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ミッドガーデンの神プレイヤー ― 無課金の俺が伝説の救世主になるまでの軌跡 ―  作者: まさな
第三章 つながる場所

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第二話 〈南の遺跡〉

2017/4/2 誤字修正。

 美少女剣士とパーティーを組んでいて、触手を持つ敵がこの先に存在する……!


「ええ、だけど弱いわよ?」


 ユキは俺が敵の強さを懸念したと思ったらしい。


「オホン、何でもない。全力を尽くす……!」


 何があろうとも。変な事はしないでおこう。


「ええ、別に気負うような場所じゃ無いんだけど。まあ、触手に捕まって怖い思いをしたって話もあったかな」


「君が大丈夫なら俺も大丈夫だ。問題ない。行こう」


 俺はクールに(よそお)っておく。


「ええ。…?」


 遺跡の中にもコヨーテが入り込んでおり、柱の上から飛びかかられて焦ったが、ユキが強いので何とかなった。


「階段の入り口はここよ」


「ああ」


 地下一階のエリアモンスターはヘビという話だったな。


「あ、ユキ、毒消しはある?」


 俺は持ってなかった。


「ええ、もちろん」


「もし俺が毒にやられたら、悪いけど貸しといてくれるか」


「ええ、いいわよ。心配しなくても、やられる前にやればいいのよ」


 理屈は単純だ。問題はそれができるかどうかなんだけど、彼女は自信がありそうだ。


 石の階段を降りると、縦二十センチ横五十センチくらいの石のブロックで組み上げられた通路が真っ直ぐ延びている。

 明かりでぼうっと照らされた石廊は静かで重々しい質感もあり、どこか幽玄な雰囲気があった。

 先頭はユキが歩き、その後ろを俺とシロで付いて行く。


「いたわ、バインドスネークよ」


 首周りが直径二十センチはあろうかという大きなヘビがとぐろを巻いて首をもたげていた。ちろちろと舌を出しているが。


「はっ!」


 ユキは気合いの息を吐くと群青の長髪をなびかせて双剣で斬りかかる。ヘビも一気に飛びかかって来た。両者が交差する。

 背を向けたユキの後ろで、ぼとりとヘビの首が落ち、すぐに茶色の煙と化して消えていく。


「ね? 問題ないわ」


 振り向いた彼女が言う。


「ああ、なさそうだ…」


 微妙にガッカリする俺だが、まだ序の口、本命は地下四階のローパー()だからな。問題ない。


「地下一階は何も無いと思うから、最短で地下四階まで行くつもりだけど、いいかしら?」


「いいよ。俺のレベルに配慮してくれればだけど」


「大丈夫だと思う。ここの通路は狭いから、バックアタックでも取られない限り大丈夫。ここはボスがいないダンジョンだし」


「ふうん?」


 それはちょっと変わっている気がした。


「だから、あまり人気は無いのよ」


 今のところ他の冒険者には出くわしていないが、PKもおっかないのでその方が良い。


「ああ、ドロップ、宝箱が出たわね。罠は無いわ。はい」


 二十センチくらいの鉄の箱を手渡された。


「いいのか?」


「ええ、ろくなのは入ってないから。レアが出ても、あなたにあげるわ」


「そりゃありがたいが。ふむ、紫色のポーションか」


 宝箱にはコルク栓の小瓶が入っていた。


「毒消しポーションよ」


「ありがたいね」


「ふふっ、良かったわね。行きましょう」


「ああ」


 階段に辿り着き、地下二階へ降りた。


「あれがここのエリアのモンスター、ビッグモールよ」


「武装してるな?」


 鉄兜を(かぶ)り、ピッケルを持っているモグラらしきモンスター。それが二匹。こちらを見て警戒して身構えている。


「ええ。多少硬いけど、これで!」


 ユキが走り込んで剣を一閃させた。一呼吸遅れてモグラが茶色い煙と化して消える。


「楽勝だな」


「ええ、楽勝なのよ」


「それはいいが、なんで君がこんなダンジョンに?」


 レベルが合わないと経験値だって美味しくないはずだ。格上の強い敵を倒す方がボーナスも付く。


「私は今、ホコロビを探し歩いているの」


「ホコロビ?」


「ええ、通常では無いモノ、早い話がバグね」


 綻びか。


「ああ……ん? なんでそんなものを…」


 意味は理解できたが、俺は首をひねる。


「ま、気にしないで。三日前にここで地震が起きたという報告を見つけたの。でも、ミッドガーデンでは建物やダンジョンの崩壊も無かったわ。地響きを起こしそうな巨大モンスターも確認されていない」


