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14.俺、改めてワーニーの凄さを知る

 ヤーニーとサテラ様を魔法研究所に案内した。

 母様が得意そうに浄化魔法をかけて見せているのか微笑ましい。今までは見せられるばかりの人生だったのが、今度は見てもらえるんだもんね。


 母様の一族は治癒魔術師を多く輩出するのが有名で、ハジド男爵という貴族の身分もその貢献によって与えられたものなんだとか。

最後の皇帝はその恩恵を独り占めしようと一族諸共離宮に軟禁、母様もサテラ様も離宮から出たことがなかったんだって。

なんてこった。

ワーニーによって解放された一族はしばらくの間、適性などを調査されて新たな領地に旅立っていったという。

ワーニーとガイルはその短い期間に母様達に猛アタックしたんだってさ。


 ワーニーなんかは、教養があって、派閥に属していない貴重な女性だったから選んだとか言ってるけど、見た目もあったと思うなぁ。めっちゃ美人さんだもん。

 

ガイルは見た目と性格で選んだのかなぁ。毎日ワーニーという灰汁の強い人間と接しているから、たまにちょっと弱音を吐く母様が刺さってるんだと思うんだ。


 それはさておき、そんな母様たちだから、仲はとてもいい。今も、サテラ様は母様の魔法を我が事のように喜んで見ている。

「素敵ねぇ。全種の魔術じゃなくて『魔法』が、使えるのね!ウェルの髪を身に着けていたらいいの?爪とか?目ヤニとかは?鼻くそなんかも試したのかしら?」・・・王妃様だよね。ワーニーと気が合うわけだ!


「色々試したんだけど、髪だけだったの。小指一本分くらいの長さがあれば使えるの。それより短いとダメみたい。今のところ制限なく何度も使えているけど、一年後とか二年後でも使えるかは分からないわよね」

「そうねぇ。まだ、研究を始めたばかりだものね。私も使ってみたいわ。ワーニー魔術を封印して!」


 早速自分でもやってみるようだ。なかなかアクティブだ。


「浄化! まあ、出来たわ。素敵!」流石の一発成功だ。

 二人で楽しそうに「結界!」「結界って張れてるかどうか分からないわね」とか言いながら楽しんでいる。


「明るくなれ!あら?できないわ?」

 ワーニーを呼んで、どうしてか質問する。

「何を試そうとしたのだ?」

「明かりの魔法よ。さっき地下道で見て素敵だったからやってみたくて!」

 

確かに、全て使えるはずなのに、なぜ明かりは使えないんだろう。


「あ~、それはだな。俺の作った魔術は俺しか使えないのだ。魔法もそれに準じているのかもしれんな」

 ワーニーだけが使える魔術は、魔法としても使えないということか。

例えば瞬間移動とかもそうだよな。


「今、研究させているが、使えるようになった者はいない。そのうち出来るだろうから気長に待つといい。そうしたら魔法としても使えるようになるかもしれんぞ」


 いったいワーニーって何者なんだ?研究者の皆さんがんばって!

「瞬間移動と明かりと他には何を作ったの?」

「そうだな。浮遊、気配探知、氷結、収納とか、いろいろだな」


 ん???

「なあ、それって、普通に、魔術の上級の更に上のやつなんじゃないの?


 よくお前を褒める人はさ、陛下は()()()の魔術師ですとか、陛下の魔術は()()()ですとか言うだろう。それってそのまんまなんじゃないの?」

「そのまんま?」ガイルが聞いてくる。


「そう、そのまんま。仮定の話だけど、例えば、瞬間移動は風の質の人が、上級の更に上、仮に特級とすると、そのレベルまでステップアップしないと使えないとかそういうこと。氷結とかって水の魔術の特級っぽいじゃん」

「なるほど、もしその仮定が正しかったら、研究をするよりステップアップの訓練をしろということになるのか。しかも、自分の質にあったものしか使えないと」とワーニー。


「あくまでも仮定の話だよ。ちなみに基本魔術から上級魔術へステップアップするにはどうしてるの?」

「反復練習か?何度も基本魔術を使用すれば、いつか上級魔術が使えるようになっているそうだ。開発局教育室ではデータを取りまとめているが質が合わないものはどれだけやっても上級は使えなかったと報告を受けている。ちなみに効果的な訓練方法などを精査もしているようだ」とワーニー。


「なっているそうだ?って伝聞なんだね。もしかしてワーニーは最初から上級が使えたの?」

「そうだな。俺は訓練が必要なかったのでこの件では役にたたないだろう」


「だったら、もしかしたら訓練なしで特級の魔術も使えているのかもね」と俺が言うと、場が静まり返った。


 アンジェラは頭を抱えて、

「その仮定が正しければ、私たちは上級にステップアップしたときに訓練をやめてしまいましたが、また再開しなくちゃいけない訳ですね」と言った。

「何度も言いますが仮定ですよ」と俺は念を押す。

「そうですが、今まで成果をあげられていないんです。やってみる価値は十分あります」とオルトニー。

「教育室とも連携をとって進めるようにな」とガイル。おお、なにかが始動しそうだ。違ってても責めないでね。


「結界は難しい魔術だって言ってたけど、小さいとはいえ魔法で使えてる。だったら魔法は、上級までは使えるけど特級は使えないってことになる。これも仮定だ。級の区分けも含めて検証することはたくさんあるね。

 そもそも質ってのも俺からしたらその分類で本当にあってるのかって不思議だよ。

明かりの魔術は、俺の世界では物語にでてくるだけだけど、光魔法だし。

収納の魔術は空間魔法だしね」

 この際だから、不思議に思ったことを全部ぶちまけてみた。専門家の皆さん生意気言ってごめんなさい。


 こんな話に夢中になっていると、ヤーニーが不満そうな顔をして近づいてきた。ごめんよ。相手してあげなくて。今から一緒に遊ぼうね!

 と思ったら。ぎゅって抱き着いてきた。

「寂しかったね。ゴメンね」って言い終わるときには、ツリーハウスの中にいた。

 まさかの瞬間移動!!!!!

 天才ワーニーの息子は天才だった。さっきまで話していた仮定が正しいとするならば、ヤーニーは訓練なしで特級魔術を使ったことになる。


「ヤーニー凄いね!難しい魔術使えるんだね!魔法研究所にも移動できる?何にも言って来なかったからみんな心配してるよ?」と言うと


「やだだもん!」ってプンスカされた。かわいい!だが、これは困った。

連絡手段もない。


 外は危険かもしれないし、ツリーハウスの中で良かったと思おう。ワーニーは気づいてくれるかな?


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