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40.俺、連絡とり放題になります

 パジャマパーティーでの、結界鏡のアイデアは出しは、バカバカしい形を提案しては大笑いするという、とても楽しいものだった。

 目が覚めると、ヤーニーの隣で、ウーちゃんも採血終わりの二度寝をしていて微笑ましい光景だ。


 毛根がブルブルする。結界鏡を神ポケから出して通信すると、ワーニーとサテラ様の二人が映っている。

「おはようウェル!」と興奮した様子のサテラ様。俺も、鏡の角度を調節して、ヤーニーが寝ているところも映るようにした。

「あぁぁ、パジャマパーティーってこういうのなのね!」と言っているが、今はただ寝ているだけです。すみません。

 というか、パジャマパーティーじゃなくて通信鏡に食いつこうよ。大発明だよ。発明所要時間一時間くらいだけど。


「これは、便利だな。ヤーニーの着替えや朝食はどうするのか聞こうと思ったんだが、瞬間移動して行かなくても、これで事足りる。しかも相手が都合悪ければ応答しない訳だしな」とワーニーは言いながら、鏡を触っている。

「うぬ。通り抜けは出来ないか。着替えをここから差し入れできると、なお便利かと思ったんだが」

「ウーちゃんが起きたら相談してみるよ。ヤーニーは起きたら帰すよ。パジャマパーティーはパジャマを着ている時間だけの約束をしたからね」


 朝食後、ウーちゃんと相談したが、鏡から物を出し入れするのは出来なかった。ただ、神ポケの一部分に共有スペースを設けて、そこからなら全員が物を出し入れするようには出来るというので早速やってもらった。

 実験してみたけど、『ウーちゃんからウェルへ渡したい琥珀糖の瓶』というかなり具体的な指定をしないと取り出せなかった。入っているものを勝手に探って出すことは出来なさそうだ。


 *******


 エマはなんと明日のお茶会に出たいと言い出して、母様とカルマは仕立て屋さんと大急ぎでドレスの相談をしている。勿論オーダーでは間に合わないので、今ある試作品を持ち込んでもらってサイズ直しとリメイクだ。昨日に引き続き今日も大変そうだな。

 でもシャルは

「エマねえたまはブルーもピンクも似合っててよ!迷いますね」と小さい母様のように振る舞っていて可愛らしい。こういうのが楽しいんだろうなぁ。


 昼からはヤーニーがホスト鏡の登録をして使えるようになった。昨日の夜二人で考えた結界鏡の形、結局最終的には本型になった。開いて使うタイプ。

 ぶっちゃけ、結界鏡はホスト鏡と違って、その都度結界で作ってもいいんだけどね。着信あって、ポケットから出すって方が、それっぽいじゃん。様式美だ!


 さて、またしても我が家の主要メンバー召集だ。今回はシャルロッテとリタも参加。

 ワーニーには連絡をして、王宮にスタンバイしてもらっている。

 ではでは!

「お集まりいただきましてありがとうございます。今日は面白いものをウーちゃんとエマと三人で作ったのでお披露目です」と言って、仕組みを簡単に説明した。

 結界鏡を出して、ワーニーと通信する。

「「おおおおおお!!!」」と、どよめく一同。

 ガイルはワーニーの横で驚いている。なにも知らされずに待たされていたようだ。手を振っておこう。

「母様、シャル、父様に手を振ってあげて~」

 それでは、複数での通信もやってみよう。庭にいるヤーニーに、部屋にいるエマ。

「庭にいるよ~!」「繋がったね~!」と順調に参加できた。

「ということで、こんな感じです。個人で持つのを結界鏡、中央で情報をまとめている鏡をホスト鏡、全体のシステムを通信鏡と名付けます。ホスト鏡に神域を利用しているので、一般利用はまだまだハードルが高いかもしれませんが、我が家ではウーちゃんの好意で今いる人は登録できます。登録していない人とは繋がれません。それではウーちゃんお願いします」

「うむ。面白いシステムじゃで、有効に活用するがよい。神域を使わぬ研究をするようじゃて、それまでの実験のようなものじゃな。不具合や改善点は積極的に言うておくと、その時に良いものができるじゃろうて」

「ありがとうございます。大変助かります」とジョージ。満面の笑顔。


 登録して、早速使ってみている。皆は神ポケを持っていないので、その都度結界鏡を作るんだと思っていたら、身だしなみで持ち歩いている既存の手鏡を結界鏡に変えるのもいいなとか、懐中時計の蓋を結界鏡にしようかとか、アイデアが沢山でている。大勢で考えることも大切なんだなぁ。

 リタは「寝起きなど身だしなみが整っていない時はどうしましょう?」とマーガレットに相談している。母様も、

「そうねぇ。緊急だから通信してきているのに、出ないという訳にはいかないし」と悩んでいる。

 考えなかったなぁ。身だしなみかぁ。前世も今世も縁遠い単語だ。

 じゃあ、音声のみで出ればいいんじゃない?と思ったが、そもそものイメージが鏡に映った像を交換するってことでスタートした発明だ。となるとその像をなくせるのか?

 ウーちゃんに聞いてみる。

「そうじゃのぉ。音声だけかのぉ。イメージしがたいのぉ。結界鏡を極小でつくって手で覆うとかではダメかのぉ」

「なるほど、機能を削るんじゃなくて、使わなければいいだけか。やってみよう」

 女性陣を集めてやってみよう。

 まずは角のない長方形の小さな結界鏡作って、内側にCの字に丸める。そして、耳につける。イヤーカフタイプだ!これなら映るとしても耳たぶだけかな?

「みんな出来た?じゃあ通信してみよう。女性陣に一斉送信。おーい!」

「「「はーい」」」音声良好。

 俺の結界鏡を開くと、薄暗い映像が何個か浮かぶだけ。

「みんな見て、こんな感じで映ってるけどどう?」

 男性陣も集合してきた。

「これは両手が塞がらなくていいですね!」

「私も普段はこのタイプで十分な気がします」と大人気だ。

 そうか。テレビ電話って、機能はあっても日常で使う人はあんまり見かけなかったか。


「ウーちゃん、俺、イヤーカフずっとつけておくから、着信こっちに出来ないかな?毛根ブルブル嫌なんだけど」と言ったら笑われた。

「イヤーカフに髪を混ぜこめば出来るやもしれぬが、お主の髪は皆の魔法の元になっておって特殊じゃろう」

「じゃあ、ホスト鏡に入れた髪と血を入れ替えて、血を混ぜてイヤーカフを作るのはどう?」

「必死じゃのぉ。やってみてやろう」そして、俺の願いは神に聞き届けられた。神様ありがとう!ウーちゃんだった!ありがとう、毛根は守られた。

 そんな俺を見た母様は、ニッコリ笑顔で

「私もそれ、お願いね」と凄んでいる。毛根ブルブルは不評だったようだ。父様もきっとそう言うね。

 ウーちゃん、オーダー二人前入りました~!


 *******


「これってダンジョンの地下二階でも使えますかねぇ?」とシェフが聞いてくる。

「そうだなぁ。瞬間移動は使えなかったから試してみたいね」スケジュール早く決まらないかな?

 明日はお茶会。ダンジョンのほうがずっといいのに!

 エマも出たいって、波乱の幕開けにしか思えない。フラグか?俺の死亡フラグなのか!?


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