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63.俺、二番目の男です

 ヤーニーの弟の名前は、ラタートに決まった。

 ワーニーは、ヤマトのヤから、ヤーニーだから、タカトシのタから、ターニーとかにするか、と言っていたので、全力でやめてもらった。


 赤ちゃんというものは生まれて一週間なんて、愛想のあの字もなく、抱っこするのも柔らかくて怖い生き物なので、俺はサクッとブライトンへ再度出発することにした。ヤーニーは初めての弟だし、残るだろうと思って、出発の挨拶に行くと、

「え?なんで?置いて行かないで!僕も行くよ、赤ちゃん見てても大きくなるわけじゃないし」と言うので一緒に行くことに。もちろんワーニーとサテラ様の許可は貰った。


 ヤーニーが一緒なので瞬間移動で領主館に到着。結界浮遊で40分、瞬間移動で一瞬。この差は大きいな。つい昨日、便利すぎるのもダメかと思っていたはずなのに、40分ですら一瞬に比べると不便に感じるこの矛盾。

 瞬間移動マスターしたいなぁ。ヤーニーの説明「今いる場所と行きたい場所とくっつけるイメージ」がよく分からない。そう思っていることを話しながら歩いていると、ふいに、リチャードが、

「もしかしたら、出来るようになるかもしれません」と言ってきた。

「えぇっ!リチャード!一番乗りなの?」

「例えばここから玄関までは10メートルほどですが、鍾乳洞ダンジョンの地下四階の、『開けたら砂漠』のドアをイメージすると、開けたら玄関」と言ったリチャードが消えた。

「あ!成功した?」と言って廊下の角を曲がって玄関をのぞくとリチャードが居た!

「成功だ!すごいよリチャード!」

「ありがとうございます。ダンジョンのドアのおかげです」と謙遜をするリチャード。

「ウェル様はイメージがつかめないから出来ないとおっしゃっていたので、イメージさえ分かればお役にたてると考えていたら、ドアのことを思い出したんですよ!」と、言う。自分の為じゃなく俺の為って言い方が不思議だ。

「役にたてるってどういうことなの?」

「私が魔術で使えるようになっても、きっと魔力を大量に持っていかれるので実用的ではないでしょう。かといって魔法ではレベル3までですから、長距離、多人数では無理だろうと想像しました。それなら、ウェル様に、引っかかっているイメージをクリアして頂いて、ヤーニー様同様に使いこなしていただくと良いと。いつも一緒にいるウェル様が出来るのが一番都合がい・・・あ、すみません。ちょっとテンションが上がってしまったようです」

「そうだね。本音がだだ漏れだったよ・・・都合がいいと思ったんだな」

「・・・すみません」

「あはは、いいよ。全然、俺だって自分が使えたらいいのにって思ったもんな。そのイメージを使ってやってみよう!砂漠のドアが、どこ〇もドアみたいだって自分でも思っていたのに瞬間移動で使おうとは考えなかったなぁ」


 領主館の自分の部屋に移動出来た。そこから、王都の自分の部屋へ。これは便利。脳内で「どこ〇もドア~!」って声が響いているが、それはご愛敬。

 玄関に帰った。

「成功ですね!」とリチャードは大喜び。二人でも行けるかやってみてください。と言われたので、同じルートを二人で移動。完璧だ。

 ヤーニーが、ふくれっ面で、

「ウェル、僕に内緒でどこでも行けちゃうの嫌だ!」と言い出した。これは困った。GPS付けてっていう彼女じゃないんだから、落ち着いて。そもそも結界浮遊で既に、かなりどこでも行こうと思えばいけましたけどね。


「う~ん、そうは言われてもなぁ。どうしたらいいだろう?」

「ヤーニー様の俯瞰での位置確認は、どの程度離れていても使えるんでしょうか?」とフランツが聞いた。

「王宮に居る時は王都の中だと使える。でもウェルだけは王都の外でも探せるよ。距離は、ちょっとまってて」といって消えた。そして戻ってくると、

「ここでも探せる」

「え?王宮にいて、俺がブライトン領に居るって分かるの?」

「うん、ウェルだけ、わかる」

「凄いな、じゃ、俺、ログハウスに行ってみるよ、ヤーニーは王宮に行って分かるかどうか試して」俺たちの現時点での最長距離に離れてみた。

 結果、俺が分かったようだ。ヤバいなヤーニー。最上級のストーカーを更新している。

「それでは、ウェル様がどこに行ってもいいのでは?どこにいても分かるのなら離れている距離はヤーニー様の場合問題がないので、構わないと思われますが?」とフランツが言う。

 う~ん、と悩んでいるヤーニー。GPS付けて、じゃなくて、付けといたからって言われた気分の俺。ヤーニー、これ以上はもうないよ。納得してね。

 しぶしぶ頷くヤーニーだった。


 そして、張り切って行ってみよう!

 それはもちろん、王宮の瞬間移動専用着地点だ。作ったものの誰も成功せず開店休業のこの場所。一番乗りを夢見て瞬間移動を練習している人は多い。俺はリチャードの後に行く予定。さぁ、行ってみよう。


 まずは、着地点に一度も乗らず、目視確認のみでその場所に行けるか実験。

 50メートルほど離れた角でこそこそしながら目視確認。

 リチャードは成功だ。門番が、驚く。だがすぐに、優秀な人材発見とばかりに上官の所へ誘導しようとしている。やめて、俺の専属執事なんだよ。

 そして、俺も、成功!このイメージ法だと目視だけでも移動可能だなんて、素晴らしい。後で色々実験しよう。


 門番は連続の着地点使用成功に目を白黒させている。

「こんにちは~。ブラス家のウェルリーダルです。父様の所へ行ってもいいですか?」と許可をもらって正式に王宮訪問。最近は地下道だ、瞬間移動だと、裏口的に入っているのですごく久しぶり。


 ワーニーやヤーニーもガイルの所へ集合をかけてお披露目。目視確認の件も伝えてリチャードと二人でドヤ顔をしてやった。

 ガイルにも方法を伝えて練習してもらったが、出来なかった。ダンジョンのどこ〇もドアを見た人じゃないとイメージしづらいのかもしれない。

 ガイルとテオドールとワーニーでドアを見に行った。しばらくして戻ってきた。

「どうだった?」と聞くと、

「成功しました!家にも帰ってみます。あ、できない、遠すぎるのか」とガイル。

「一度地下の鍾乳洞の王宮側の入り口付近に行ってみろ」とワーニーが言って三人とも消えた。成功しているといいな。


「それにしても、こうなってくると、距離とかスピードとかの制限のない、ウェル様やヤーニー様の規格外っぷりが際立ちますね」とリチャード。

「私は、カモノハシに乗ったあたりで、何かいろいろと諦めようと思いましたよ」と脱力するフランツ。

 何を諦めたんだ?諦めないで!

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