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ミッドガーデンの神プレイヤー ― 無課金の俺が伝説の救世主になるまでの軌跡 ―  作者: まさな
第六章 変わりゆく世界

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第三話 宮廷舞踏会

2017/5/27 誤字修正。

 ダークセイン帝国の皇城の大広間では色とりどりの華やかなドレスを着た貴婦人達が和やかに談笑していた。

 うちのパーティーメンバーも全員、ドレスを着用済みだ。


 ユキは胸の谷間が見える大人びた群青のドレス。

 小雪はピンクの可愛らしいドレス。背中に大きなリボンが結んである。 

 ナツキは赤の動きやすそうなドレス。裾がミニだ。

 ミホは明るい緑のドレス。ちょっといつもと雰囲気が違う。


「こっち見ないで」


 眺めているとユキが俺に剣を突きつけてきた。マジ勘弁。


「ええ? お姉、せっかく綺麗なドレス着てるのに」


 そう言った小雪は全然平気そうなのに…。ま、露出度が違うか。


「さすがにこういうのは見られるとちょっと恥ずかしいな…」


 ナツキも照れくさそうにしている。


「いやっ、何も言わなくていいっス! 言わないで欲しいっス!」


 ミホも苦手らしい。


「いや、普通にみんな、似合ってると思うがな…」


 俺が言うと、みんな困った顔をして目をそらした。


「ありがとー、お兄ちゃん」


 小雪だけが普通にお礼を言ってくれる。


「あ、始まったみたいっス」


 優雅なクラシックが流れ始め、貴族達がパートナーと一礼して踊り始めた。


「お兄、ボクらも踊ろうよ」


 小雪が手を引っ張って来るので俺は慌てて首を横に振る。


「いや、無理無理」


「えー、つまんない」


「では、お嬢さん、私といかがですかな」


 NPCの老貴族が誘ってきた。


「じゃ、お願いしまーす」


 小雪は躊躇せずに手をつないで踊り始めてしまった。まあいいか。

 俺は、踊らずに隣で眺めているだけのユキに聞く。


「ユキはソードダンサーだろ? それらしいスキル、持ってるんじゃないのか?」


「あるけど、踊らないわよ。それより、あなた、何しに来たか忘れてないでしょうね?」


「もちろんだよ」


 貴族達のステップを眺めつつ、俺は〈黒き魔女〉の姿を探す。 

 彼女はすぐに見つかった。

 プレイヤーを示す、青のカーソル。

 参加しているプレイヤーはごくわずかだ。

 その中で黒いウイッチの格好をしているプレイヤーが一人だけいて、彼女が微笑みながらこちらに向かって歩いてくる。

 彼女で間違いないだろう。



「あなたたちが私が(・・)招待した(・・・・)というパーティーさんね?」


 俺はがっかりしたが、顔も声も母さんとは違っていた。まあ、そりゃそうだな。

 たまたま名前が一致しただけのようだ。

 赤いロングヘアの彼女は、魔女の服装のせいか艶めかしく見える。

 おっと、謝っておくか。


「ええ、勝手に名前を使わせてもらってすみません」


「別に良いわ。私もあなたには会っておきたかったし。蒼星のリュート君」


 蒼星騎士団に所属しているから、蒼星か。

 ふと、この世界の青い月がアルタイルと呼ばれていることを思い出したが、まあいい。


 〈黒き魔女〉とNPCから呼ばれる彼女は周囲の貴族にも聞かせるつもりなのか、大きな声を出し、芝居じみた感じで両手を広げた。


「記録的な低レベルでボスを倒し、あの剛破のアルデバランを破り、生産クラン戦でもトップを取った。今、掲示板はあなたの噂で持ちきりだもの」


「そうなんですか? クラン戦の後、あんまり掲示板は見てないので」


 俺は肩を軽くすくめる。


「ふふ、それがいいかもね。大半はやっかみやPKの相談よ」


「はあ」


 その割にはPKはあんまり仕掛けられていない気がするな。


「あなたの高レベルのスキル、教えてくれない?」


 軽く聞かれたが、教えるつもりは俺には無かった。

 沙耶さんからもアドバイスを受けている。初対面のこのプレイヤーが、いつ俺にデュエルを申し込んだり、フィールドでPKしてくるかも分からないのだ。


「すみません、それはちょっと。一番育ってるのがレベル3の【舌先三寸】ですけど」


 どうでもいいスキルなのでそれは教えておく。


「ええ? まあ、そう簡単に手の内を晒すような間抜けなら今の地位にはいないでしょうし。聞いても無駄かしらね。聖騎士ミルフィーユは今日は来ていないのかしら?」


 〈黒き魔女〉が言う地位がどのようなものか俺にはよく分からなかったが、多少は羨ましがられているようだ。


