表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/9

#5あなたと

私は一条唯織。蒼様の使用人を務めている。

蒼様が頑張っていることは知っている。

こんなクソッタレな家のために、一生懸命「良い子」でいる蒼様が好きで、かっこよくて、かわいい。

この気持ちは絶対表に出しちゃダメだ。

物理的に首が飛ばされかねないから。

そんな私のかけがえのない存在、

蒼様を襲撃する事件が起きた。命懸けで守ろう。

そう決意したのに。蒼様は身を呈してまで

私を庇ってくださった。相手がナイフや拳銃なら

あんなことにはならなかった。

相手がサブマシンガンなんて持っているから

負けたのだ。...いいや、こんなのただの言い訳だ。

蒼様を守れなかったことに変わりは無いから。

首が飛ぶことくらい覚悟していたのに。

監視カメラの映像から何故か知らないけど許された。そして今、月城病院のVIPルームに入院中の蒼様の

もとにお見舞いに来ていた。意識は戻らない。

今夜が山場らしい。使用人失格だ。

襲撃者に蒼様の体を傷付けることを

許してしまうとは。もう考えても仕方ない。

私には祈ることしか出来ないのだから。

今出来るのは蒼様の手を繋いで、

ただ応援することだけだった。

そして、いつの間にか私の瞼は落ちていた。


..体が暖かい。安心感がある。もしかして、

戻ってきたのか。あの神と名乗る人物。

どんな力を受けたのか、分からないけど。

ゆっくり重たい瞼を精一杯上げる。

視界はぼやけているけど、ここが病室で、

夜だということだけ分かった。

だけどなにか違和感がある。左手が暖かい。

そしてお腹が少し重い。10分かかった。

視界が完全回復するのに。どうやら僕は唯織に

手を握られているようだ。おそらく僕が心配になってお見舞いに来て手を繋いだところ、

急に眠くなって意識が落ちたのだろう。

彼女は僕を守るために頑張ってくれたのだ。

感謝しかない。動かしにくい左腕を一生懸命

動かして、唯織の右手を手繰り寄せた。

そして、「いつもありがとう。大好きだよ。」

そう言って彼女の手の甲にキスをした。

これは恋愛感情じゃない。感謝と敬意だ。

そしてそのまま、また僕はゆっくりと

意識を落としていった。


..ハッ!もう朝みたい。窓から微かに差し込む

太陽の光が眩しい。違和感に気付いた。

蒼様の手を握っていたハズの自分の手が、

蒼様の胸に置いてある。そして微かに残って

いる手の甲にある感触。そして唯織は最大レベルで

その天才脳を回し始める。数少ない情報から最適解を導きだす。

「まさか...」どうやら自分は蒼様に

キスされたらしいということは分かった。

急激に頬が赤くなるのが自分で分かった。

嘘でしょ...嬉しさ、動揺、疑問...様々な感情が

ミキサーにかけられてぐちゃぐちゃになる。

そして零れ落ちた一滴の水滴。

ああ、こんな私が。何も出来なかった私が。

今、私の主人、蒼様に愛されてる。

こんな私でも愛されてるんだ。よかった。

蒼様に嫌われてしまったら、もう私は

戻れないかもしれない。ただ、愛されてる。

それが分かったからか、私の目はいくつもの水滴を

流している。なんでだろう。

こんなにも苦しい気持ちが少しずつ

消えていくような感覚だ。この日私は改めて

決意したんだ。蒼様のためだけに生きるのだ、と。

彼らの戦いはここから始まる。彼らが、彼らになるための戦いが。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