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80.俺、シャトーの優しさに感激する

「男子会のメンバーを誘ってみる?今日は朝から冒険者枠の予約を取れるだけ取るんだって張り切っていたから3階にいると思うよ」とヤーニーが言う。

 そして3人は緊張しながら上がって来た。

 現在、グレッグはC、キリアルとデイブはDランクだ。

『グレッグ中央にどうぞ』

「はい」とグレッグは返事をするものの、このメンバーに見守られながら戦うのってプレッシャーだろうなぁ。

 いざ戦いが始まると、最初は弱い敵だった。この分だと十分に体がほぐれてから、自分のランクにあった敵と戦えそうだ。シャトーの気遣いが素敵だ。


 結果、シャトーからの評価は、全員1ランクアップだった。試験官達も同じ意見だったので、ここは、ランク分けの部屋として採用されることになった。


 そして最大の驚きはこの後シャトーがくれたものだ。なんと、どこでもではないけれど、相互に繋がるドアをくれたんだ。ブライトンとマースケル用にも!

『地名を言いながら開けるとそこにあるドアに繋がります。これでギルドを繋げばいつでも情報交換ができるし、どこからでも冒険者がランク分け試験に来られるでしょう』と言ってくれる。優しさエグイ。


 後世、冒険者ギルドの功労者の銅像を建てることになるなら、初代ギルマスかと思っていたけれど、シャトーになりそうだな。貢献度が凄すぎる。そのうち依頼の管理から受付までやりそうな勢いだ。


「こんな凄い物ありがとうございます。大切に使わせていただきます」とゲオルグが感激している。

『私はボス部屋や宝箱を作る訳じゃないから、その分だと思ってくださいな』

「ありがとうございます。使用には制限が必要ですか?例えば冒険者以外は使えないとか」とイメルダが聞いている。

『あなた方にお任せしますよ』

「ギルド用に限定したほうがいいかと思いますが」と珍しくリチャードが、俺の絡んでいない話で口を挟んだ。

「というのも、地方のものが王都観光に来たいといいだしたら?逆に王都のものが試練のダンジョンに日帰りで行くようになったら?と考えました。地域の経済が成長できないと思うのです」

「そうだなあ。今、マースケルは冒険者や宝石商が押し寄せていて、宿屋や食堂が繁盛しているからなぁ」とゲオルグ。

 俺みたいに、ポンポン瞬間移動していると確かに地方経済には貢献できていないな。反省しよう。


 イメルダは、腕組みしてしばらく考えた後、

「どこのギルド受付にも、ランク分け試験部屋の廊下のみに繋がっている特殊なドアがある。ということで一般に認知させてしまいましょう。シャトー、1階の受付横にドアをつけて4階廊下と直接繋げられますか?」

『お安い御用です。3階から4階の階段を消しますね』

「いいですね。これで4階が独立しますね。そこにスタッフだけが使える受付に繋がるドアをつければ完璧ですね」こんな調子で、シャトーとイメルダがどんどん意見を出してそのまま作り上げられていく。便利すぎる。


 今回は特別だということで、シャトーの実験に付き合ってくれた3人は、星がたまっていないけれどランクアップさせて貰えた。CからBにあがったグレッグはタグの色は銀のままだが、表面にBと刻印され、裏面は、以前貰った星が消えてリスタートになっていた。

 DからCにあがったキリアルとデイブは銅から銀に変わった。

「やった~!銀色!かっこい~!」とデイブは皆に見せて回り、

「うれしいです!」とキリアルはタグを握りしめ喜びをかみしめている。


「タグの色が変わると、ランクアップした!って感じが強いね。俺達も星をためてSSまで頑張る?金から黒タグに変わるよ」とヤーニーに聞くと、

「いいね!夏休みは星集めしようか!」と嬉しそうだ。ゲオルグに具体的にSSランクはどのようなランクアップ試験になるかと聞くと、

「俺達試験官がSランクっていう設定で本来は終わりだったんですが、陛下が、ウェル様がランクアップが楽しみの一つだと力説していたと言うもんで、後付けでSSとSSSが出来たんですよ。なので判定する試験官もいませんし、大きな魔獣を倒すとかそういう目に見える成果を上げた時にランクアップかなあと、」

「成果を上げた時ってなると、星を集めている意味がなくなりませんか?」とグレッグが突っ込んでいる。ナイス!

「まあ、そうなるなあ。どうしたらいいか・・・」と悩むゲオルグ。運用しながらの行き当たりばったりの組織、嫌いじゃないな。

「ウェルと星を集めるのが楽しいんだから、たまった時に考えようよ」とヤーニー。星集めのミッションが没になるのを回避しようと必死だ。

 7歳になって丸いポテっとした顔は、すっかりすっきりとしてしまったが、なにせ思考回路が可愛らしい。才能溢れる麒麟児が、俺に関することだけポンコツになるとかって、そりゃ情も湧くってもんだ。


 ウーちゃんの黒髪の美人好きが数千年たってもブレないことを思うと、その子孫のヤーニーもブレないのか?それとも好きな子ができれば、あっさりポイか?俺、振られたみたいな心境になるのかな?

 なんにせよ、成長は楽しみだ。


 *******


 そして俺達は、あちこちのギルドに出没して楽しそうな依頼を順調にこなしていった。ヤーニーは公務がポツリポツリと入って、その準備もあって時間を取られているが、時間が空くとすぐに俺の隣に瞬間移動が出来ると分かっているのでそんなにやさぐれてはいない。

 俺は一人の時はもっぱらハグじいと高級温泉旅館について検討している。なかなか有意義な夏休みだ。


 だが、そんな時、ワーニーから、隣国エントロウ王国に行くぞと言われた。

 エントロウ王国は友好国だ。トゥーラスウーちゃんを祀る大教会があり大神官がいる国なので王はあまり強くなく、大神官の権威が強い。この大神官は、ヤマト王国のハルトマン神官長の父親で、人柄は申し分ないらしい。銭ゲバの宗教関係者とかとは違うようでホッとする。


 カモノハシ号で所々に降りて、中継ポイントを作りながら王宮を目指す。道々で話を聞くところによると、第二王女が呪いらしき症状で倒れたらしい。治癒、回復、浄化あらゆることを試してみたが改善されないため、王宮、大教会双方から緊急で『大魔導士ワーニー』が招聘されたのだそう。王様としての国賓公務ではないところがワーニーっぽいな。

 でも、なんで俺とヤーニーも連れて行くんだ??


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