「今日は来てませんね」


「そう。ああ、所持スキルを教えてもらったお礼に、私の得意スキルも教えてあげる。【予知】よ」


「ふうん? どんなスキルなんですか?」


「文字通り、この世界の未来が見えるわ。ふふ」


 本当かなあ。天気くらいは分かるかもしれないが。


「信じてないみたいね。いいわ。聞け! 皆の者よ!」


 〈黒き魔女〉が大きな声を出すと、演奏が止まり、貴族達が何事かとこちらを見た。


「たった今、ここに三つの啓示があった! すべて神の言葉である、心して聞くが良い!」


 すると貴族達が一斉に跪く。彼女は跪いた貴族達を見回して満足そうな笑みを浮かべると、最後に俺を見た。


「一つ! 新たなる神が降臨し、世界は混沌の渦に巻かれゆくものなり。十二人の天使によって古き神は服従を強いられ、氷の国より死者を蘇らせるであろう!」


「「「おお」」」


 貴族達がどよめいたが、これ適当に言っただけじゃないのか。死者と言っても冒険者は前から復活するしなぁ。

 曖昧に言って解釈の幅を広げて何にでも当てはまるマルチプルリーディングというヤツか。

 それを神の言葉などと。

 俺は興ざめした。



「二つ! 黒き炭酸水の(ことわり)によりリアル界(・・・・)は遠のくものなり。冒険者達は神々に呪いの言葉を吐き、そして減りゆく!」


「「「おおー」」」


 んん? 黒き炭酸水ってコーラの事かな? 何か変な予言だ。だいたい、リアル世界の事柄なんて、ゲームのスキルで予知できるはずがない……はずだ。



「三つ! 太陽が獅子の星の上を通るとき、忘れ去られた場所より邪竜が現れ、二つの錫杖の旗は沈まんとす。神聖フェルディア王国は七の月に滅ぶ!」


「「「おおっ!」」」


 貴族達が期待していたような声を上げた。


「神は我らと共にあり。今こそ、フェルディアを討ち、帝国の勝利の御旗を始まりの地に立てよ!」


 黒き魔女は杖を掲げて命じた。


「おおっ!」

「そうだ! フェルディアを討ち取れ!」

「神よ、我らに勝利を!」


「これがアンタのスキルだと?」


 俺は黒き魔女に確認の意味で問う。こんなどうしようも(・・・・・・)なく(・・)下らないスキルなのかと、問うた。


「ええ、気に入ってもらえたかしら?」


「全然だな」


「信じてないようね。いずれ分かるわ。今の部分、動画を保存しておきなさい。フフフ」


「リュート!」


 鋭い声でユキが俺を呼んだが、四方から黒いサーコートの騎士が迫っていた。


「そこにフェルディアの手の者がいるぞ! さあ、これが前哨戦だ!」


 黒き魔女が俺を指差したが、完全にフェルディア王国の敵となるつもりらしい。


 いいだろう。

 そっちがその気なら、俺は全力でミルフィの側に付く。


「くそっ、こいつら強い!」


 ナツキが黒騎士と剣を撃ち合わせて言う。すでに鎧に装備をチェンジしているが、それでも手に余るか。

 それにここは今や敵の本拠地。

 次々と兵士が入ってくるし、逃げた方が良さそうだ。


 と言っても、入り口から兵士達が入っているので逃げ場は無い。


「お兄! どうしよう!? これじゃ逃げるのも無理だよ!」


「こうなったら、人質でも取って逃げるっスか? …ううん、でも誰を」


 ミホが見回すが、そこまでするくらいなら死に戻った方が良い。だけど、もっと良い方法がある。


「焦るな、問題ない。俺に全部任せろ。――おい、黒き魔女!」


 俺はみんなに落ち着くように言い、黒き魔女を呼ぶ。


「何かしら? ふふ、そうね、あなたが私の下僕となるなら、許してあげてもいいかも」


「勘違いするな。これは交渉なんかじゃないぞ。俺とフェルディア王国は必ずお前に勝つ。これは宣戦布告であり、勝利宣言だ。俺はお前の下には絶対に付かない」


「それは残念。どうして嫌われるのか……ああ、聖騎士ミルフィーユがあなたのお気に入りだから?」


「それもあるが、神の名を使って扇動する奴ってのは俺はどうも嫌いでね。神なんて最初からいないんだ」


「それはどうかしら。そこの蒼のソードダンサーと魔法剣士には気を付けろ! 強いぞ」


 黒き魔女は俺がここでバカ正直に戦闘すると思っている様子。


「見せてやるよ。これが俺の切り札だ。【テレポート!】」


 俺は【ワイルドカード】のスキルを使った。

 まあ、逃げるだけなんですけどね。

 パーティー全員を範囲指定してのテレポート。

 ソラも似たようなスキルを使っていたし、使えるという確信はあった。

 今はこれが最善だ。

 とにかく、パティやミルフィ達に帝国の進軍開始を急いで伝えないと。

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