46_健康診断(1.裸足)
おはようございます。きんぴらです。
私は健康的な生活。——を、送っているはずだ。
血液検査を3ヶ月に1回ほど行っているが問題があるのは、悪玉コレステロール値が高いことと、肝臓が悪いことくらいだ。健康的な生活を送っているはずなのだが……。
その定期的に行われる血液検査ではなく、年に一回行われる区の健康診断が8月下旬に行われた。私の住む練馬区では、6月頃に健康診断の案内が届いて希望日を返送して、最終の診断日の連絡がある。8月下旬は比較的早めの診断日となる。私はあまり記憶力が良くないので、なるべく忘れる可能性の低い、なるべく早い日を選択するようにしている。もちろんスケジュール表には記載してるので忘れることは少ないがそれでも失念リスクは低いに越したことはない。
そんなこんなで健康診断を受けるために区役所に行った。区役所まで徒歩で行ける距離なのでもちろん徒歩で行く。散歩も兼ねられていい運動にもなるわけだ。夏だから程よい汗をかくのでタオルを持ち歩くと良い。歩くこと20分ほど。汗びっしょり。
「程よい汗はどこへ?」
タオルは持っていなかったがいつも持ち歩くハンドタオルがあるのでそれで汗を拭いて、すぐに診断室に行くのではなく、区役所内で少し涼んだ。
季節は夏真っ只中。
朝から蝉が鳴きっぱなしで、耳で夏を楽しめる。日差しは強くアスファルトで反射した光が少し眩しい。緑が年中で最も緑に色付いている。夏だなぁと感じているとほどよく熱が冷めてきた。区役所の階段を上って、診断室に行った。
診断室では入室前に簡単なヒアリングがあった。コロナ対策の一環だろう。その確認内容はと……多い! 非常に多かった。A4用紙サイズに5mm程度の文字で5~6個の確認項目があった。入り口前に立っている……あれは区の職員さんなのだろうか? それとも医療関係者の方? その人が手に持って確認事項の板を見せてくるのだが私が読み終える前に、
「問題なければこちらでスリッパに履き替えてください」
と言いながら板を引き下げて靴箱に案内しようとした。私は「ちょいちょい」と言ってその板を受け取り、全部の項目を確認した。もちろん該当項目はなかったが、確認が形骸化していると思った。もちろんコロナの症状があるような人は健康診断に来ないだろう。もし来たとしても、その場で該当してるんで帰りますとはならない(何しに来たん?となるから)。
「該当してますか?」
「してません」
それを聞くだけの作業になってしまっていた。1日何百人と訪れて、同じやり取りを繰り返すのだから、怠惰になってしまう気持ちもわからないではないが、だとするとその確認の意味がなんなのか今一度考えてみて欲しいと思う。「何でこの作業やってんだっけ」と。
さて、長い前置きをした。これまでのエッセイ至上最長の前置きだと思う。サクッと読めるように書いてるエッセイのはずなのに。
私はその該当項目がなかったので靴箱に案内されたのだが、そこで大失敗に気づいた。
季節は夏——。歴代最高気温を叩き出すような猛暑日が続く夏だ。人間は汗を流し、喉を枯らす。地面は蒸気を発すほど熱せられ、陽炎を引き起こす。それゆえに人間は涼しい服装を欲するようになる。生地は薄くなり、袖や丈は短くなっていき、無駄な装飾品はなるべくつけないようになっていくのだ。
そう、それが故の弊害。涼しい服装をすることで一つだけ問題があった。普段はないが、今日はそういう日だ。考えが甘かった。日頃から注意深くしておくべきだった。何をしているのだ、私は——。
反省してももう遅い。
私はクロックスを履いていた。
マジでありえない。裸足だ、裸足。マジでありえない。裸足で病院のスリッパ(場所は区役所だけど、やってることは病院と同じなので)を履くとかマジで意味がわからない。私はその靴箱の前で5秒ほどフリーズした。
——帰って靴下を履いて来るべきか?
「いや、時間も指定されている。間に合わない」
——スリッパを履かずに検診を受けるか?
「いや、それはもっと嫌だ。スリッパの底に足をつけて歩いているようなものだ」
——スリッパを我慢して履くか?
「……そうしよう」
これまで何度か書いているが、私は潔癖症ではないものの、きれい好きだ。そしてパーソナルスペースが異常に広い。人との物理的な接触をめちゃくちゃ嫌う。そんな人間にとって、誰が履いたかもわからないスリッパを裸足で履くなど、かんっがえられなかった。だが、今日は履くしかない。履いたが……蕁麻疹が出るかと思った。
そしてもう一つ。私が裸足で履いたことで、周りの人が嫌な思いをすると思ったからだ。気にしない人もいると思うが、裸足でスリッパを履いているのを見ると、
「え? もしかして俺が履いているスリッパも前のやつが裸足で履いていたかもしれない」
との思考が芽生え、急にスリッパを脱ぎたくなってしまうのではないかという懸念がある。それはもうその人にとってはストレスでしかない。そうした気持ちを持たせてしまうかもしれないという状況に、本当に申し訳ないと思ってしまった。この場(どんな場!)を借りてお詫びしたいと思う。
「本当に申し訳ございませんでした」
さて、健康診断でいくつかわかったことがあるので、それは次のエッセイ(日記)にて公開する。とりあえず、今日何が言いたかったかというと『健康診断や病院に行く時、それに関わらずスリッパに履き替える可能性がある時は、必ず靴下を履いていけ』という注意喚起に他ならない。
みなさんは普段から靴下を履いているだろうか。でも暑いから靴下を履かずに済むなら履かずに過ごしたいだろうと思う。でも、『履かなければならないとき』というのがやってくるのだ。『男には戦わねばならぬとき』があるのと同じように。
その『とき』を見極めて、適切に靴下を装備しよう。
PS 私は水虫ではない。
きんぴら




