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元転移者の俺が今度は転生してきました 改めましてよろしく  作者: グーグー


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10.俺、魔力なしの希望の星に?

 早速説明。

「魔力ありと魔力なしの違いは瞳孔の色だって聞いたんだ。だったら、魔力を混ぜる、絵具みたいにね、すると色が黒くなって魔力が使えるんじゃないかと思ったんだ。でも、それは実験した文献がたくさんあった。どれも全て失敗している」


「そうだな、それは知っている」


「他人の魔力は反発して取り込めないんだと思った。じゃあ、他人の魔力じゃない魔力なら取り込めるんじゃないか?と考えたんだ」


「どこにある、なんの魔力だ?」


「じゃあ考えてみて、ワーニーの認識阻害は普通と違って、その維持に自分の魔力を使っていないって言ってただろう?じゃ、その魔力はどこから来てるんだ?」


「・・・考えたことがなかったな」


「だろう。そういうこともあるんだって放置しちゃってたんだろう。そもそも自分の魔力を消費してたって高魔力保持のお前には痛くもかゆくもない。どうでもいいことだ。だから気にならない。もし平凡な魔力量の人にこの現象が起きたら驚いてどうしてこんなことが出来たのか解明しようとしただろう」


「・・・責められているの、か?それで魔力はなんの魔力だったんだ?」


 俺は人差し指を一本だして、

「これっ!」と言った。ちょっとドヤ顔になったかもしれないけど許して。

「まさにここにある。大気中にあると言ったほうがいいのかなあ?」


「だが、大気にも、お前の周りにも魔力は見えなかった。透明な魔力という事か?」


「う~ん。わかんない!だって、そうかなって仮定して、今初めてやったら出来たって段階。ワーニーもヤーニーもやってみて」


「ちょっとまて、危険かもしれない。ヤーニーは見るだけだ」


「ぼくもドーンする!」といって手のひらを木に向けた。


 ドーーーーーーーン!バギィーー!

「ヤーニー凄い!」天才だ!一瞬で出来た。

「いや違う、今のは風魔術だ」ワーニーが言うと、

「ちがうない!」とヤーニーは泣きそうだ。


「ヤーニーは上手にできてたよ。凄いね」

ワーニーをにらみながらそう言うとワーニーは頭を抱え。

「ヤーニー、制御は上手になっている。だが今は家に帰っていてくれ」


【シュン】と二人は消えて、そしてワーニーだけが帰って来た。


 天使が送り返されてしまった。ま、今回ばかりは仕方がない。危ないからね。

*******


「ワーニーは規格外だし気を付けて。指先にほんの少しだけ、魔力を集めてみて?自分の中ではなく、大気中から集める感じ」

 某アニメのイメージをどうやったら伝えられるか分からないから、適当に指示。

天才だからすぐできるかと思いきや難航している。

「自分の魔力がどうしても指先に届いてしまう。遮断もできない」俺には分からない感覚なのでアドバイスもできない。

「ヤーニーの魔力は封印できるんだよね。自分の魔力は封印できないの?」

「封印できたとして、誰が解除を?」

・・・ごもっとも。


「これは今すぐのことにはならないな。次だ、お前以外の魔力なしにも同じことができるのかだな。ガイルにお前のことを話そう。協力が必要だ」

「ちょっと待て、心の準備が」

「シーナはともかくガイルには言うつもりなのだろう。いい頃合いだ。それにお前の身の回りの世話をするものにも言ってしまおう」

「それこそ、心の準備が、まずガイルだけで!」

というと【シュン】と消えていった。


「なんなんだ!急に!」怒っているガイルが現れた。

 あ~、第一声なんて言おうか。

「大事な話があります!」

「ウェル?お前までいたのか?一体どうした」


「あ~、あのな、俺、ゴメン。今まで言えなくて、俺、お前の息子として生まれ変わっちゃってたんだ。気味が悪いとか思うかもしれないけど、事実だし、受け入れて欲しいんだ」

 

