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《最強》になりえない彼が、《最恐》と呼ばれる理由  作者: 岡部雷
四則計算ができれば、日常生活に不便はない。
53/115

「明日やろう」は絶対やらない。

冒頭1000文字はすっ飛ばしても大丈夫です。

 カリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリ――――














「うがあああああああああああぁぁっ!?」



 なんだろう。いつもの3割くらいを無駄にした気分だ。何の3割かは知らないけど。

 目覚めた瞬間に感じたのは、空腹時の気持ち悪さと、筋肉痛と倦怠感。あとトイレに行きたい。

 悲鳴と共に飛び起きた俺の目の前には、なぜかページが真っ黒に塗りつぶされたノートが。なんじゃこりゃ?



「ひいいいっ!?」



 俺はノートを放り投げてしまう。

 ページが黒いんじゃない。隙間なく文字が書かれていてそのせいで黒く見えたのだ。

 だがもっと恐ろしいのは、それが明らかに()が書いた文字だということだ。自分が書いた文字くらいは見分けはつく。

 だけど普段はこんなノートの書き方はしない。せいぜい黒板に書かれた内容をなんとか写す程度のものだ。

 見やすさは上手な人と比べたら悪いとは思うが、こんなふうに文字をギチギチに詰め込んだような書き方はしない。

 しかもよく見たらなぜか画数が異様に多い漢字ばかりだ。これ、旧字体じゃないか? テスト勉強ほったらかしにしてこんなことやってたのか? 俺はバカか?


 周りを見回しても、俺以外に人がいる様子はない。

 今日はいつだ? ここにきてようやく、俺は自室にいないことを知った。いや、思い出したと言うべきか。

 確か、金曜日の放課後、「中間テストに向けて勉強会をしよう」という誰かの提案で、図書館を使っていたはずだ。

 俺は端末を探す。日付を確認すると、月曜日の午前6時。あと2時間もすれば授業が始まる。テストが火曜日からで良かった。何を勉強したのか全く覚えていない。



 いや良いわけあるかぁ!



 まずおかしい部分として、図書館はいつも夕方5時半には閉館する。追い出されもしないでここで朝を迎えているのは不自然だ。

 そして勉強している間の記憶が一切ない。図書館に入ったまでは覚えているのだが、そこから先が曖昧なのだ。

 確か手始めに――――



「やっと起きたか、クソガキ。その様子だと、罰はきっちりこなしたみたいだな」



 老齢の男性が入り口から入ってきた。かなりお怒りのようだ。

 だが記憶がない。何か失礼なことでもしたのだろうか?



「『身に覚えがない』って顔してるな。そりゃそうだ。俺を怒らせたのはおまえの連れどもだよ」



 連れ?

 そう言えば、一緒にいたはずの友人たちがいない。荷物はそのままに、姿だけが忽然と消え去っていた。



「おまえはまだ軽い方だぞ。他の連中には溜まりに溜まった書庫整理をこの土日の間ずっとやらせたからな」



 男の人の後ろから、目の焦点があってない同級生たちがぞろぞろと歩いてきた。うちのクラスの男子ほぼ全員だ。

 いないのは伊藤と太一くらい。太一は二瓶さんと一緒に勉強すると言ってたし、伊藤は確か倉橋先輩に呼び出されていたはずだ。

 タイミング良いなあ、二人とも。



「ほれ」



 男性が手を叩くと、まるで催眠術が解けたかのように皆の統一された動きが崩れた。

 途端に、若い男子の悲鳴が図書館に響いた。



「図書館で飲食なんぞした罰だ。ダチの警告に耳貸さねえからだ。テストがどうなろうと、俺は一切の責任は取らん」



 あー、何となく思い出してきた。


 確か、小腹をすかせた数人がどこぞでおにぎりやらハンバーガーやらを仕入れてきて、図書館で食べ始めたのだ。

 その時に俺は「図書館で飲み食いはダメじゃね?」と言ったのだ。だが俺以外のみんなは、大人がいないのを良いことにそのまま食べ続けていたのだ。いくら言っても聞かないので、俺は諦めて自分の勉強に戻った。それから頭を覆うヘルメットのように能力を展開して無音の中で勉強していた。5分で自動的に切れる上に、再発動まで1分かかるのが少し面倒だったが。

