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元転移者の俺が今度は転生してきました 改めましてよろしく  作者: グーグー


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110/123

110.俺、覚えたセリフが半分無駄になりました

 夕方、集会場に行くと、武装した信者達が20人ほど集まって俺達を睨んでいた。

 お~、ヤル気満々だな。後は30人ほど、普通っぽい人が、居心地悪そうに端に立っている。どんな説明をされたんだろうか?


 偽末裔は安全の為、昨晩、リチャードからの報告を聞いてすぐに身柄を保護している。口封じされちゃうと困るからね。今は後ろの扉近くでエマと一緒に不可視結界遮音付きに入ってもらっている。


 さて、それでは、打ち合わせの通りに始めよう。まずは俺の出番だ。

「皆さんこんばんは、私は皆さんに残念なお知らせを伝えなければなりません。ここでハルハルをつけて末裔と名乗っていた人は偽物です。そして、この世界の創造神は、偽物に今すぐ罪を謝罪して、信者へ吹き込んだ嘘を正し、平和に生きるなら、罰を与えることはしないと約束してくださいました」

 痩せ男こと、いとこの兄ちゃんは、大声で、

「騙されるな!神官でもないガキが、神の代弁だと?そもそも、その神も我らは認めていない!」と叫んだ。

 だろうね。シュミレーションの通りの展開だな。

「皆、ハルハルをつけろ、一網打尽だ。生きてここから出すな!」と痩せ男が号令を出す。

 あらま、ここは予想より随分早いな、もう少し俺には割り当てられたセリフがあったんだが。


 上級信者用の呪いのハルハルをつけているのは痩せ男含めて20人。7人にしか配っていないと言っていたから、急遽残りも全部配ったんだろう。

 仕方ないから、全員を全身結界で動けなくした。口も含めて表情は動かせるからパニックにならないでね。

「あの~、もう少し聞いてもらっていい?」と言うと、案内の女性こと、いとこの姉ちゃんが、

「すみませんでした!皆を騙して、教会に嫌がらせをするのが目的だったんです。私達が悪いんです。どうか他の人を罰するのは勘弁してください!」と体が動くなら土下座しただろう必死の懇願が響いた。


 取り敢えず、ヤーニーが全部のハルハルを回収して、神ポケに突っ込んだ。

 全身結界を解いて、全員を椅子に座らせる。

 偽末裔も出てきて皆の前で、土下座して謝罪している。うん、もう事前シュミレーションは役に立たなくなったと言う事だな。ウーちゃんに丸投げした。


 灯りは消え、雷鳴が轟き、窓や扉が風で鳴る。天変地異の前触れのような演出の中、ウーちゃんが神様バージョンで登場だ。ウェーブのある長いプラチナブロンドに紺色の瞳、そして存在自体が発光している。神秘的だ。だが、罰せられるかもしれない立場の人間は神々しければ神々しいほど恐ろしいだろう。


「そこの3人、お主らは千年前、人々を扇動し、多くの神官を殺害させた一族の末裔じゃ。あの時の神官どもはのぅ、怒り狂ったワシに、子どもには慈悲をと願ったのじゃ。そして永らえたお主らが、また同じように人を集めて神官を襲う計画を立てているのを見るとのぅ、むなしゅうてならぬ」

「そ、そんな!村の大人は皆、神は偽物で神官は嘘を広めていると教えてくれたんだ!そんな訳は・・」痩せ男は声を振り絞って反論しているが、あきらかに神様バージョンのウーちゃんの神々しさは否定できないものなんだ。信じてきた、村の大人達の嘘を、ヒシヒシと感じているだろう。


「お主ら3人には、行動に他害禁止の枷をつけて、ヤマト王都教会の預かりとする。因みに、ヤマトでは呪術を人の洗脳などに使うと、術が返り犯罪の文様が顔に刻まれる仕組みがあってのぉ。変な気は起こせぬよ、しっかり励むがよい」

 ウーちゃんに宣言されて、3人は頭を下げた。うんうん、素直でよろしい。それにしても、千年前は創造神を見て話しても尚、否定したんだよな。凄いメンタルの先祖が居たもんだ。


 ウーちゃんは得意のキラキラを残して去って行った。

 さて、一件落着!とは、当然ならない。

「私は、多額のお布施をしたばかりなのよ!どうしてくれるの!」という金切り声が響く。そうなるよね~。でも、邪な気持ちで、誰かを呪いたい、とか言う願いの人ばかりだって知っているから同情できないなぁ。


「人を呪わば穴二つ、って言ってね、誰かを呪う時は、自分も死ぬ覚悟が必要なんだよ。今回なんて神様にもバレたんだよ。相手も自分も生きていて良かったと思ったらどうかな?」と俺は信者達を見回しながら凄んでやった。

 俺の見た目じゃ迫力が出ないかと思って、途中で全員の背中に氷を直に一秒ほど滑らせてやった。背筋を走る違和感に合わせて、きっと忘れられない一言になったに違いない。二ヒヒヒヒ。


 幸い、集会場の土地建物に金をつぎ込んでいるだけで、湯水のように金を使うような人達ではなかったので、それらを売ればいくらかは返金できるだろう。

 リチャードの主導で、お布施の額の割合に応じて対応していくことになった。


 残る問題は大口の資金提供をしようとした人だけだ。悪い人じゃないといいな。厄介だから。と思ったら、厄介な人だった。

 痩せ男の記憶を頼りに集会場で聞き込むと、トゥーラス教会で、お布施をピンハネして教会を追放された元神官だと分かった。大口の資金なんて嘘じゃないか、いつもカツカツで人にたかるような生活をしている奴だ、と暴露されている。住んでいる所も聞いておく。これだけ人が集まれば色々な事が分かるなぁ。

 ついでだから、観光スポットなんかも聞いておこう。下っ端の元信者なんかは、普通に天幕の占い師凄い!ってやってきただけのほぼ無害の人々だ。

 あの校長先生の話みたいな説法を聞いて、満足して帰っていくんだから、さもありなんだが。

 なんなら、帰り道で教会に寄って、神官に「神様にお会いしたぞ!」って自慢しに行こうなんて言っている。


 うん、教会か。どの道、額石の件で行かなきゃいけないし。追放神官の件も丸投げしよう!

 いいね。ゴールが見えてきたぞ!観光スポット、もっと聞いておかなきゃな!

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