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双子転生 ~そして、俺だけ捨てられた~  作者: 堅物スライム
革命の夜明け編

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★5 路地裏の聖者

再開します!

アレクシス(鳴海隼人)編の第5話です。

カリスタ・ルミナスの所在を探し当てるのに、それ程の時間はかからなかった。

アレクシスは、毎月、金貨二枚の報酬を受け取っており、その金を使ってギルドで捜索依頼を出すことで、あっさり見つけることが出来たのだ。


カリスタは冒険者になっていた。

その実力から当然だろうが、Aランクだ。

探し当ててくれた冒険者には、カリスタと会う段取りもつけてもらっていた。

彼女は王都から少し離れたノクターナという小都市を拠点に活動しているとのことだ。アレクシスは、約束の日に特別休暇を取ると、その地へと向かった。


ノクターナは、かつてそれなりに栄えていたが、今では少し寂れた雰囲気が漂う街だ。街の中心には、古びた石造りの時計塔がそびえ立ち、その針は止まったまま放置されている。


時計塔の周りには、かつて賑わっていた市場の跡が広がるが、あちらこちらに雑草が生い茂り、風に揺れていた。


石畳の道はひび割れ、ところどころに苔が生えていた。

道の両側には、古い建物が並び、壁にはツタが絡みついている。

かつての繁栄を物語る豪華な装飾も、色あせ、崩れかけている。

街の中心部に近い場所に位置するギルドもまた、壊れた屋根が放置されたままだ。


約束の時間の少し前に、アレクシスは到着し、空いているテーブルに腰掛けた。

ギルド内の冒険者たちは、アレクシスのいかにも高貴な騎士然とした身なりと隠し切れないそのマナの凄まじさに、ギョッとしたようでひそひそと話し始める。


約束の時間から三十分ほど過ぎた頃だろうか。

さすがにアレクシスも苛立ちを感じ始めた頃合いで、その女はやってきた。


二十代半ばくらいだろうか。

ぼさぼさの茶髪にだらしない服装。


だが、そのマナの輝きは強烈で、紛うことなき本物だった。


「やぁやぁ、ごめんね、遅くなっちゃって。」


悪びれることも無く、アルコールの匂いをまき散らしながら、話しかけてくる。


「君でしょ?私に用があるってのは。」


「初めまして。ちょっとここでは人目があるので、場所を移しても良いですか?」


まぁ、この程度の素行不良なら、想定の範囲内だ。

アレクシスは立ち上がると、外へと向かおうとした。


「ちょい待って。ウイスキーを一本、買ってもらっていいかな?」


カリスタはにんまりと笑って、おねだりをする。


「いいですけど……ちゃんと話は聞いてもらえるんでしょうね?」


「だいじょぶ、だいじょぶ、何でも聞くって。」


その様子に若干どころではない不安を覚えたが、仕方ない。

食堂の給仕に金を払って瓶を貰うと、外へと連れ出した。


◆◆◆


「改めまして。僕の名前は、アレクシス・ヴァルフォードと申します。」


人気(ひとけ)のない公園まで進むと、アレクシスはベンチを見つけ、そこに腰掛けながら自己紹介をした。


カリスタはその名前を聞くと、一瞬で酔いが醒めたのか、先ほどとは全く違う鋭い目つきで、見定めるかのようにアレクシスを値踏みする。


「ほう、君が噂の。」


「で、あたしに何の用? あたしとの因縁はもちろん知ってる訳よね?」


「もちろんです。それを踏まえた上で、あなたにお願いしたいことがあり、ここまで来ました。」


カリスタの貫くよう視線は一層、鋭さを増す。

先ほどまでの酔っ払いの面影は微塵も無い。


アレクシスは続ける。


「この国は腐ってますよね? 銀狼守護団も同じように。」


突然、何を言い出すのか?

カリスタは少し興味を引いたようで、続きを促す。


「だから、僕はこの国を、守護団を変えたいと思ってる。あなたには是非、僕に協力して頂きたい。」


偽りのない、真っすぐな視線でカリスタを見つめ返す。

カリスタはその真意を探るべく、アレクシスの言葉を吟味するように暫く沈黙し、やがて口を開いた。


「あたしをからかってるのかい? で、協力だって? あたしに何ができるっていうのさ?」


アレクシスは頭の中で一旦整理した後、真剣な表情で答える。


「僕は、あなたみたいに不当な理由で守護団を追い出された人たちを集めて、一緒に行動し、その力を貸して頂きたいと考えてる。そしてこの国をひっくり返し、誰にとっても公平で不満の無い、理想的な国にしていきたい。」


「うわぁ、壮大だねぇ……本気でそんなこと出来ると思ってるの? そんな下らない冗談を言いにわざわざこんなとこまで来たの?」


先ほどまでの鋭い視線から、一転して呆れたような表情になり肩を竦める。


「できますよ。必ずやり遂げる。」


アレクシスの声には揺るぎない決意が込められていた。

その真剣な眼差しにカリスタは一瞬たじろいだが、すぐに冷静さを取り戻した。


彼の言葉には不思議な説得力があり、カリスタの心に微かな動揺をもたらした。


「ふ~ん、その自信はどこから来るのかしら。」


カリスタは腕を組み、アレクシスをじっと見つめた。

彼女の目には興味と挑戦の色が浮かんでいた。


「…………。いいよ、協力してあげる。」


理不尽な理由で、守護団を追い出された恨みが蘇ってきた。

親族の期待を一身に浴びて、必ず成功すると確信していた、あの頃の自分の姿が脳裏に過ぎる。生まれが違うというだけで、能力の低い雑魚どもが優遇される屈辱の日々。


「でも中途半端なことやって、ヤバくなるようだったら逃げるからね。」


燃えるような瞳でアレクシスを睨み返すと、差し出された左手を強く握り返した。

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