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60.俺、このダンジョン無双かも

 ダンジョンの中を覗き込む。奥の方が明るい。ウーちゃんかワーニーだろう。階段がある。ダンジョンコアが入り口が開いたのを察知して造ったのかな?

 その階段を覆うようにログハウスを設置した。ドアを開けて正面に階段。いい感じだ。


 とりあえず皆で入ってみよう。

「鍾乳洞じゃないんですね」とガイルが驚いている。

「そうだね。でも鍾乳洞ダンジョンも地下四階は砂漠だよ。何でもありなのがダンジョンだね」

「確かに。そう言ってましたね。ここは何ダンジョンって呼ばれることになるんでしょうか?」

「そうだな~なんだろう?遺跡っぽいよね。見覚えある?知っている文明?」皆、首を横に振っている。


 ウーちゃんが何かと戦ってる。ま、まさかの、ぎゃ~~!ミイラだ。

 もしかして、ゴースト、ゾンビなどのアンデッド系ダンジョンか!?やばい。超苦手。リタはシェフにしがみついている。

 ヤーニーは大丈夫かな。ギュっと手を握ると、

「大丈夫だよ。ウェルは僕が守ってあげるからね!」と言われた。安心感半端ない。おそらく人類最強はヤーニーだからな。よろしくお願いします。


「おお、きたかのぉ。ここはあれじゃの。肉はドロップせんのぉ。石ばかりじゃ」といって渡されたのはキラキラした石。これって宝石では?

 ガイルに見せると、一級品ではないですが、若者は喜ぶのでは?とのこと。リタは、

「わあ、素敵です!!シャル様の髪留めにも使えるし、シーナ様のドレスにあしらってもいいと思います!」と鼻息が荒い。シェフ、肉はないのかと落ち込んでないで、頑張って沢山とってね。新妻がご所望ですよ。

 アンデッドに怖がっていても、おしゃれアイテムとなると目の色が変わる。リタたくましいな。


「おーい、拾いにきてくれ!」と奥でワーニーが呼んでいる。

 面倒になって一気に大量にやっちまったようです。

「ドロップ品は5分ほどで消えます。消える前に拾って!」と説明して、とにかく拾う。そして腰が痛くなって気づく。

「ねえこれってさ。宝石の下に薄い結界を滑り込ませて、柔らかくして、包み込んで回収すれば一瞬じゃない?」

「やってみよう」とワーニーは更に奥で、殲滅攻撃。

 風呂敷みたいにぎゅっと包めば回収終了。成功、楽ちんだ。神ポケに入れて、

「リタ、帰ったら渡すね!」と言ったら、

「とんでもないです。ワーニー様が倒したものですよ!」というので、

「でも、リタの領地のものだよ?」

「それでもです!王様が貴族の領に狩りに来て、鹿をとったら、それ、領のものなんで回収しますっていいますか?」

「う~ん、そういわれると??」

「後ほど相談いたしましょう。なにせ初めてケースですからね」とジョージが言った。

 鍾乳洞はブラス家が独占しているけど、王宮にも肉を分けているし、肉屋の儲けは税金も払っているし、今まで問題なかったもんなぁ。


「宝石かぁ、地下一階でこれなら、二階はもっと高級なものが出るのかなぁ?」と呟くと、

「あまり高級なものは、出ると問題が起きそうで困っちゃいますね」とリタは不安そうだ。髪留めに使うくらいの品質がキャピキャピ楽しめてちょうどいいようだ。

 フランツが、

「そんなことより!自分には、倒せません。エンドレスです」と叫びながらゾンビに剣を振っている。フランツが倒せないなら普通の人には無理だな。

 ウーちゃんやワーニーが先陣を切るからややこしいけれど、もしかして、このダンジョン、高難易度ダンジョンなのでは?

 リチャードやシェフ、ゲオルグも加勢にいったが、攻撃されてもすぐ起き上がる敵に諦めムードだ。


 そして、ヤーニーがサクッと倒してくれる。これはあれだ、神様の子孫は聖なるパワーか何かがあるってヤツだな、きっと。チート。うらやましい。

「ウェルのダンジョンコアから貰った鳴弦弓も使えるんじゃない?」と言われた。

「忘れてた!使ってみよう」なんでもかんでも神ポケに突っ込んでいると忘れちゃうな。よくない事だ、反省。

【びぃーーーん】と鳴弦。イケてる。楽し~い。バッタバッタと倒れるよ。

 俺とヤーニーが、汗だくの男衆から冷たい目で見られている、気がする。


 分かるよ、「チートかよっ!」って思ってるよね。でも俺のは、ダンジョンコアさんがくれたやつだから、チートじゃないよ。

 旅行前に皆から預かっていた武器を、共有神ポケから出して配る。同じ、ダンジョンコアさんからの頂き物だ。もしかして、倒せるかも?

「浄化って思いながら使ってみて」というと、

「急所に当たればですけど、倒せますね」とリチャードは弓を持って喜んでいる。はい、チート仲間発見。

 結局、皆、条件は一緒で急所限定で倒せるようだ。

 ゲオルグはジョージに、

「俺も暇ですし、王都に配置換えされませんかねぇ。楽しそうなことになってるみたいですし」と持ち掛けていた。

「大丈夫ですよ。ここも。ヤーニー様が、瞬間移動で来れるようになったので、ウェル様とちょくちょく顔を出すことになるでしょう。暇だ~とか言う暇すら無くなりますよ」とジョージ。


「階段ないねぇ」とヤーニーがガッカリしている。

「そうだね。基本は地下一階だけで、入り口が出来てから成長を始めるとかだったら、しばらくかかるのかもね。鍾乳洞は地下道作りで穴を開けてから15年で地下四階が出来たしね。しかもまだ途中だったし」

「行き止まりだったもんね・・・」


 そして、俺たちは領主館へ戻って、ミーティング。

 秘密保持契約は、館の全員と行ってもいいと思っていたんだけど、悪意のある者が紛れ込んでいた事実を考えると、悩ましい。ここはターゲットにされているということだから。

 王都邸と違って、下働きや、見習のような子までいるし、その人たちが、拷問にでもかけられたら、どうする?それでも契約で話せないんだ。最悪殺されてしまう。

 ガイル、ジョージ、ゲオルグにその危惧を伝えて、契約しても問題ない人を厳選してもらう。

 本館に出入りできる人は元より限られていたらしく、その人達のみの契約となった。

 呼び出されたメンバーは、ワーニーにも容赦のない、革命の頃からの古株。それに王族と、ちっとも来ない主人であるブラス侯爵のそろい踏みに緊張する現地採用組に分かれていた。この差が面白い。


 そして、両者ともに、唖然呆然とする説明を淡々とされて、思考を停止させていた。

 質疑応答は、ここに12歳から16歳までいて訓練をした、最も馴染みのあるだろうリチャードに任された。若くして抜擢された超エリートのリチャード、現在は21歳、にとっては全員先輩だ。気苦労が絶えないね。

「リチャード、神様と女神様はなんとお呼びしているんだ?」

「ウーちゃん様とエマ様です」ウーちゃん様、改めて聞くとウケるなぁ。あ、ウーちゃんに睨まれた。ゴメンって。


 次々に質問に答えているが、その他にも、アレンジされまくっている結界や、地方ではまだまだ普及していない魔力の封印と解放のレクチャー、最新の異常検知まで。説明が山積みなことに気づいた。ここはリチャードに任せて、俺たちはマースケルの話をしよう!ダンジョンの街が生まれるぞ!

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