表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/123

39.俺、パジャマパーティーのその前に

 午後からは、ヤーニーとエマ、お互いに自己紹介をした。ヤーニーはエマを見るとハリネズミのようになっているから、実際は40歳くらいだというエマに、大人の対応をお願いしたいところだ。

「僕の琥珀糖食べたのエマなの?返して!」

「ウーちゃんのところにあったものよ。兄様のものは私のものなの!」

 そんな理屈が神様の世界にはあるのか?ウーちゃんは首を振っている。どうやらエマの我がままのようだ。神様は100歳くらいまでは赤ちゃんってのは本当なのかもしれないな。

「エマ、謝ることも勉強じゃ。お主の物ではないものに手を出してはならぬ」ウーちゃんが格好良く言った。

「やだ!」といって駆け出して行った。ウーちゃんがため息をつきながら追いかけていく。

 前途多難だ。神様の子育ては神様の世界でやって欲しいと思うのは贅沢なんでしょうか?


 更に今日は憂鬱デイ。お茶会のリストを覚える日なんだ。

 男子会のメンバーが愚痴っていた女の子の猛アタックが、5歳で解禁と、俺の所へも押し寄せてきたんだ。

 そして、一つ一つ対応するのが面倒なときに活躍するのがお茶会。数回会って話したって実績があれば断りやすいからな。だが、リストを把握するのが憂鬱。ジョージとリチャードが鬼に見える。

 ヤーニーは建前は招待客だが、実質は合同お茶会みたいなもの。一緒にリストを覚えさせられている。だが、さすがの王子様、すでにほとんど覚えていた。

 俺も半年前のお披露目会の時には頑張って覚えたんだけどなぁ。すぐ忘れちゃうし、追加情報とかが整理できないんだよなぁ。転生チートに記憶力は入っていない模様。くすん。


 しばらく経つとエマが琥珀糖の入った瓶を持ってやってきた。目が赤い。まさかのガチ怒られしたようだ。ウーちゃん・・・意外。ちょっと見たかったかも。

「ごめんなさい。これ、シェフに新しく作ってもらったの」とヤーニーに差し出す。

「・・・いいよ」と小さな声で言って、受け取ったヤーニー。

 取り敢えず仲直りということで。


 夕方、王宮に帰る時間、悲壮感を漂わせているヤーニー。なんかちょっと可哀相だ。今日くらいはお泊りを提案するか?心を鬼にして見送るか?迷うところだ。俺は子育て未経験者なんだ、最適解が分からん。

 う~ん。王宮に連絡してお泊りとなると大事になるから、お休みってベッドに入ってから、こっそり瞬間移動で、パジャマパーティーにおいでと誘ってみよう。


 ヤーニー、満面の笑顔。ギュって抱き着いてきて、後でね。とこっそり言われる。あぁ、幸せそうだ。

 絆されるってこういうことなんだな。達観。


 とはいえ、王子がいないって気づかれてパニックってのは避けたい。ワーニーには連絡しておきたいな。スマホが欲しい。ウーちゃんに聞いてみよう。

「スマホとな。通信装置じゃろう。知っておる。招待されて遊びに行ったことがあるでのぉ。魔素、魔力のない世界を造るなど大丈夫なのかと思うたが、面白いことになるものじゃて」

「魔素や魔力のない世界にある物ですか?」と不思議そうなエマ。

「例えば、そこの鏡に話しかけるとするじゃろう。すると、別の鏡が反応して、像を入れ替える感じじゃのぅ。うむ。楽しそうじゃ。ひとつやってみようかのぉ」


 結界をそれぞれ好きな形で準備した。俺はノートパソコンのサイズで気分はリモート会議だ。ウーちゃんはまさにスマホサイズ。エマは、鏡よ鏡、って言いそうになる大きな楕円の形を作った。

 それぞれにまずは映すイメージ。鏡は見慣れているからか、簡単に出来た。ってか出来るもんなんだな。結界鏡と呼ぼう。

 そして、それを入れ替えるイメージ。二人だと成功。三人だと無理。入れ替えるイメージではグループミーティングは無理なのか。イメージを説明。でも無理。

 ホスト的な結界鏡を作ってそれを共有してみよう。大成功。いいねぇ!

 後は着信。これが出来なきゃ、ずっと結界鏡を見てなきゃいけないからな。

 着信のイメージってなんだろう?う~ん。

「神様同士はどうやって連絡取り合ってるの?」

「神域の存在に語り掛けます」なるほど、参考にならないか。

「ううむ。じゃが、神域に存在があるから語り掛けられるということじゃ。現にワシが神域と繋がっておらなんだ時は連絡がとれなんだ」

「それじゃあ、ホスト鏡に存在を置いておくのね!」

「存在って、どうやって置くものなの?」

「ホスト鏡にこうやって神域のポケットを作って、そこに、お主は髪でよかろう、入れて見よ。エマは魔力を。それで、自分の鏡に『ホスト鏡よエマにつなげ』と念じて見よ」

 やってみる。

「あ!体内魔力が一瞬震えたわ。ホスト鏡の魔力と共鳴したのね!」

「おぉ、俺にはウーちゃんから来た。でも俺の場合毛根がピクッてなるんだな。ちょっと怖いんだけど」

「魔力なしじゃて、仕方なかろう」ぐぬぬぬぬぬ。せめて頭頂部はやめて。

 では、複数の呼び出しもやってみよう。出来た!一時間くらいしか、かかってない!『通信鏡』の完成だ!

 三人寄れば文殊の知恵というけれど、俺たちの場合、その三人のうち二人が神様だからなぁ。楽勝で当然なのかも。

挿絵(By みてみん)


 ワーニーの所へ行って、ホスト鏡に魔力を登録。結界鏡は自力で作ってもらって、テスト運転。無事に通信鏡となった。驚きながらも興味津々で、ホスト鏡に神ポケを使わなければ、一般人用も作れるのではないかと尋ねていた。そこは研究室でやってね。


 わざわざ一度帰ってきてから、ワーニーに通信鏡で連絡。秘密のパジャマパーティーの許可を取った。

 ウーちゃんはエマの部屋で生活することになったので、部屋の前で二人におやすみを言う。さて、後はヤーニーを待つだけだ。


 瞬間移動してきた、パジャマ姿のヤーニーと、ベッドでゴロゴロしながら、通信鏡のエピソードを披露した。ヤーニーはどんな形の結界鏡にする?と言いながら楽しく過ごす。明日は登録して使ってみようね。お休みなさい。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