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61.俺、お散歩も得意だと思います

 *ダンジョン入り口立て看板*


 マースケル領主の許可のないものは立ち入るべからず。

 万が一、侵入した場合は、人知を超えるものより死を賜る覚悟をすべし。


 *国内発表*


・『ダンジョン』という、神の造った『試練の場』が発見された。

・敵を倒すことが出来れば、一定の確率でランダムに有用なものがドロップされる。

・致死率は非常に高く、レベル5でも半数は死して戻らぬ覚悟が必要な場である。

 よって、領主から、強者であるとのお墨付きを与えられた者のみ入場が許可される。

 なお、入場の際には『真実の石板』にて、自発的入場かどうか確認される。他者の強制があった場合はその者の氏名と所在が明示され、ただちに捕縛される。

・予期せぬ異常がある場合は直ちにこれを閉鎖する。


 と、こんな感じでダンジョンの発表は、まとまった。

 実際問題、俺たちはウーちゃんの神ポケや、規格外のワーニー、ヤーニーと一緒にいるから軽装備で行っても無事だが、普通の人には安易に入って欲しくない。でもロマンって必要。せっかくあるんだからダンジョンも活用しないとね。Sランク冒険者とか格好いいよ。

 冒険者ギルド作らなきゃ!


「あぁ~~~!」と俺は頭を抱えた。

「どうしたのじゃ?急に」とウーちゃんが驚いている。

「今、ギルドを作ったら、俺、ギルドマスターになれないよ。6歳だから」

「初代ギルマスの像は諦めねばならぬのぉ」

 仕方ないか。諦めていい人を推薦してもらおう。ジョージに尋ねると、

「ゲオルグにやらせておきましょう。どの道、マースケルも管轄になるのですから、一つ仕事が増えるのも、二つ増えるのも大して変わりはないでしょう」と言われた。いやいやいや。大きな違いだよ。しかも両方新規立ち上げ、嘘みたいに大変なはず。それはどうかと、言うと、

「暇だと不満を訴えていましたから、喜ばれるくらいでしょう」とのこと。

「凄いね。ヤル気のある人なんだね」暇が不満だなんて、ブライトン領都は凄い人が管理人なんだな。


「それでも大変だろうから、優秀な補佐を付けてあげてね」

「リチャードを寄こしてくださると助かりますが?」と言われたので、全力でごめんなさいをした。今の俺はリチャードにおんぶに抱っこだからだ!

 ゲオルグゴメン、ケントウヲイノル。


 俺は知っている限りの冒険者ギルドの情報を書き出して、ワーニーに見せた。

 素材の買い取り、依頼を出す、依頼を受ける、ランク制の依頼、とか様々。

 かなり興味津々で、まずはブライトン領都でやってみて、上手くいったら王都も含め、マースケルにも支部を出していこうと決まった。王都に置くことを最初から想定して、王宮の人材も送り込んでくれるという。

 ゲオルグのサポートになるように文官タイプがいいかなぁ。

 王都のギルマス候補なら、シュッとしているエリートな印象。あくまで俺の勝手なイメージだけど。


 その後もミーティングは、税金の話、村の建設、村人の誘致、など行政の話へ。俺は全くの門外漢なので飽きてきた。

 リチャードはまだ使用人に質問攻めにされているので、ヤーニーとフランツを連れて散歩に行くことにした。ウーちゃんにも声をかけていくことに。エマはシャルと海辺のカフェに行くんだって。初めての海を楽しんでね。


 結界浮遊で、スポーツカーもどきを作って乗り込む。先程上から見た、職人の街ワックに行くことにした。数分で到着した。よく考えれば空気抵抗とか一切考えなくていいのだから、狭苦しいスポーツカータイプにする必要はなかったのでは?と自問自答。

