19_ 髭
おはようございます。きんぴらです。
私は髭を抜く。
人間……特に男性ホルモンが多い人は体毛が濃くなると言われています。さらに男性ホルモンが多いと体毛が濃くなり、頭髪が薄くなっていくらしい。
私の個人的特徴として、すね毛はそれなりに生えているが、胸毛、腕毛に関しては『皆無』に近い。目を凝らすと短く薄いうぶ毛が見える程度。ということはおそらく男性ホルモンが比較的少ないのだろうと思う。
そうならば頭髪は比較的長生きしてくれるはず……と信じて次の話に移る。
髭に関しても体毛同様ひどく薄いし少ない。
小学校の頃に、『髭は剃ったら青くなるらしい』と聞いた。私はその頃は髭を剃るどころか全く生えていなかったので気にも留めなかった。
が、中学生の頃に少しだけ生えてきているのを感じてどうしようかと悩んだことがある。
それは本当に薄くて短いのがちらほら生えているだけ。この頃にはがっつり髭が生えてて毎日剃っている猛者(?)も友人の中にはいた。剃るべきか、剃らないべきか……私はそこで剃らないという決断をした。
そして生えているのか生えていないのか、本当にわからないレベルの髭を引っさげて高校に進学。
そして高校入学してしばらく経って、初めて少し目立つ髭が生えてきた。
——これは確かに髭だ。
そう確信に足る髭だった。
さてどうしよう。目立つからやっぱり剃ったほうがいいのだろうが……昔聞いたあのセリフが気になる。青髭は望んでいない。ONE PIECEの新キャラに採用されるなら考えても良いが、そうでもなければ青髭に何のメリットも感じない。
となれば、青髭リスクを逃れるために剃らないという結論になる。だが、そのままではその一本だけが浮いて目立つのだ。
出した答えは明確。『抜く』だ。
私は毛抜きでその頑張って生えてきたであろう濃いめの一本の髭を容赦なくぶち抜いた。
——すまない——
ゴミ箱にすてた。
さて、それからという者、濃い髭は高校の頃から徐々に増え始め今では薄いのもまとめて1週間に一回程度抜くようにしている。1週間も経つと目立つ髭が15本ほど生えそろうのだ。
別にダンディな髭を生やそうとも思っていないので、私にとっては都合の良い体質だ。
ダンディになりたい人からしたらコンプレックスになりそうだが。
で、そんなちょくちょく髭を抜いている私だが、ある日とてつもないものを目にした。
鏡に向かって髭を抜いていると、何やら首のあたりに細い毛がついている。「髪の毛か?」とそれを掴んでびっくりした。顎の下から生えた『髭』だったのだ。
長い乳毛が生えている人も見たことある。
髭が長い人も見たことある。
だが、一本の薄い髭がここまで長く伸びていることに驚いた。そもそも髭自体あまり生えないはずの自分の体から——
引っ張ると顎の下の肉が引っ張られて動く。
当たり前のことだが、少し楽しかった。
だが次の瞬間私は躊躇いなく抜いてゴミ箱に捨てた。
私に髭は必要ない。そう言い捨てて——。
髭が好きな人もいれば、嫌いな人もいる。
髭が似合う人もいれば、そうでない人もいる。
でも、そもそも髭が生えない人だっているのだ。
選択肢があるって、大切。
きんぴら