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17.俺、契約しました

 ふぁ~~~。ぐっすり寝ました。寝すぎたのかもしれません。

 怖い、周りを大人に囲まれています。

 事情を聞きたくてしょうがない感じ。だよね。


 ウサギさんが話をして、ピカーってなったら、説明求むって寝室にも押し掛けるさ。

 無理やり起こされなかっただけでも感謝しよう。


 ヤーニーはウサギさんを抱きしめて寝ている。

 ウサギさんも寝ているように感じる。中身が入っていると、ぬいぐるみでも生きてる感じするんだな。


「おはようございます。朝ごはん食べてもいい?」圧に負けずにそういった。

 夕飯も食べてないからね。はらぺこだよ。

 一旦解散してもらって居間でおとなしくお待ちいただくことにした。

 そして、一度で済ませたいので話を聞いたほうがよさそうな人や、主だったメンバーは全員集めてもらう。


 ヤーニーはまだ寝かせて、ウサギさんだけ連れて行こうとしたら、ヤーニーを起こしてしまった。

「うぇう、おはよう~」目をごしごしして何とか目をあけようとする。

「まだ寝ててもいいよ」と言ったが、起きるそうだ。

「そう?それなら、おはよう。今日も大変な一日だよ。きっと」

 身支度はササっと、二人まとめて浄化の魔法をかけて終了。楽ちん。


 神様に大事なことを尋ねる。

「石ってどうすればいいです?ウサギさんが持っておくならポケットでも縫い付けます?」

「ウサギさん・・・ワシのことじゃのぉ。靄でおっても気味悪がられるようじゃし、寝て待つのも飽きたし、しばしこの中に居りたいでのぉ、頼もうかのぅ」と神様。

「ヤーニー、ウサギさんにポケット付けて、宝物の石を入れてもいい?」と聞くと、

「いいよ!」と即答。付けた後に、なんか違うって泣かないでね。

「あ、でも血がいるんですよね。ポケット血まみれになるんじゃないです?」

「必要な力を取り込んだら浄化されるから心配あるまい。不安ならポケットからその都度出せばよかろよ」

 そりゃ、そうか。


「それにしても、ウサギさんと呼ばれるのはなんとかならんもんかのぅ?」

「ウサギさん、いや?」と悲しそうに言うヤーニー。

「ウサギさん昨日から神様になっちゃったから、もっとカッコイイ名前がいいんだって!」と言うと、

「カッコイイ名前!」と、テンションが上がった。神様ってところじゃなくて、格好いいの方に食いつくんだな。


「リクエストはないの?」と聞くと、

「神の名は神しか知らぬでのぉ。人が呼ぶにはなんでも構いやせん」とのこと。

「ウーちゃん!」とヤーニーが提案した。格好いいか?

「もうすこし、威厳が欲しいのぉ」・・なんでも構わないんじゃなかったのか。


 コンコンコン

「朝食の用意が出来てますよ」とリタが呼びに来た。

 皆を待たせてるんだった。早く食べて向かおう。

 *******


 集合場所が人数が増えたため応接室に代わっていた。

 俺たちの両親四人、我が家の上級使用人七人、研究所の二人だ。

 さぁ。はじめよう。

 何から話すかな。まず、一番気になっているだろうウサギさんからかな。

 あぁ。もうすでに面倒だ。自分で乗り越えてもらおう。

「ヤーニー、ウサギさんをポシェットからテーブルに出して」

「はい!」

「それでは、自己紹介どうぞ」と神様に丸投げした。


「なぬぅ。お主が説明をせぬか!ワシは神ぞ!」

 それを言うなら俺は2歳児だぞ!

 小競り合いをしていると、ワーニーが、

「この世界の神でトゥーラス様であらせられますか?」と口をはさんだ。

「そうじゃのぉ。そう呼ばれることもあるかのぅ」


 一同一斉に立ち上がって、すぐに跪く。

 おぉぉ。そんな、そんなんやんなきゃダメだったの!?

 俺、ちょこちょこタメ口きいちゃってたよ。俺とヤーニーも慌てて跪く。


「此度は我が国ヤマトに、トゥーラス様の御顕現を賜り恐悦至極でございます」とワーニー。

「よいよい、立ちませい、掛けて楽にせよ」と神様。


 この空気のあと、あの恋敵の話とかのダメダメエピソード披露するの?

 忍びないんだけど。ちょっと廊下で、端折るかどうか打ち合わせするべき?

 いや、この神様のキャラだと取り繕ってもすぐにバレるか?

 俺が苦悩していると、神様が自ら説明を始めた。


 *******


 皇帝、血、石、俺の力、吹っ飛ぶ、鍾乳洞、結界、黒い靄、ヤーニー、神の子孫、ウサギさん、天上浄化と順を追って、ダメダメエピソードで皆を唖然とさせながらも話し切った。メンタル最強。


「~まぁ。そんな経緯じゃで。これから世話になる。ウェウは血を忘れるでないぞ」と神様。

「ウェウでなく、ウェル、です、ウェルリーダルです」と訂正。

 クスクスと周りから笑われた。ヤーニーだけが呼ぶ舌足らずの呼び方を神様にされたのがおかしかったのだろう。


「繋がりも出来るし正式に契約をしておこうかのぉ。手をだすがよい」

 右手を出すと、チクッとして指先に血の粒ができる、そこに神様が石をこすりつける。【ポワン】と石が光る。石にも指にも血はもうなくなっている。


「ホホぉこの血は、なんとも、ウェル、『血の契約』といたそうぞ。名を名乗れ」

「ウェルリーダル・ブラス」

「ウェルリーダル・ブラスその名と血を持って、我が肉体の復活を助けよ。ここに我との契約とする」


【ピカーーーーーー!】なんか俺が光った。大丈夫?


「というわけじゃ。血はワシが毎日、今のように採ってやるでのぉ」

「えぇ?動物の血とかでもいいんじゃなかったでしたっけ?」

「お主が、よい血の持ち主じゃったでな。お主の血で契約をしておいたぞ。光栄に思うがよかろう」

 なんと勝手な、これが神様クオリティーなのか?


「ウーちゃん、うぇうピカーいいねえ。ヤーニーは?」とヤーニーが聞いてくる。

「ヤーニーは何もせずともワシと血の繋がりがあるでのぉ。でもピカーっとやりたいか?」

「うん!」

【ピカーーー】

「いっしょ!うぇうと一緒!」

 微笑ましい。爺と孫。見た目はウサギのぬいぐるみと幼児。どっちにしても微笑ましい。


「それより、名前、もう、ウーちゃんで良くなりました?」と俺。


「そうであった、ワシの名じゃ。皆で良き案を出すがよいぞ」

「トゥーラス様ではだめなのでしょうか?」とサテラ様。

「教会にいちいち事情を説明するなど煩わしかろう。ならば違う名のほうが面倒がなかろうよ」

 なるほど、それもそうか。

「ウーちゃん!」とヤーニー。

「もう、ウーちゃんでよくないです?トゥーラス様にもウーって入ってますしね」

「威厳が・・・」と神様。

「ウサギのぬいぐるみに入ってる時点で威厳はないですから」

 きっぱり言ってやった。長い付き合いになるなら遠慮してたらストレスが溜まる一方だ。俺は吹っ切れた。

 本当にいいのかと不安がる周囲を無視して、家政婦長のマーガレットに石を入れるポケットを、家令のジョージにウーちゃんの椅子をオーダー。


「という事で、この件は終了!」と強引に終わらせた。


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