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星の降る世界  作者: 遊羽
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プロローグ

出来心で作りました。本命が進まなかったので仕方ないですよね~(棒)。両方とも更新はします。


誤字脱字誤用は感想にてお願いします

 この世界に存在する全人種を巻き込んだ戦乱は、″共倒れ″という形で終結を迎えた。戦乱の影響は大きく、繁殖力の低い魔人イービル竜人ドラゴニア森精人エルフに加え獣人ビースト土精人ドワーフまでもが滅びを迎えた。唯一、滅亡を回避した普人――普通の人間――は、爆発的に個体数を増やし、今や大陸全土に各々の文明を築いている。


 普人――以下、人類――以外の人種が滅亡した(と思われる)日、天空から無数の星々が降り注いだ。星は6、7歳の少年少女の身体に触れると雪のように消えた。ソレによって得られた力は、滅んだはずの人種が使っていたものによく似ていた。


 ソレは星術せいじゅつと名付けられ、力におぼれた若者が各地で死傷者を頻出させた。その後、大陸に12の国が生まれ星術使いの管理と星術の研究を始めた。


 長い戦争の期間を経て、大陸は3つの国に分かれていた。北部に位置するアレクバス教国、東部に位置するノイギア帝国、西南部一帯を占めるグリーザ帝国。三国の初代元首は幼馴染であったらしく、法律や制度が似通っていた。その中でも星術に関しては、三国とも全く同じ制度を行っていた。


 特に国立学院の存在は大きく、お金がなくても星術さえ持っていれば無料で入学できることもあって、各国の識字率が8割を超えた。


 星にも種類と等級がある。種類は5つ、滅んだ人種名で区別している。等級は能力の高い順から一等星、二等星、三等星と明確に分けられていて、魔人種・竜人種の中で特に能力の優れたものには特等星という枠が設けられた。さらには、星自体に名前がついていることがあり、それらは名付きと呼ばれ通常のスキルに加え強力なスキルをもっていた。


 貴族たちの中には、優れた星の所有者を養子にする貴族も現れた。


***

 星歴482年、7月7日


 大陸全土で『星祭り』なるものが開催される日だ。7日から11日まで5日あり、2つのイベントがあるのだ。一つ目は7日の宿星の儀、2つ目は8~11の4日間をつかって三国対抗学院星術大会が開催される。


 「ふぅ~」

 

 宿星で結果で人生が決まるぞ、4つ離れた兄の言葉が頭の中で何度の繰り返される。実際、一昨年の宿星の儀で二等星を宿したある貴族の嫡子が廃嫡になった、という話があった。


 あと5分足らずで始まる宿星の儀、今後の左右される大事な儀式。ハルターは少しでも緊張をほぐすため深呼吸をする。ふと周りを見渡すと見知った顔もそうでない顔も一様に緊張した面持ちだった。


 「ふぅ~。やばいなドキドキが全く収まらない。」


 自分でも予想外の緊張に戸惑っていると、突然、背中をパンッと叩かれる。


 「そんな辛気臭い顔してんなよな!」


 振り返ると緊張の欠片もない金髪の男の子がたっていた。来ている服装は明らかに貴族ではないことを示していた。周りにこちらを気にしているものは1人もいない。ならば、今くらいは身分の差なんて気にしなくてもいいだろう、とハルターは判断した。


 「君は緊張してないのかい?」


 「するわけないだろう?だって俺はこれから特等星をゲットしてずっとずっと強く偉くなるんだからな!こんなとこで緊張してどうするんだよ」


 「……プフッ、そ、それもそうだね」


 ハルターは予想とは斜め上の言葉に軽く吹き出してしまった。


 「君は面白いねな。あ、僕はハルターだ。ハルター・ファグナ。君は?」


 「アルフォンス。ただのアルフォンスだよ。ま、時期に苗字もつくと思うけどね」


 まるで悪戯っ子のようにニシシッという風に笑う。土がついていて分からなかったが、この子相当かっこよくなるな、とハルターは思った。


 「すごい自信だね。ちなみにどこの家に入りたいんだ?やっぱ伯爵か侯爵あたりかな?」


 今のご時世、貴族が良い星を持つ平民の子を養子にする、という話はたくさんあるらしい。そのことは市井にも広まってるし、それを狙っている子も多いんじゃないかな、と前々から思ってはいた。


 「俺が入りたいのはオルドール家だよ。噂で聞いたが、あそこの跡継ぎは獣人型ビーストタイプの一等星らしいからチャンスはあるはずだ」


 「……お、おう。まさか公爵家の方だとは思わなかったけど、ねらい目ではあるね。だとすると本命は竜人型ドラゴニアタイプだねぇ」


 特等星には、竜人型ドラゴニアタイプ魔人型イービルタイプしか枠が置かれていない。魔法なしの戦闘を苦手とするイービルタイプに対し、ドラゴニアタイプは不得意な戦闘スタイルがない。しかも、ものによっては空中戦が出来たりもするという話だ。まぁ求めるならドラゴニアタイプというのは、この世界の共通認識だろう。


 「ふっ、何言ってんのさ。俺は両方手に入れるよ。魔人も竜人も」


 「は?それはどうい……」


 ハルターに言葉を飲ませたのは、今いる丘の上空を覆い尽くすかのような星の大軍だった。まるで最初から決まっているかのように、いや、実際最初から決まっているのだろう、星は一直線に宿主に向かっていく。


 兄から聞いていた通り星が子どもの胸に接触した瞬間、雪のように消えていった。


 「こい。こい。こい。こい」


 星が宿らない子はいない。知っていてもつい口に出してしまっていた。そんなハルターにも一条の星が向かってきた。碧色に輝く星を待ち焦がれた恋人のように抱く。何となく心が温まった気がした。


 君はどうなった?、とアルフォンスに顔を向けようとしたとき、視界に2つの星をとらえた。その二つは宿主を取り合うかのように時折ぶつかりながらこちらに向かってくる。


 「アルフォンス?」


 ハルターの問いかけにアルフォンスは答えない。いや、反応すらしなかった。アルフォンスはそのぶつかり合う2つの星を一点に見つめていた。


 2秒も経たずにその星たちは、同時にアルフォンスの胸へとあたり、そして消えた。その瞬間、アルフォンスの全身から金色のナニカが噴き出した。その時、ハルターは確かに竜の翼を持つ鬼の姿を見た。


 「うわっ!?」


 物理的に押されているわけでもないの、ハルターは1歩2歩と後ずさった。なんだ、何が起こっているんだ?、ハルターの頭の中はそれでいっぱいだった。


 ハルターが動けずにいる間、光の本流はアルフォンス自身によって抑え込まれようとしていた。両手を広げ力を抜いているようにみえるが、金色の光は確実に小さくなっていっている。少しの間もなくすっぽりとアルフォンスの中に納まってしまった。


 「……ルター、ハルター!っておい、聞いてるか?」


 「あっうん。大丈夫。それにしても今のは何だ。あんなの見たことも聞いたこともないよ」


 「光のことはわからん。が、俺は手に入れたぞ。魔人と竜人の両方を」


 そう言って不敵に笑ったアルフォンスの顔がやけに心にこびりついた。


 このすぐあと、1人に2つの星が宿るという前代未聞の出来事にグリーザだけでなく大陸中がざわめきだった。測定の結果、確かに魔人型と竜人型だったらしい。しかも二つとも特等星だったこともあって、いつも間にかオルドール公爵家画養子として迎い入れることに決まっていた。このことを聞いたとき、ハルターは軽い寒気を覚えた。


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