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42.俺、久しぶりのダンジョンです

 やっと、やっと、ダンジョンの日。シェフが待ちに待った日。

 地下二階にワープマットを設置して、羊、馬の魔物肉狩り放題への道が出来上がり予定の日!


 テンション高めの一同で出発だ。厄介な案件ばかりで皆ストレスが溜まっていたのだろう。今日は楽しもう!エマは初参戦。なるべく人間と同じように、ということで、ウーちゃんのようにプカプカ浮いている訳でなく、ちゃんと歩いてついて来ている。

「エマって体力とかどうなってるの?」と聞いてみる。

「体力?って何?」

「長時間歩いていたら疲れる?とか、重い物持ってたらゆっくりしか移動できないとか?そういう力」

「う~ん。気にしたことなかった。分かったら教えるね!」

 疲れたことも、重いなと感じたこともないってことか?ウーちゃんくらい別の生き物感出してくれたほうがやり易い気がするな。


 地下二階、前回宝箱イベントのあった辺りまでワーニーの結界浮遊でやってきた。通信鏡はダンジョンの中にいる人同士も、外にいる人とも使用可能だった。「これで迷子になっても安心だね」と言ったら、フランツとアンジェラ、オルトニーが自分たちは持っていないと拗ねた。

 ウーちゃんが、特別じゃぞぉと言って、ポケットからホスト鏡を出して登録してくれた。人の好い神様。このまま全国民いや、全人類に頼まれるんじゃなかろうか?


 敵をサクサク倒して、ドロップ肉を神ポケにじゃんじゃん入れる。シェフが時間経過がない倉庫だなんて料理人の夢だと泣くが、確かに、生ものを入れて傷まないというのは素晴らしい。我が家用の肉は、氷結させずに、俺が預かることになってる。ますます美味しいものが食べられる環境になるな!


 エマは初ダンジョンで、攻撃もしていたが、基本はウーちゃんとおしゃべりしながら見学しているほうが良いみたいだ。

「成長するダンジョンにしている」とウーちゃんが話すと、エマが

「兄様すごいですわ」と尊敬の眼差しを送っている。微笑ましい兄妹の会話が聞こえてくる。

 いたずら心で、女好きエピソードをぶっこみたくなるが、大人気ないのでやめておく。


 かなり奥まで来ると、幅の広い階段が見つかった。ちゃんとした階段なので気まぐれな宝箱イベントなどではなく、正規の下に続く階段だと思われる。

「ワープマットは取り敢えずここに敷きますか?それとも持って下りますか?」とオルトニーが尋ねる。

「一度下まで持って下りよう。そこで使えたら今日は持ち歩こう。使えなかったらここまで戻ってきてここに敷いておこう」とワーニー。


 地下三階だ。ここは、より寒くなった。防寒服、もっと厚手のものが必要だ。俺は出発前に預かった皆の厚手のコートを神ポケから出して渡していく。通信鏡は良好、ワープマットも使用可能。瞬間移動は不可。一つ一つ確認して安全を確保してから進む。


 しばらく進むと、体育館がすっぽり入りそうな大きなひらけた空間に出た。見える範囲だけで四方に四カ所ほど道が見えている。

「広いね~。どこから入ってみる?」と言いながら左の道付近に近づこうとしたら【ドンッ】と爆発音が聞こえて振り返る。床が隆起して天上まで塞ぎヤーニーとエマとフランツ以外のメンバーと分断されてしまう。

「みんな無事~~??」と声をかける。返事がない。

 通信鏡で話す。全員無事のようだ。良かった。

 戻る道も塞がってしまったし、しばらくこのまま進むことにする。

 こちらは他人が見たらフランツ以外5歳児、と不安しかないだろうが、実際は神様一人、規格外二人、人間辞めた剣豪一人だ。問題ないだろう。


 そしてなんとこちら側、謎解きエリアだった。向いてないメンバーしかいない!数分前までの、このメンバーならどうとでもなると思った安心感を返して欲しい。

『月の進みを山にして、山の影を、水に流せ、さすれば道は開かれん』とか、無理!!!こりゃダメだと連絡を取ると、あちら側は魔獣の一団と戦っている模様。落ち着くまで待つか。

「フランツ、なんとか解読できないの?」とヤーニーは唯一の見た目大人を頼っているが、「すみません、全くです」と恐縮している。


「いいこと考えた!」俺は閃いた!

 ワープマットをここに敷いて、俺がマットを回収しながら、ウチの中庭に帰る。

 そして、マットを神ポケにいれて、右エリアで出してもらう。そして、右エリアへ、中庭のマットを回収しながらワープ。すると右エリアにマットが二枚になる。

 そこで一枚を神ポケに入れて、左エリアで出してもらう。そうすると中庭にはマットが無くなるけど、右と左が自由に行き来できる。

「どうかな?」

「いいですね!賛成です。陛下に話してみましょう」とフランツ。

 早速連絡をとる。まだ【グルルゥギャウ~】と背後がうるさかったが、許可がでた。

「じゃ、行ってくるね。すぐ帰ってくるから。油断しないで」と言ってマットと共にワープ。

 そのマットを神ポケ経由でウーちゃんに渡して右エリアに敷いてもらう、中庭のマットを回収しながら右へワープ。ジョージに、マットを持っていくけど驚かないでねと通信しておくことも忘れない。俺、できる男。

 右エリアは凄い数の魔物だ。このメンバーであれだけの時間があったのに殲滅してないってどれだけ湧いてくるんだ。ちょっと怖いよ。

 とはいえ、マットの場所は隅っこで結界に守られているので安全。

 ヤーニーにマットを神ポケ経由で渡して左エリアに敷いてもらう。これでミッションコンプリート!

「ウェル~!」ヤーニーによる感動の再会。5分ぶりくらい。


 謎解きの頭脳エリアはアンジェラ、オルトニー、ウーちゃん、エマ、ヤーニー、俺の6人編成だ。俺はどっちでもよかったんだけど、謎に興味津々の神様たちの引率役でこっちに回された。


「うわっ。本当にこっちは魔獣全然いないんですね」と驚くアンジェラ。

「この階のコンセプトは嫌がらせですかね」とオルトニーも言っている。確かに偏ってるもんな。

 謎解きの問題を見つけた順番に見てもらう。「ほほぉ」「なるほど~」とか言っている二人が格好いい。

「じゃ、一つ目からやってみましょう。月の光のを遮って、ここに立って、影になるここに水を注ぐ」と。

【ガチャン】と音がする。その後も二つ解くと。

【ガチャン!ギギギギギ~】と音がして、左右を分断していた壁に扉が出来てそこが開いていく。魔獣が流れ込むのか?と思ったけど静かだ。

 あちらも「魔獣が消えた!」と言いながら壁の扉の向こうからこちらをのぞき込んでいる。厚さ2mほどの壁の通路の中間には宝箱がある。


「キャ~素敵!」とエマは大興奮だ。残りのメンバーはまた番人とか出てくるのでは?と警戒したが何も起こらない。素直に開けていいのかな?


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