 しばらくして丁度能力が切れたタイミングで、俺の背後に不穏な空気を感じた。それが意識を失う前の最後の記憶だ。



「悪いがあんちゃん、このカスどものやってることを黙認した時点であんたも同罪だ。せめて俺が着くまで説得を続けていたら、あんたのことは見逃すつもりでいたんだがな。とりあえずこれで懲罰は終わりだ。さっさと出ていけ。あと、あんちゃん以外のてめえらは、今後図書館への出入りを禁止する。もし破ったら、今度はぶっ倒れるまでこき使うからな」



 俺たちは疲労で思うように動かない体を引きずりながら、図書館を後にするのだった。



 ◆◆◆



「図書館で飲食? ダメに決まってんだろ。誰相手にしてるか分かってるのか?」



 俺から詳細を聞いた太一は震え上がっていた。



「何……? そんなにヤバイのか?」



 登校してから少し机で仮眠をとった。お腹は空いているし(トイレはなんとか間に合った)、眠気だって完全には取れていない。しかもまともに勉強すらできていない。こんな状態で明日からテスト。最悪としか言いようがない。



「それ、司書の大平先生だよ。《伝達操作》の能力者だって話は聞いてたけど。ほら、入学式の事件の時、先生が操られていただろ? それをやったのが《伝達操作》だよ」



 言われなくても分かってる、と返事する気力すら湧いてこない。

 能力が使えない1分の間に相手の能力を食らったのだ。これでは自慢の異能力も全く役に立たない。

 もう時計が8時になろうとしていた。今日の授業、大丈夫かな。


 一部男子は小宮山先生に抗議したが、



「図書館での飲食は厳禁だ。それを破ったおまえらが悪い。榎本に関してはさすがにとばっちりだが、おまえらが抗議できる権利はない」



 と、バッサリ切り捨てられた。

 確かに、図書館の入り口には飲食は現金、端末はマナーモードもしくはイヤホン使用が義務と書かれており、一度でも破れば出禁処分が下る旨が太字になっていた。


 ああ、こんな滑り出しで大丈夫かしら。



 ◆◆◆



 家に帰ったらまたバッタリと倒れるように眠ってしまい、結局ほとんど勉強することなくテスト当日を迎えてしまった。


 唯一の救いは、俺たちは序盤にトラブルがあったため、テストの範囲が大分狭かったことだ。筆記は大体を勘で処理した。

 問題はこの後だ。


 異能力の実技テスト。入学して1ヶ月やそこらでどうにかなるものではないと思うのだが、学校側は強行するつもりらしい。

 1年生全員がジャージに着替えてグラウンドに集合する。


 が、ここで最悪の人物に遭遇した。

 なぜかグラウンドに例の大平先生がいるのだ。うわー、嫌な予感。


 整列が終わると、学年主任が拡声器のスイッチを入れた。



「今回の異能力テストは、この大平先生が担当されます。皆さん、先生の言うことをちゃんと聞いてくださいね!」



 うちのクラスのせいだろうなぁ。自分も含めだけど。

 大平先生は拡声器を受け取ると



「えー、今から一人一人に、単語が書かれた紙を渡します。これは一連の文を千切ったものです。元の文章は場所を示すものであり、そこにテストの合格証が隠されています。では頑張ってください」



 それだけ言うと、憮然とした表情で拡声器を主任に突き返した。


 説明がかなり足りない気がするが要は「グループになれ」、ということか。

 先生たちが配る紙は、本当に手で千切ったものだった。逆に言えば、パズルのように組み合わせていけば文章が出来上がる仕組みだ。



 ――――て。



「これ緩くない?」



 太一の顔に疑問が浮かんでいた。

 おそらく、合格証が隠されている場所は複数あるのだろうが、それぞれの生徒が持つ単語は一つだけ。ここからまず〈文〉を作って、さらにそこから繋げて〈文章〉にする。

 宝探しゲームと要領は同じだ。


 これ、単純なうえに能力関係なくない?

どうやって異能力を使えというのでしょう?





面白いな、続きが気になると思ったらブクマ登録を是非。

ストーリーや文章評価、感想などもお待ちしてます!




諸事情により、次回投稿は10月16日です。

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