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幕間1 思惑

とあるパーティーの会話です

「はい、これ飲んで。落ち着くわよ」


「……わるいな」


「最近眠れてないんじゃないの。疲れているように見える」


「そりゃあ、警戒を怠ったらいつ襲われるか分からないからな。わずかな油断が命取りになる」


「気を張ってばっかじゃ、いつか擦り切れるよ」


「心配には及ばないさ。俺だって自分の限界くらいは分かっているつもりだ」


「だったらいいけど」


「でも、最後くらい限界に挑戦するのも悪くないかもな」


「冗談にもならないから止めてよ。アタシはまだ反対しているんだから」


「スピカって意外と仲間想いだよな」


「だって、ずっと一緒に冒険者続けたかったし――――」


「『いつ誰がいなくなっても恨みっこなし』魔王城を目指すと決めたときから言っているだろ?」


「そうだけど…………なんか、あんまりだよ…………」



 

 

 

「珍しいな、おまえが連携ミスるなんて」


「ちょっと急ぎすぎた。フォローありがとうな」


「あんなやつ相手だったら俺1人で余裕よ」


「そうか? 攻撃が当たらなくてイライラしていたように見えたぞ」


「だってよぉ、めっちゃ逃げまくるんだぜ。反撃してこない臆病者のくせに」


「昔のおまえみたいだったよな。せっかくの機動力ある役職なのにそのスキルを逃げることにしか使わない。まさかあの臆病な少年がこんな暴力的になるとは思わなかった」


「うるせぇよ。あんときは強そうなやつばっかで怖かったんだ」


「じゃあどうしてこうなった」


「ただ気づいただけだ」


「ほう、なにに?」


「なあに、大それたことじゃねぇーよ。俺に力があるってことにだ」


「ダイスらしいな」


「…………」


「…………」

 

「なぁ」

 

「なんだ」

 

「おまえ、もしかして後悔してるんじゃねぇか?」

 

「まさか。俺はいままで俺がした選択で後悔したことなんてない」

 

「じゃあ初めての後悔だ」

 

「…………。何がいいたい」

 

「おまえの相棒は、おまえが思うほど弱くねぇってことだ」


「…………。今さらもう遅い」




 

 

「まだ起きていたんですか」


「悪い、起こしたか?」


「いえ、眠れないだけです。それより、何しているんですか?」


「手紙を書いているんだ。俺が出すわけではないけどな」


「手紙って、もしかして」


「ああ、そうだ。こんな紙切れ一枚で分かってもらえるなんて思わないが」


「受け取り拒否だって考えられますよ」


「そこはおまえらで説得してくれ」


「私たちだって嫌われていますよ。なにか策を立てないと」


「他力本願で申し訳ない」


「いえ、むしろもっと他力本願になるべきです。ひとりで抱えすぎですよ」


「俺はこのパーティーのリーダーなんだから当たり前だ」


「リーダーならもっと仲間を信頼してもいいのではないですか?」


「信頼しているさ。だからこんな提案を持ちかけたんだ」


「私たちだけじゃない。あなたの親友もですよ」


「だってあいつは…………いや、何でもない。もう終わったことだ。それより早く寝ないと起きられないぞ」


「まったく、誰が言ってるんですか」


「俺もそろそろ眠くなってきたからな、一旦寝ることにするよ」


「それがいいです。お身体、休めてあげてください」


「そうする。おやすみ、レイティア」


「はい。おやすみなさい、ハイド」

ここまでお読みいただきありがとうございます!


次はモルトゥルク編です

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