「で、その地震がバグかもしれないと君は思ったわけだ」


「ええ、そうよ」


「それなら、俺も変なゴーストのボスと戦ったよ」


「ああ、アンノウンの職業が出たっていう」


 ユキはもうその事は知っているようだ。

  

「この調査が終わったら、地下墓地へ行ってみるつもりだったの」


「そうか」


「そう言えば、あなたは聖騎士を仲間にしたという魔法剣士を見た?」


「え? ああ、それが俺だけど」


「えっ、ああ、そうだったんだ。……」


 口元に手を当てて黙り込むユキ。


「なんかまずかったか?」


「い、いえ。ちなみに、そのホワイトウルフのテイムはどうやって? ビーストテイマーのジョブも育てたの?」


「いや、イベントでテイムが使える指輪を手に入れたんだ。これね」


 彼女にマカミの指輪を見せてやった。


「そう。本のボスを倒したそうだけど」


「倒したけど、あれはミルフィと騎士団がダメージの半分以上を削ってたからな。ほとんどまぐれだよ」


「そう。実力だとは言わないのね」


「言えないなあ。なんて言うか、ふふ、自分でも仕組まれてたみたいな変な感じだったから。少なくともボスと一対一でやりあって勝てる実力なんて無いよ」


「いいえ、あなたでなくても、ミッドガーデンのボスはソロで狩るのは無理よ。よほどレベル差がないと」


「そうか。じゃ、誰かのパーティーに入れてもらわないとな」


「ええ、私もボス戦はそうしてる。冒険者ギルドか掲示板でいつも募集が掛かってるから。それに参加すれば良いわ。階段よ。下に降りるわ」


「ああ」


 地下三階は植物モンスターか。

 ちょっと期待している…。


「いたわ、〈人食い草〉よ」


 通路の先に二メートル近い紫色の花が(うご)いていた。

 中心に牙もある口が付いてるが…。


「それっ!」


 ユキが剣で斬りかかる。花は花粉を飛ばして来た。


「うお、臭っ」


 甘~い腐ったミルクの臭い。


「吸い込むとダメージだから、気を付けて。ううん、HPが高いわね…」


 何度も斬りつけているが、高レベルのユキでもすぐには倒せない様子。


「それなら、任せろ。――宿れ! 熱き魂! 出でよ、炎! ファイアソード!」


 ユキの剣に【エンチャントソード】を使う。

 片方の剣が赤くなった。


「ありがとう。ダメージが上がったわ。これで! 【双剣(ダブル・)炎舞(フレイム)!】」


 ユキが高速で連続斬りを見せ、〈人食い花〉を倒した。


「ん? なんかドロップしたぞ」


 紫色の煙が消えると、何かが落ちていた。


「錆びたナイフね。あなたにあげるわ」


「いや、俺も欲しくない」


 見るからに金になりそうに無いので放置して進む。



「今度はツタね。奥にファイアを撃ち込んでみて」


「分かった」


 うねうねと動くツタが通路の壁に茂っているが。


「天界を追放されし怒れる炎の巨人よ、放て! ファイアボール!」


 俺が呪文を唱えて拳大の火の玉をぶつけてみると――


「KUYEEEE!」


「うわっ、キモっ」


 ツタは狂ったように暴れて引っ込み始めた。


「そこっ!」


 逃げようとするツタをユキが追い打ちで切り裂く。


「KYSHAAA!」


 緑の煙がボフンと。

 他のツタは動かなくなった。



「行きましょう」


「え? もう終わり?」


「ええ。弱いのよ」


 おい。

 なんだろう、この期待外れ感は。

 そこは根性見せろよな、ツタ。FUGGソフトの開発者も間違ってるぞ!



