epilogue/ending
数日後。
「で、勢いに任せてうっかり殺っちゃったと」
相変わらず乱雑に散らかったヒノエの部屋に、葉月の呆れた様な声が響く。
床には『トゥースリーガ』や『零の虚像』が適当に転がされていて、非常に危険である。
紫影は黒い布に包まれて、無造作に壁に立て掛けられていた。
ヒノエはあごに手を当て、溜息を吐く。
既に髪は黒に戻り、瞳の色も赤ではない。
「『変わる』と感情の制御が効きづらいんですよねー。失敗失敗」
「そんな呑気な事言ってる場合か? 何で自分が狙われてるのか解んないのに」
「僕だって黙ってやられる気はありません。"K"に頼んでみるつもりです」
あの腹黒い死神か、と呟いて、葉月はうなだれた。
「何か……悪いな。俺の所為でこんな事になっちまって」
「葉月さんの所為じゃありませんよ。葉月さんの事が無くても、きっと僕を狙ってきていたと思いますし」
ヒノエはふ、と笑う。
それは敵に向ける凶悪な笑いではない、同年代の親しい友人に向けるような穏やかな笑みだった。
「依頼人の依頼に答える――それが僕の仕事ですから」
「報酬無くてもか?」
乾いた音を立て、ヒノエの表情が凍り付く。
「え……」
「だって依頼人は香織さんだろ? お前うっかり殺っちゃったじゃん」「は、葉月さんは?」
「俺は紹介しただけだよ。美人だったから仲介料も貰ってないし」
沈黙。
「っざけんなボケ!! こちとら三日水しか飲んで無いんじゃクソがぁぁあっ!」
「わ、こらヒノエ、暴れんな! 折角ドア治したのにっ!」
「うがぁぁああっ!」
「『変わ』って無くても感情制御出来てねぇじゃんお前! うぎゃあぁぁああ!!」
哀れな葉月の悲鳴は、彼の財布の中身と共に青空へと姿を消した。
実験的アクション小説SHADOW OF VIOLETはここで一区切りになります。
テーマはズバリ『自分なりのベタ』(笑)
書いてる人は楽しかったですが、読物として成立しているかは;
少しでも楽しんで頂けたら幸いです!
此処迄読んで頂き有難う御座いました。
ヒノエ・クレーバーのお話はもう少し続きますので、どうかお付き合い下さい。
次回、clock towerでお会い致しましょう。




