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23.俺、魔眼持ちと出会いました

 男子会が俺の家で開催されました。そして衝撃の事実が!!


 今回の男子会の発起人キリアル、魔道開発局局長オラスル・クッセン伯爵の息子は、特殊な目を持っているらしく、魔力の量が黒く見えるんだって!


「ヤーニー様は真っ黒に見えています。失礼ながら、私には人間かどうかも判別できません。父からはウェルリーダル様のお隣の黒い人型がヤーニー様だと思っておけばいいとアドバイスされました」

「すごい、アドバイスだな。僕は魔力なしだから、普通に見えているってこと?」

「そうです、ウェルリーダル様と、グレッグ様ははっきり見えています。お二人は魔力なしですよね?」

 俺とグレッグはうなずいた。

「デイブ様は薄っすら暗く見えますのでレベル3くらいの魔力ではないでしょうか?」

「当たってます。教会で開発された魔力版で量ったばかりです」とデイブ。

「薄っすら暗くってどんな感じなの?」と聞くと、

「ウェルリーダル様が真夏に影の濃い日陰に入ったら、デイブ様と同じような色味に見えると思います」

「なるほど、そういう黒ね。靄がかかっているんじゃなくて、影が濃くなっていく感じか。ヤーニーは人に見えないくらいってことは、逆光状態ってことかな?」

「そうです!その通りです。分かっていただけるなんて!」

 感動されてしまった。それにしても、日常生活に不便な能力だ。神官の、魔力を『色』で見る可視化の魔術と違って、キリアルの目は常時発動だ。

「局長であるお父上はどのような対策を?」とヤーニーが聞く。

「父は私が、初等学校で集団生活を始めるまでには何とか対策をと頑張ってくれたようですが、成果はなく・・・

 5歳のお披露目は何とかやり過ごしましたが、このままでは高魔力保持の方は見分けがつかないという失礼をしてしまうことになるのが怖くて」

 俯いてしまった。すこし間をおいて、

「これからお付き合いの多くなる皆様にはお伝えして、失礼を先に詫びておくようにと父から言われて、今日お誘いしました」と締めくくる。


「大変だったね。初等学校に対策が間に合わなくても俺がフォローするよ。大丈夫!」と励ましてあげた。

 感動した表情で、涙ぐみながら、

「ありがとうございます。ウェルリーダル様!」と言って手を握られた。


 その時、ウーちゃんがテーブルに並んだお菓子に目をつけて飛んできた!

「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」キリアルの大絶叫。

 あぁ、そうか。

 ウーちゃんは真っ黒い物体に見えてるのか。それが自分の方に猛スピードで飛んで来たら怖いよね。すぐに説明。

挿絵(By みてみん)

「キリアル様、大丈夫ですよ。あれは陛下が魔力をこめた、意思を持つぬいぐるみです。水色のとっても可愛いウサギで、ウーちゃんといいます」

「ウーちゃん・・」と呆然。

「耳がウサギでしょ。それは見えますか?」

「辛うじて・・・」

「なんと、魔眼持ち、遺伝かのぉ」とウーちゃん。

 3人が驚いて固まった。あ、しゃべることも出来るぬいぐるみだよ。先に言っておけばよかったね。

「しゃ、しゃべるんですね。さすが陛下です」とグレッグ。

 立て直しが早い、優秀だ。


 ウーちゃんをガシッと鷲掴みにして小声で話しかける。

「詳しい話は後でね。秘密保持契約してない子どもたちなんだ」

「おぉ。そうじゃったか。では、クッキーだけ持っていくかのぉ」

「クッキーは厨房でシェフにもらって。たくさん焼いたっていってたよ」

「なんと、それではのぉ」と去っていった。


「お騒がせしました」と謝る。

「さっきの魔眼持ちというのは?」とキリアルが聞いてくる。

 気になるよね。俺もめっちゃ続きが聞きたいよ。

「詳しくは陛下からオラスル局長へ報告が行くようにする。少し待っていてくれ」とヤーニー。

 ちょっと気づまりな雰囲気になってしまった。

「大丈夫だよ!」と言ってニッコリしておいた。


 ヤーニーはお兄ちゃんを取られた弟のように頑なになるし、

 キリアルはお兄ちゃんが出来た!って感じで慕ってくれるし、どうしたもんかね。


 そんな中、

「ウェルリーダル様は自分の事を、私と僕と俺と三通り使われるんですね」とグレッグに指摘された。

 そこ気になる?気になるもんかな?自分では意識してないんだけど。ちょっと甘えたい5歳のウェルの気分のときは僕って言ってるのかな。なんだか恥ずかしい。社交モードの時は私って言える、一応、社会人経験者なんで。


