していくことが大切なのだ。一部の人が感染対策を守らないが為に感染者が増えたりするのでもあるから結局国民全員が素早く政府が提示したことは大切なんだという意識を持つことそれは絶対に忘れてはいけないことである。


しかし、政府の発言を完全に徹底するだけではプログラムされたロボットと同じものである。個々の工夫を凝らすことも生きていることに対する大きな生き甲斐となるであろうし、そのスキルはどんな場面でも大きな力を発揮することであろう。神の下では本来人は皆平等なのだ、つまり偏って悪いという見方をしてはいけないということ。平面で物事を考えるのではなく、多方面から物事を考える。つまり、物事を立体的に考えるということも今の私たちに求められる重要なことではないだろうか。

実際に読んでみて少しでも考えの持ちようが変化することを期待します。あなた自信がこのお話に出てきた廃れた心しか持っていない人にならないよう立体的に物事を考える意識。が大事であるということは忘れないで戴きたい。

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