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ミッドガーデンの神プレイヤー ― 無課金の俺が伝説の救世主になるまでの軌跡 ―  作者: まさな
第五章 消えるプレイヤー

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第七話 危険物を渡してくる担任教師

「じゃ、今日のロングホームルームは修学旅行の班決めをやるからな。いいか、お前ら、もう再来週で時間が無いから、ちゃっちゃと行くぞ」


 担任の先生が言う。

 小雪の方ももうすぐ修学旅行で楽しみだと言っていた。日程はあちらの方が早いようだが。


「よし、委員長、後は頼むぞ」


 そう言って脇の折りたたみ椅子にどかっと座ってしまう教師。全部生徒に丸投げかよ!


「はい、先生。それでは班決めですが、基本的に希望者同士が組める分け方にしたいと思います。異議がある人は挙手して下さい」


 委員長はそれをさも当然のように取り仕切っている。真面目を絵に描いたようなストレートのセミロングに、チタンフレームの眼鏡。素材は凄くいいのに、オシャレを自分から拒否している感じだ。実に残念。


「「 異議無し! 」」


「異議無しと認めます。では、男子三人女子三人になるように、男女からリーダーを一人決めてそこに集まって下さい。人数が余った場合はこちらで強制的に調整します」


「うしっ、水沢、オレと組もうぜぇ!」


 大滝が手を挙げて言うが。


「あ、悪い。俺は守と真道と組むから」


 真道は小学校からの知り合いだ。

 こういうのは騒がしくなくて真面目で仲の良い奴に限る。すでに決定事項ってことで。


「エェー!」


「悪いな、大滝。じゃ、リーダーは俺でいいか?」


 そう言って真道が面倒なところを引き受けてくれた。


「おう」

「いいよ」


 俺も守も異存は無い。最初に決まったので1班だ。

 男子は割とあっさりとまとまったが、女子があぶれたり足りなかったりで調整が難航した。


「じゃ、真道君、私がサブリーダーでいいわよね?」


「ああ、石川なら誰も文句は無いぞ。な、水沢、斉藤」


 石川、友梨香、深雪が俺の班に加わってきた。微妙~。

 特に深雪はあからさまに冷ややかな目でさっきから俺をロックオンしている。

 俺が決めたわけじゃないんだから勘弁して欲しい。



 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇



 放課後、帰ろうとしているとクラスの奴に呼び止められた。


「水沢、風間先生が職員室で呼んでるぞ」


「ええ?」


「じゃ、ちゃんと伝えたからな! すっぽかすなよ」


 指差されて念を押されてしまった。

 行きたくねえなあ。

 99.9パーセント、厄介事だ。


 何か仕事を押しつけてくる予感がする。

 それとも最近の小テストの点が少し落ちた件かな?

 でも、課題はきちんとやっているし、予習もしている。

 なら…深雪がクラスで上手くやっているか確認かな?

 でも、そんなのは本人に聞いた方が早いし、聞くなら女子だろう。


 ……まさか、家族に何かあったか?


 背中がヒヤリとする。

 小学校四年の時にも、先生に呼ばれ、難しい顔で病院まで送ると言われた。

 母さんが倒れた日だ。


「くそっ」


 俺はすぐに鞄にノートを収めると、急いで職員室に向かった。


「失礼します。先生!」


 職員室に入り、担任の風間の机に行く。


「おお、悪いな、水沢」


「何か…何か、あったんですか?」


「んん? おいおい、どうした血相変えて。全然大した用事でもないぞ。ははあ、田中の奴に担がれたか?」


 ニヤッと笑う風間の様子だと、変な事は起きていないようだ。

 ふう。

 力が抜けた。


「いえ、そうじゃないですけど」


「そうか。実はこれな、今日配った修学旅行のプリント、久遠が休んでるから、アイツにも届けて欲しいんだ」


「ええ? 何で俺が」


「彼氏だろ。聞いたぞ?」


「ええっ!?」


 何それ。初耳。彼氏の俺が初耳なんですけど!


「お前、教室で証人まで集めたって聞いたぞ。水沢がそういう演出をする奴だとも思わなかったが、やるときにはやるなあ、お前も」


 ああ、果たし状の時のあれか…。


「あー。いや、あれは冗談なので」


「んん? どういうことだ? 水沢。女子を騙して泣かせる真似だけはするなよ?」


 この先生、真顔になった時はちょっと怖いよな。普段は爽やかで知的な好青年という感じなのだが。あと怠け者か。

 俺は話がややこしくならないようにきちんと釈明しておく。


「いやいや、最初に騙されたのは俺の方というか。久遠が俺にミッドガーデンでの果たし状を出して来たんですよ。ラブレターに偽装して、リアルに」


「ん? あー、なるほど、そういうコトか。ハハハ、傑作だなぁ、それ、ププッ、果たし状ってお前、ぶははは」


「先生、笑いすぎ」


 あれで俺は一日酷い目に遭ったし。


「おお、すまんすまん。あー、そうかそうか、ふう。水沢ぁ、先生としては性教育の一環としてこれを渡す必要があるかと思って説教まで考えてきて、色々と大変だったんだぞ?」


 そう言って俺にマッチ箱みたいなモノを渡してくる先生。


「何ですか、これ?」


 よく分からなかったので、開けてみた。


 コンドームだった。


「うわ!」


 俺は驚いてしまった。その存在は知っていたが、生まれて初めて実物を見た。


「声が大きい。いいから持っとけ」


「い、いやいやいや、要らないです」


 凄く卑猥で嫌。あと、絶対、使わないし。訂正、使う機会が無いって事だ。そこ大事だから。


「必要だ。いざと言うときに困るぞ?」


「いや、そういうのは、別に、結婚してからでも…」


「最初はみんなそう言うんだって。いいか、水沢、恋だの愛だのってのは理屈じゃ無いんだ。だから計算もできない。思い通りには行かないんだよ。そして、そうなっちまったら最後、本当に面倒事になる。悪いことは言わない、騙されたと思ってお守り代わりに持っとけ。きっとオレに感謝するときが来る」


「ううん…」


 いや、ねえだろ…。


「風間先生、ちょっといいですか」


「ふおっ!」


 急に若い女の先生が後ろから来たので、慌てて俺は危険物を鞄の中に放り込んだ。

 今までの人生の中で一番素早く動けた気がする。


「んん? ああ、すみません、取り込み中でしたか?」


「いやあ、もう終わりですよ、ご心配なく。じゃ、水沢、プリントを頼むぞ。地図はGPS座標をメールの添付ファイルで確認しろ。それで先生、何ですか?」


「それが、パソコンが急にネットにつながらなくなってしまって…」


「どれ、ちょっと見てみましょうか」


「お願いします、風間先生」


 抗議しようにも風間が別の机でパソコンをつつき始めて時間がかかりそうだ。

 あの女の先生の前で絶対に返品できないし、くそう。

 ま、コレは後で捨てておくか…。

 プリントの方はちゃんと届けるけど。

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