「ぎゅうぎゅう詰め楽しかったね!」とヤーニーは喜んでくれたが、フランツは

「私はカモノハシの方が快適でよかったですけど」だと。筋肉ゴツめな人は厳しいよね。次回はファーストクラスでおとどけします。


 ワックは職人の街と称されるけど、メインは鉄鋼加工の街って感じだった。勿論、木材も宝石も集まってきて、加工されて出荷されていくらしい。

 取り敢えず、ヤーニーと二人で屋台巡り。串肉を食べた。久しぶりに普通の魔獣肉を食べて、いつものダンジョン肉の美味しさを痛感した。

「魔獣肉とは全てが美味い訳ではないんじゃのぅ」とウーちゃんも同じ感想のようだ。

「そうだよね。冷凍技術でかなり遠くまでブラス印の肉を届けているはずだけど、さすがに、屋台で売るほどは浸透していないんだね」


「ねえ、あそこ見て」ヤーニーが指さす、少し古びた西部劇の酒場のような建物がある。

「ウェルが説明していたギルドの建物ってこんな感じ?」と近づいて窓から中をのぞく。

「そうそう、こんな感じ、カウンターが受付になりそうな感じもぴったり」

「買う?売り物件って書いてあるよ」

「う~ん、移築かぁ。新築するのとどっちが早いかな?」

 取り敢えず、詳細は斜め向かいの防具店へだって、行ってみよう。


「こんにちは~」

「まいど。坊ちゃんたち見ない顔だね!品質は間違いなしだよ。見てっておくれ」と元気な女将さんが応対してくれた。

「向かいの売り物件って、おいくらですか?」

「坊ちゃんいいところの子かい?買うったって土地建物の金額知ってるかい?大人を連れてきておくれよ」どう見ても護衛のフランツは保護者枠には入れなかったようだ。

「建物を買って移築する場合の、建物の値段が知りたいんです」と食い下がると、

「移築って正気かい?歴史的建造物でもない、ただの飲み屋だよ?ウチとしちゃあ、更地にして土地を売ったほうが儲かるくらいだから、持って行ってくれるなら、ただであげてもいいけどねぇ」

「持っていく?!そうだ、持っていけばいいんだ!」と閃いた俺。

「ありがとう!持っていくのに書類とか必要ですか?」と聞くと、

「本当に移築するつもりかい?いつでも工事に来ていいよ。書類なんてもんもいらないよ」と言われた。

「やったね。ヤーニー、お手柄だよ!ただでギルドの建物ゲットだ!」


 店外に出て、

「神ポケって、この世界入る規模だよね。建物一個くらい楽勝で入るはずだよね」

「むろんじゃ」と太鼓判をおされたので、早速、建物を神ポケに収納した。

 土地の基礎ごと入っちゃったから、土地が窪んだままだけど、大丈夫かな。

「女将さーん。窪んでるけど、そのままでいい?どこかから土を運んでこなきゃダメ?」

「???」キョトンとする女将さん。店先に出てきて絶句した。

「あ、そ、そうね、このままでだいじょうぶ?」と大丈夫か、大丈夫じゃないか分かりにくい返事が返って来た。が、大丈夫ということにして、

「それじゃ、ありがとう!なにか問題があったら、ブライトンの領主館に連絡してね」と言い残して、瞬間移動で帰って来た。


 そして、皆に庭先で披露した。庭には基礎の窪みがないから、そのまま置くと安定しないと思って、ヤーニーに浮かせてもらってお披露目。

「お前たちは、普通の散歩はできんのか!こんなもの買って来て!フランツもいたのにか?リチャードは何をしてた!」とワーニーに怒られたが、タダなんだよ。


「神ポケに入れてきたんですよね。現地の人は驚いたでしょうね」とガイルもがっくりしている。

「う~ん。そこまでじゃなかったかな?大丈夫って言ってくれたよ」

「ゲオルグすぐに確認に行ってください」とジョージ。

「はい、行ってまいります。最悪口止めもいりますか?」

「そうですね、任せます。ところで、どこで貰って来たんですか?」とガイル。

「ワックの防具屋さんのところだよ。ちゃんとなにかあったら領主館にねって言ってきたよ」

「ワック・・・行動範囲が広すぎてフォローが常人では追い付かないですね・・・」とゲオルグが遠い目をした。馬車で4時間かかるんだって。


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