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120_快晴

おはようございます。きんぴらです。


今日は11月16日。月曜日だ。


 今日も元気に新宿を歩いている。今日はあまり寒くない。昨日までの反省を活かしてマフラーは自宅待機とした。コートだけでちょうどいい。


 今日も東京は快晴。最近は晴ればかりだ。少しばかり雨が恋しくなってくる。たまには降ってくれてもいいのだ。



 そんなことを考えながら歩いていると路地の低い塀に腰掛けておにぎりを食べているおばあちゃんがいた。


 家で食べたらいいのに。


 そんなことを思っていた。


 この時私は気づいていなかった。自分の浅はかさに……



  このおばあちゃんを私はもう何度も見ている。私は規則正しい生活をしているのでその路地を通るのは7時10分くらいだ。居ないことも稀にあるがここ最近はその時間、毎日おばあちゃんは塀に腰掛けておにぎりを召し上がっている。


 年齢は70くらいだろうか。座っているから身長はよくわからないが私の肩ほどまでしかないだろう。150センチくらいか。しわくちゃな顔で真っ直ぐ前を向いておにぎりを頬張っている。


 未亡人で朝食を一人で食べるのが寂しくて外で食べているのだろうか。


 DVか何かを受けているのだろうか。


 実はホームレスなのだろうか。


 老人が一人で外で朝食を摂っている。その光景が私に連想させるものはマイナスイメージばかりだった。


 目撃する度に違う想像を掻き立てられる。


 何で一人で外でご飯なんか……


 今日もそう思っていた。


 だが、そのおばあちゃんを眺めていつもより早く前を向いて衝撃を受けた。その光景に。


 巨大なビルが聳え立つ大都会新宿。


 そのビルの隙間を綺麗に躱して私の目に飛び込んできたのは朝日だった。


 思わず目を顰めた。


 朝の光はもう目覚めて1時間以上経過している私の目に、先ほどまでの愚かな考えを改めろと言うかの如く強烈な光を浴びせる。


 ……


 すごかった。新宿で朝日を拝めるだなんて。それもビルが無造作に立ち並ぶ中、あれほど綺麗にビルの隙間を太陽が登るなど。


 私は気づいた。ここ最近は毎日おばあちゃんを見る。ここ最近はずっと快晴。そしておばあちゃんの座っていた位置。


 点と点が線で結ばれていく。


 なるほど……


 おばあちゃんは毎日、あの美しい光景を眺めながら1日のスタートを切っていたのだ。


 マイナスイメージばかり浮かべていた自分が恥ずかしくなる。毎日、そこにいる理由をもっと本気で俯瞰的に、かつ様々なケースで考えるべきだった。狭い視野でマイナスイメージに囚われていた自分の浅はかさに嫌気がさす。


 あのおばあちゃんはとても素敵な朝のルーティンを持っている方だったのだ。


 私も見習おう。


 冒頭に『少しばかり雨が恋しくなってくる。たまには降ってくれてもいいのだ』と言ったが、取り消そう。


 あと数日、快晴が続きますように。


きんぴら






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