「ここが四階の階段よ」


「……頼むぞ、ローパー、お前だけが頼りだ」


「んん?」


「な、なんでもない」


 階段を降りたが、ここも上の階と同じような石ブロックで組まれた通路が続く。


「掲示板の書き込みだと、この地下四階で『(ほころ)び』を見つけたプレイヤーが何人かいるわ」


 先頭を歩くユキが言う。


「ふうん? 具体的にはどういう――」


「待って。来るわ。ローパーよ」


 ユキが立ち止まる。通路の先に触手の影が見えた。


「おお。強いのか?」


「いいえ、全然」


「くっ!」


「ええ? じゃ、ささっと片付けるわよ」


「お、おう、油断はしてくれなくてもいいからな!」


「ええ? まあ、しないけど。一撃で終わらせ――えっ?」


 キンッと金属が弾く音がして斬りつけたユキが驚く。


「あっ、こいつ、銀色じゃないか。まさか――」


 俺はそいつを見て声を上げる。触手も本体もすべて銀色のローパー。それが滑らかに動いていた。


「メタリック・ミュータント! ローパーにそんな種がいるなんて!」


 ユキも初めて見るようだ。

 おお…。


「ユキ、気を付けろ。今、支援魔法を――マナよ、我が呼びかけに応えて、我らの防壁と化せ! バリア!」


 できれば攻撃を支援する魔法が欲しかったが、俺はまだ覚えていない。


「ありがとう。くっ、硬い!」


 ユキが斬りつけたが、やはり硬いか。


「【岩砕きの舞(ロック・ビート)!】 このぉ! なんて硬さなのよ!」

 

 それでも触手を数本切り落としやがった。……強すぎです、ユキさん。空気読んで。


「ユキ、あまり不用意に近づくな」


 早く倒さないで。


「でも、近づかなきゃ、斬れないでしょ! 囲んで!」


「分かったよ…」


 仕方なく俺も距離を詰める。小雪が言っていたが、こうして敵を囲むと敵の回避率が落ちるという。

 頑張れ、メタリック・ローパー。

 俺はお前を(ひそ)かに応援しているぞ。


「【岩砕きの舞(ロック・ビート)!】 よし、クリティカル!」


 あろうことか、ここでクリティカルヒットを出し、きっちり倒すユキさん。

 

「やったー!」

「あーっ、くそぉおおおーっ!!!」


『3連続レベルアップ! 総合レベルが22まで上がります』

『ジョブのステップアップ! ジョブ〈ルーンナイト☆〉の熟練度(ステップ)が【真似事】に進みました』

『スキル【タイムアクセル】を手に入れました』

『防御技【パリィ】を手に入れました』

『〈シロ〉のレベルが23になりました』


 ハープの音が鳴るが、なんかなぁ…。


「ええ? なんでレベルアップしたのに残念そうなの?」


「いや、何でも無い。ふーっ」


 ボーナスパラメーターを適当に割り振る。


「そ。じゃ、ドロップは何かしら。ふふっ、これって絶対レアアイテムだと思うけど」


 ユキが弾んだ声でドロップを拾った。


「あれ?」


 ユキが首をひねった。


「ん? 何だった?」


「……ああ、うん。なんだ…タダの水晶玉みたいね。それにちょっと曇ってるわ」


 落胆したユキの様子からしてこちらの世界では水晶は残念な価値の物らしい。綺麗な真球だが。よく見ると、中心部に少し黒いもや(・・)が掛かっている。


「じゃ、これは後で分配をどうするか決めましょう。私が預かるわね?」


「ああ。好きにしてくれ」


 力無く俺が言って立ち上がったとき――。


「ん?」


 きらりとユキの後ろに何かが光った。



 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇



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〈ミニ攻略情報〉


 スキル【パリィ】とは?


【種別】 防御技

【対象】 物理攻撃

【発動】 アクティブ

【消費TP】 2

【発動時間 】 6

再使用可能時間(クールタイム)】 2

【回避率】 25~100%

【解説】

 相手の物理攻撃を、剣や盾を使って弾く防御技。

 英語のparry(受け流す、はぐらかす)から。

 クールタイムが短いため、連続使用可。

 熟練度レベルや器用さにより回避率は大きく変わる。


 成功すればノーダメージも可能だが、

 タイミングと位置を合わせる必要があるため、

 初心者には扱いにくい技。

 スキル【オート・カバーリング】をセットして使おう。


 逆に、敵の剣士系もこれがあるため

 物理ダメージが通りにくいことに留意せよ。

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