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ミッドガーデンの神プレイヤー ― 無課金の俺が伝説の救世主になるまでの軌跡 ―  作者: まさな
第一章 広がる世界

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第九話 冒険者ギルド

2017/3/14 若干修正、2回目。

 ログインして街の広場に出ると、俺のすぐ目の前にミルフィがいた。顔が近かったのでちょっと焦る。澄み切った空色の瞳の虹彩まで見えるなんて。


「ああ、リュートさん、探しました」


 ミルフィは弾んだ声を出す。


「え? ああ、すみません、そう言えば、ログインの時間、言ってませんでしたね」


 ずっと俺を探していたなら、なんだか悪いことをした。


「ええ、でも気にしないで下さい。街の警備も私達の仕事ですから」


 そう言ってニッコリ笑うミルフィは、そりゃ人気も出るわけだ。


「では、我々は警備を続けます」


 ミルフィの部下の白い騎士が一礼して去って行く。


「ええ、よろしくお願いしますね」


 ミルフィからパーティー申請が来たので俺はもちろん承諾する。



「リュートさん、今日は〈東の森〉に行ってみませんか」


「〈東の森〉ですか? 適正レベルなら、構わないですけど…」


 まだ次のエリアは早い気がする。スライムはもう余裕で倒せるけど。


「大丈夫ですよ。レベル3なら適正レベルの範囲です。馴れないと最初は少し難しいかも知れませんが、あなたのHPの高さなら大丈夫だと思います。私も回復魔法が使えますし」


「ああ。じゃあ、それでお願いします」


「はい。では冒険者ギルドには寄って行かれますよね?」


「んっ? んー、別に今は行く必要は無い気が…」


「そうですか? 冒険者の皆さんは最初に依頼(クエスト)を確認されてから冒険に出られるようですが」


「そう。ちょっと初心者だからよく分からないんだけど…」


 小雪に頼り切りだったから、マニュアルや攻略サイトは見てない。困ったな。


「では依頼(クエスト)を確認してから行きましょう。別に受けなくてもいいですから」


「はい」


 ミルフィに案内してもらい、白い翼に革靴のマークの看板の建物に入る。

 中は広めで、奥にカウンターがあり、職員が並んでいる。左には巨大な掲示板があり、右には軽食も取れるようで丸いテーブルがあり、大勢の冒険者で賑わっていた。


「おっ! やった! 新規プレイヤーだっ!」

「おお、ついにこのイベントが!」


 バイキング兜をかぶった戦士らしき男二人組が、俺を見るなり感激したように言うが。

 なんだろ?


