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59/1994

59_視線も心も奪われる

おはようございます。きんぴらです。


私は視線と心を奪われた。


 これまでにもそういった経験はあった。特に大学の時、好きだった後輩の女の子は、これまでの人生で最も視覚に刺激を受けるほどにかわいかった。アイドルも含めて、これまでに見た女性の中で最も見た目がタイプだった。


 と、女性の話をしたところでなんなのだが、今回私の視線と心を奪ったのは女性ではない。


——『CM』だ。



 ここ最近のCMで最も興味と衝撃を与えられたCMだった。


 後が気になって私はチャンネルを変えることができなかった。


 そのCMはハゼが工場で口をパクパクしてコンベアで流れてくる摩訶不思議なシーンから始まる。


 ハゼは浅い海辺に生息する魚で、体は小さく、チャーミングな顔をしている。白身魚で唐揚げや天婦羅にすると美味しい。


 ハゼは本来口をパクパクして工場を流れているような存在ではない。


 だがそのハゼは工場内をぐるぐると台に乗って流されていく。この段階で私はチャンネルを変えることを忘れてハゼの行く末を見守ることに集中していた。


「このあとどうなるんだ?」


 好奇心に支配されていた。


 結局、なんの変化のないままハゼは機械の上を流れていき、寿司屋の生簀(いけす)に放り込まれる。


……?


 最後におもちゃのフォークリフトがお茶を運んでくる。


 おもちゃのフォークリフトがおちゃ……ふふ。


 こほん。


 『トヨタL&F テレビCM「ハゼの流れ」篇』だ。



 純粋に「すごいなぁ」と感心した。最初は物流のCMとは思わなかった。寿司屋かとは思ったが。


 視聴者に違和感と疑問を持たせて興味を引く。キャッチーだ。最後の最後までなんのCMかわからない。生簀に入った時は「やっぱり寿司のCMか」と思ったが、最後にドンデン返し。


 CMだけでなく、TVも映画もアニメも漫画も小説も、人の気を引けなければ人気は出ない。しかも最初に手に取ってもらうためには如何にファーストタッチの数を増やすかということが重要になってくる。それも人の目にとまる短い時間で。


 音に関してもBGMはない。やかましい音楽やら会話やらのCMから遷移したとき、変な静寂に違和感を覚える。短い時間で多くの情報量を与えようという他のCMの裏を取っているかたちだ。


 そう考えると今回のCMは本当によくできていた。


 非常に勉強になった。


 公式チャンネルからCMも公開されているので気になる人は見て欲しい。『トヨタL&F テレビCM「ハゼの流れ」篇』で検索をかけると出てくる。



 テレビCM一つとってもこれほど勉強できるんだなぁと、クリエイターの方々に感服する毎日だ。世の中にはすごい人がいるものだ。



 さて、私も負けないように今日も頑張ろう。


 皆さんにとっても、今日が良い一日になりますように。



きんぴら




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