「そうだな、自分では意識してないけど。皆は『私』なんだよね。家でもそうなの?」と逆に聞いてみた。

「5歳のお披露目の前に矯正されたので、でもまだまだで、時に、僕ってでてしまいます」と照れながらグレッグ。

「私は最近うるさく言われだして、でも家では俺です」とデイブ。

「私は、ずっと、私です」とキリアル。三者三様だ。


「この5人の時は気にせず喋ろうよ!『様』も、やめちゃダメ?俺、肩凝るんだけど」ってヤーニーに聞くと、ため息をつかれた。

 なぜだ。

「5人の時だけですよ。外ではきちんと話しましょう」とヤーニー。おかん化してきてる?


 *******


 皆を送ったらすぐに、ウーちゃんと主だったメンバーに研究所に集合してもらった。今回は開発局オラスル局長も一緒に来てもらう。


「今日、局長の息子さんのキリアルと男子会を開いたんだけど、その時、目の事を聞いたよ。話してもいい?」と局長に尋ねる。

「このメンバーは信頼しております」

「じゃあ進めよう。魔力量が多いほど、そのものが黒く見える目を彼は持っている。ヤーニーは人かどうか分からないほど真っ黒だという」

 ワーニー以外の皆は一様に驚いている。ほとんど誰にも知らせていなかったんだな。

「そこで、ウーちゃんが、『魔眼持ち』と言ったんだ。その説明を聞こうと思って。どうせなら皆も一緒に、と呼んだわけ」

「魔眼、聞いたことがない。お前はどうだ?」とワーニーが局長に聞いた。

「私もございません。息子の事がございますのでかなりの文献をさらっておりますが記憶にございません」


「それはそうじゃろぉ。魔眼というのは神の目じゃからのぉ」

「神の目!キリアル神様だったの?」

「そうではない。ワシが昔、1500年ほど前に黒髪の美しい娘がおってのぉ。子はなしておらんがのぉ」女好きエピソードが始まった。黒髪が好きなのはよくわかった。


「と、いう訳でその娘が失明したときにワシが目を与えたんじゃ。気にするでないぞ。神の目はすぐに復元するでのぉ」と笑った。

 オカルトだな。おい。

「で、その目が遺伝したから、黒く見えちゃうわけ?」

「そうではない。魔力の量、流れ、質、が見られるのが魔眼じゃ。ワシらはそれを見ようと思った時に切り替えて使っておるでのぉ。あやつの目はなんらかの原因で量に固定されておるのだろうよ」とのんきなものだ。


「見えないようにできる?キリアルとても困っているよ!」

「魔眼は便利なものぞ。なくすなど勿体なかろう」

「人が真っ黒に見えて顔も分からないんじゃ便利なわけない!」

 力説した。

「訓練すればよい。なんならワシがやってやろう。魔力が俯瞰で見えるようになると森に入った時なんぞ大変重宝するであろう」

「ウーちゃん!それ、僕も使いたい!出来る???」とヤーニー。

 ワーニーも心なしか体が前のめりになっている。


 そうじゃのぉ。といいながら、ヤーニーをじっと見つめる。

「うむ。問題なかろう。一緒に訓練するかのぉ」

 俺は!っとワーニーが食いつく。我慢できなかったようだ。

「お主はもう見えておろう。後は俯瞰だけじゃのぉ。さすが我が子孫じゃ」と満足そうにしている。


 局長が驚愕の表情でガタンと席を立った。あ、子孫のくだり初耳でしたか?


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