#8エリエルの本質
その後、エリエルさんと色々な練習をしてみた。
本当に色々やった。Automatic Guardの常時発動を
練習したのだが、これがなかなか難しい。
そもそも、Automatic Guardとは自動で
全ての事において様々な類の攻撃から
身を守れるというチート能力なのだが、
その代償は思考領域のごく一部に「守られたい」と
いう思考を常駐させておかなければならない事
だった。Automatic Guardに限らず、
天使の能力は全て「思考」及び「想い」に起因しているので、「思う」動作をしなければならないのだ。
Automatic Guardは常時その想いをもってこそ、
「自動絶対防御」という本領を発揮できるのだが、
問題点として、思考を常駐させる動作が必要な事で、どうしても人間である僕にはこれが困難なのだ。
しかも、常時思うだけでなく、その想いを最小限に
留めることが大切なのだ。思考領域をその事だけに
囚われすぎるとそれ以外の事が出来なくなるらしい。天使の能力は基本的に「想い」の強さに比例して
能力自体も強くなるらしいのだが、
Automatic Guardに関しては少しの想いで事足りる
そうだ。そのため日々僕は極小常駐思考を
練習していたのだが、なかなか上達出来ない。
そこでエリエルさんに相談してみると、
助けたい人は居る?その人を守りたい、
という意識を再確認してみたら出来るように
なるかもよ?と言うので実際にやってみた。
そうしたら…あ、出来てるじゃん。
常駐思考、出来てるよ。などと言われるので
この理屈を聞いてみた。そうすると、
天使の能力は思考に起因するって言ったでしょ?
「誰かを守りたい」と意識することで、
人間には少なからずある「自分も守られたい」
という思考を確固たるものにするんだよ。
あまり原理は分からなかったが、簡単に言えば
「守りたい」と思わせる心の中のスイッチを
押したってことらしい。
Hideという能力の習得、いや、上達と言った方かも
しれない。…これはとても簡単だった。
常駐思考が必要ないからである。そもそも
「隠れる」という行為はいつもする必要が
ないからだ。だから「隠れたい」と思うだけで
簡単に隠れることが出来た。
ここで驚きだったのが、この隠れる能力の完成度の
高さである。姿はおろか、自分のたてているはずの
音や、気配、自分の物理実体も全て無くなっているのだ。よって、通常では、隠れながら相手に触っても
バレない。が、自分にも感覚は無い。
しかしすごいのはここからなのである。
この能力、自分の思考しだいで調整が可能だった。
たとえば相手には触られてる感覚を与えず、
自分にだけ感覚を与える、とか姿は隠れたまま、
相手に感覚を与える、とか。その他にも隠れたまま
音を立てられるという、肝試しをしている人たちを
怖がらせるだけのようなことも可能だった。
こうしてHideは完全に使いこなせるように
なったのである。1番難しかった能力が
Useful Toolsというマルチスキルである。
この能力、どうも使用者の脳の思考領域に応じて
使える道具が増えるらしい。思考領域はTA ²という
単位で表すそうで、人間の思考領域の平均は500TA ²で、僕の場合は幼い頃から数多くの英才教育を
受けてきた結果からか、通常の人より大きい、
800 TA ²ある状態だった。
その上、今の僕は天使であるエリエルと
融合している。天使の中でもトップレベルである
エリエルは膨大な思考領域を有し、
その数は10000TA ²を上回っていた。
合計して10800TA ²。この数は異常であるそうだ。
そりゃそうだろう。通常の人の思考領域の
20倍も持った人間がそこら中に居たら
たまったもんじゃないからだ。しかし、
これによって様々なツールが使えるようになった。
しかし、それを得たのと使えるのとはワケが違う。
Useful Toolsを使いこなし、その宝を持ち腐れに
しない為には、全力で練習する必要があった。
そして、様々なツールをエリエルからのアドバイスによって練習した結果、以下のツールを
使いこなせるようになった。触手、
物理効果を有し、対象物を破壊、回収、移動等をさせることが出来る。普通の人間にも目視できるが、
Hideとの合わせ技で隠匿することも可能。
Driver、物理効果を有し、ドライバーだけでなく、
様々な工業系のツールを生成することが可能。
触手との合わせ技で対象物を遠隔で触ること、
治すこと、破壊することが可能。
Sword、本当に様々な能力、姿形をした剣を
生成可能。自分の想いしだいで何でもあり。
この機能も思考領域に応じて能力が制限されたり
解放されたりするのだが、今の僕はエリエルさんと
融合しているのでそんなものは関係ない。
想えばいいだけなのだ。そしてSwordがあるという
ことはShieldもある訳である。
Automatic Guardと何が違うんだという話に
なるのだが、Automatic Guardの守る対象は
自分のみなのだそうだ。だから、誰かを一緒に
助けることが出来ない。そこで、Shieldを使うことで俗に言う結界の様な物を生成してそれによって
自分では無い誰かを守ることができるみたいだ。
実際に防具としてシールド、盾を顕現させることも
可能で、こちらも先の剣と同じような仕様である。
そしてWingsだ。こちらの能力も利便性は
かなり高い。翼を左右に展開して、
空を飛ぶことが出来る。ただ、異世界転生物語
じゃないから、この世界で誰かに飛んでる所を
見つかったらマズイ。こちらもHideと併用して
隠匿する必要がありそうだ。
そしてWire。攻撃能力と通信能力を持った
ワイヤーのようなものを自由自在に指の先から
飛ばすことが出来る。これによって、
誰かが喧嘩を仕掛けてきてもHideとの併用で
自分は何もやってませんよ的な形で相手を
気絶させたりできる。ちなみにこの攻撃能力も
多岐にわたっていて、ナイフのように貫く物や
太陽光を使って熱を当てる物、
それから毒を入れる物や電気ショックを流す物等
様々だ。恐ろしい。
以上、僕が手に入れたツール類である。
想い次第でなんににでもなるので、
これからにも要期待、って感じなのだ。
これで、準備は整った。さぁ、始めよう。