ガイルが固まっている。

「・・・あ、あの。理解が追いつきませんが、どなたかが、私の息子ウェルリーダルとして生まれたと・・・」


「そう、そうなんだ、あ、名前言ってなかった、大和だよ。久しぶりガイルくん!」

「!!!!!!!」

目を見開いて固まっている。


 あ、これ、しばらくかかるやつだ。何か言ったほうがいいのかな。

 ワーニーのほうを見ると「なにか言え」とジェスチャーしている。


「あ~ガイルくん。俺な、生まれ変わって、ガイルくんに抱っこされて『君の名前だよ、ウェルリーダル』って言われたとき、本当にうれしかったよ。また君に会えた。しかも幸せそうに笑っているって」


「うぅ~~またお会いできるなんて~~」

ガイルが膝から崩れ落ちて泣き出した。そしてしばらくすると、

「息子~~ってどういうことだ~~」頭をかきむしりだした。

 パニックになっている。


「ガイル、急には処理しきれないこととは思うが、なんとか呑み込んでくれ」とワーニー。

ガイルはワーニーを見上げると言った、

「お前は知っていたのか?いつからだ?」

「命名式の時だ。会った瞬間、ヤマトのオーラが出ているのをみて分かった」

「そんな前から、だから頻繁にウェルを連れ出していたんだな?」

「そういうことだ。赤ん坊でいるのも疲れると思ってな。だが赤ん坊には親が必要だ。そう思って隠す選択をした。間違ってなかったと思う」

「本当にごめんな、ガイルくん。それに、俺、まだ母様に言う勇気がないんだ。大好きな母様に嫌われたくなくて・・」

「シーナに・・・」とつぶやき、しばらく考えこみ、何か吹っ切れた様子で涙を拭いた。


「お見苦しいところをお見せしました。もう大丈夫です。ヤマトさんはお亡くなりになったのですね。あの時の献身のおかげで今の我々があります。本当にありがとうございました」といって頭をさげた。

出来た人だ。これ、俺の父様だよ。格好いいな。


「ウェルでいいよ。俺は父様の息子でいたい」

ここは30歳まで生きていたとかは言わなくていいところだよな。さすがに年上の息子は引くかもしれないしさ。


「ウェルで統一しよう。国名や俺の苗字でややこしいしな」とワーニー。

「それにこいつは、無事に異世界に帰って30歳まで生きていたらしいぞ。年上だって威張っていたからな」黙っておこうと思った矢先に言っちゃうんだな。


「あ~、父様。俺は、いや、僕は、あ~、なんて話せばいいのか、口調が迷子だな」

「私も迷子だ。ウェル。これからもよろしく、少しずつ慣れていこう」

「そうだね!」ガイルの男前っぷり半端ないな。


「よし!カミングアウトが終わったら本題だ!ガイル、大気中に魔力があると信じるんだ、そしてその魔力を指先に集めて、そこの切り株に放て」

 流石ワーニー、情緒のぶった切り方半端ないね。


「私はもう、すぐに帰って寝たいほど精神的に疲労困憊しています。その私に何をしろと?」ガイルが切れそうだ。


「まあ、怒らず見ろ。あの2本倒れた木の左側はウェルが魔力で倒したものだ」

「御冗談を。ウェルは魔力なしですよ。他ならぬあなたがそう言ったはずです」


「自前の魔力はお前もウェルもゼロだ。だがウェルには出来た。ウェル、やって見せろ。どでかいやつじゃなくて小さいやつでいい」

「そんな器用に出来るかな」

俺は、指先でするのなら、リタが見せてくれた火がイメージしやすいかな、と真似してみた。出来た!ガイルは当然、またしても驚いている。


「どういう仕組みですか?」

「それはまだ分からん。だが、出来る。やってみろ」

「大気中に魔力があると信じて集めて放つ!」ガイルはそう言いながら指を出す。

 出来ませんね。もう一度。

 出来ませんね。もう一度。

「出来ませんね。なぜ、ウェルはできるのでしょうか?」


「ウェルしか出来ないのがヒントだな!」ワーニーは俺の髪を一本切ると、ガイルに持たせた。

「もう一回やってみろ」

【ポワッ】小さな火だが、確かに出た。


 俺の髪が凄いの!?

血じゃなくて良かったと思うところ?

 これが皆に知られたら俺の髪が狙われるとか?

 2歳にして頭髪の心配しなきゃなんて。マジか?

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