「リュートさん、向こうが掲示板です」


 ミルフィが振り向いて指差す。


「ああ」


 そちらに行こうとすると、そのバイキングの二人組が俺の前に立ちふさがった。


「おうおうおうおう! ここはひよっこの来る所じゃねーんだぜ、坊主」

「そうだそうだ! 帰ってママのおっぱいでも吸ってな」


「え?」


 相手の頭上のカーソルを確認してみるが、青色。つまりこの二人はプレイヤーだ。

 さっきイベントと言っていたが……よく分からん。


「あの、人違いじゃないですか?」


 俺は念のため確認してみる。


「なっ! そう来たか…」

「いや、お前で間違いないぞ。冒険者ギルド、初めて来ただろう」


「そうですけど、よく分かりましたね」


「フッ、この〈一見(いちげん)さん、いらっしゃ~い〉で分かるようになってるからな」


 鬼の金棒みたいなトゲトゲが付いた鉄棒を自慢げに見せる戦士。


「へえ、そんなアイテムが」


「おうよ。じゃ、俺達とデュエルしてもらおうか」


『〈ゴロツキー〉さんのパーティーからデュエルを申し込まれました。条件:エキシビションマッチ。承諾しますか?』


「ええ? なぜ?」


「なぜって、お前…」

「そこはお約束なんだよ、ギャラリーも集まってるし、頼むよ。空気読んで」


 戦士の片方が小声で言う。周りを見回すとなんだか輪ができていて、みんな興味津々でこちらを見ている。


「いいでしょう、では、こちらもパーティーでお相手します」


 俺ではなく、横から声がした。

 鞘から剣を抜いて言うミルフィ。やる気満々だ。


「げぇ! ミルフィーユ!」

「待て待て、聞いてないぞ。なんで聖騎士がお前のパーティーなんだ?」


「まあ、パーティーなので。そっちも二人だし、構いませんよね」


 俺も承諾。


「ま、待て、うぎゃっ!」

「ぬおっ!? アヒィ!」


 途端にミルフィが剣を振るったようだが、俺には剣筋さえ見えなかった。

 派手に吹っ飛んだ二人が、テーブルをぶち割った。

 周囲から一斉に歓声と口笛が上がる。


「いいぞー! やられ役!」

「ほらほら、ミルミルに根性で一撃くらい入れなさいよ」


「できるかいアホ! こっちはレベル二十だっての」

「怖いよー、ママー、ミル様本気だよー。本気と書いてマジだよー」


「まだやりますか?」


 剣を二人に向けて言うミルフィ。


「いえっ、参りました! 申し訳ございませんでした!」

「すんませんしたっ! あざーすっ!」


 『YOU WIN!』と大きな文字が出たが、俺は何もしてないからなぁ。


「お前、凄いな」

「どうやってミルミルを仲間にしたの?」


 そう聞かれても分からないと答えるしかない。この様子だとミルフィは仲間になるキャラではない様子。


「私は彼の護衛に付いています。他の方の迷惑なので、質問は〈白桜騎士団〉受付でお願いします」


「おおっ! じゃ、ちょっと聞いてくるか!」

「オレもミル様とパーティーくみてぇ!」

「オレが先だっての!」


 冒険者の大半が我先にと出て行った。


「ごめんなさい、私が目立ってしまうので」


 ミルフィが謝るが。


「ああ、いや、さっきのは俺を狙ってたみたいだけど……」


 先ほどのバイキングの二人組は、NPCの兵士に縄を掛けられて連行されていた。


「マジかよ、同意有りのエキシビションマッチで連行かよ。攻略情報と違うじゃねーか」

「やべー、オレらどうなんの?」


 二人ともなんか笑顔で嬉しそうだが、目的のイベントに突入できたのだろう。ならいいか。


「では、我々はこれで」


「ええ、ご苦労様」


 ミルフィに敬礼して去って行く兵士一行。

 ところで、テーブル、誰が直すんだろ?




「リュートさん、この討伐依頼(クエスト)を受けられてはどうですか?」


 落ち着いたところで、掲示板の貼り紙を指差してミルフィが言う。


「ホーンラビットか。そうですね」


 ミルフィが勧めるからには俺の適正レベルの敵だろう。

 討伐部位はツノと毛皮か。ツノは十本で50ゴールド。毛皮は十枚で100ゴールド。

 ドロップで出てくるのかな。


 俺とミルフィは東門から街を出て〈始まりの平野〉をさらに東へと向かった。



 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇



 途中、森が見えた。

 特に何の変哲もない普通の森に見える。


「あれが〈東の森〉です。ホーンラビットがいますよ」


 ミルフィが指差して言う。


「注意点はありますか?」


 俺は聞いておく。


「そうですね、ツノをまともに食らうと痛いし危険ですから、ウサギが身構えたら回避を心がけて下さい」


「危険、ですか…」


「ああ、でも、リュートさんのHPなら数回食らっても平気だと思います。それに、冒険者の方は万一の時でも復活できますからね」


「ミルフィさんは? 復活できるんですか?」


「ええ、私も神のご加護があると言われていますが、実際に試したことはありません。ミッドガーデンの人間で復活できる者は稀ですし、試したいとは思いませんよ」


 軽く肩をすくめて苦笑するミルフィ。


「そうですか」


 これだけ人気のあるNPCなら死んでいなくなるということは無いと思うが。

 ただ、AIとは思えない存在感があるので、時々、彼女が作り物ということは忘れてしまうことがある。

 ま、今はゲームに集中するか。小雪が来る前にとっととレベルを上げたいし。


 森に足を踏み入れる。俺は少し警戒して歩くスピードを緩めた。敵の不意打ちを食らわないように。

 ザザッと葉を揺らす音がして茂みからさっそく出てきた。大きなピンク色のウサギだ。体長は一メートルくらい。額のツノは二十センチくらいで、ちょっと鋭い。

 これ、まともに当たったら痛そうだなあ。


 剣を構える。


「来ますよ!」


「うおっ!」


 ミルフィが先に声を掛けてくれたので(かわ)すことができたが、ウサギは思った以上に大きく跳躍してツノを向けてきた。

 ただ、ジャンプ力はあるが、その後の方向転換はノロい。


「それっ!」


 そこを狙って斜め後ろから斬りつけた。

 よろけたウサギは、まだ生きている。


 HPがありそうな奴なので、ここはスキルの【薙ぎ払い(スイープ)】を使って斬り込んだ。

 ズバッと手応え。


 ボフンと白い煙が上がり、地面にツノだけが残された。

 それを俺は拾う。


「ええと」


 このツノ、どうしよう? 袋は持ってない。


「アイテムボックスに入れて下さい」


「ああ、そう言えば」


 ミルフィが言うので思い出したが、メニューにアイテムボックスがあった。

 念じただけでツノは消え、そちらに入ったようだ。便利。

 だが、ステータスを確認すると経験値は1だった。


「うっ、経験値はスライムと同じか…」


 美味しくない。


「そんなはずは。ああ、パーティーを組んでいるので、経験値が分散されてしまっていますね。では、私はいったんパーティーを抜けておきます。このままあなたの側で護衛は続けますので安心して下さい」


 『〈聖騎士ミルフィーユ〉がパーティーから離脱しました』とメッセージが出た。


「ありがとう。じゃ、次だ」


「はい」


 また茂みからウサギが跳び出してきたので、ツノを躱して斬りつける。

 スキルを使わないと三撃で倒せる。経験値は一匹につき3ポイント。

 攻撃もしてくるのでスライムよりはずっと強い。

 だが、ツノの攻撃範囲は狭めで、避けるのはそこまで難しくない。時々、ウサギの体当たりの攻撃でダメージは食らうが、そちらは2ポイントや3ポイントという程度。

 俺の今の最大HPは71なので余裕だ。

 【早死に】の称号、悪くないかも。


「こいつら、全部、単体で出てくるようですね?」


「ええ、ホーンラビットは群れることはありません。毛皮は良い値で売れるので冒険者には人気のモンスターですよ」


「でしょうね」


 十三匹目を倒したところでポロロンとハープの鳴る音がして、レベルが上がった。


『総合レベルが4になりました!』

『ステップアップ! ジョブ〈ルーンソード〉の熟練度(ステップ)が【憧れ】に進みました』

『最大MP+10ポイントの永久ボーナスを得ました』


「よしっ!」


「おめでとうございます」


 ミルフィも笑顔で祝ってくれるのでもう一つ上げてやろうと思ってしまう。

 俺の冒険はまだ始まったばかりだ。




[リュート]

 

HP 56 / 77  

MP 29 / 29  

TP 10 / 14

BC 13 / 100


【総合レベル】4(+1↑) New!

【クラス】新人冒険者(ルーキー)

【ランク】F

【ジョブ】魔法剣士(ルーンソード)

【ステップ】憧れ New!

【カルマ】

 ノーマル

 ニュートラル


【筋力】11(+1↑)

【敏捷】8

【耐久】9

【器用】7

【知力】8

【魔力】9(+1↑)

【交渉】7

【容姿】7

【幸運】9(+1↑)

(残りボーナスポイント3)


【攻撃力】24(+10)(+1↑)

【防御力】21( +9)

【素早さ】15(-1)

【魔法攻】13    (+1↑)

【魔法抵】12


【装備】

青銅の小剣

布の服

樫の木の小盾

革製のブーツ


【所持金】0ゴールド

【勇名】 0

【経験値】101

【Next】49


[所持スキル]

初級Lv1 (必要TP 2)

薙ぎ払い(スイープ)

【突き上げ】【ジャンプ斬り】【切り返し】【受け流し】【ダッシュ斬り】【回転斬り】


[称号]

【早死に】


[所属]

〈聖女親衛騎士団〉New!


[所有アイテム]

 ヨモギ草(20枚)

 獲得経験値2倍ポーション(3本)

 チョコ・シュークリーム New!

 ホーンラビットのツノ(9本)New!

 ホーンラビットの毛皮(4枚)New!

 ファンクラブ冊子 New!

 〈聖女親衛騎士団〉のバッジ New!

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