凄まじい悪意で、あつく。
僕は、熱帯魚を飼っているんだ。
熱帯魚にも、色々いるんだよ。
アカヒレ。鈍い銀色の体に、一筋の光が射すような、ラインが入っている。ぼかしたような朱色が混じった、透明なしっぽをつけている。価格も安いし、丈夫な魚だから、飼いやすいんだよ。初心者向けかな。
ネオンテトラは、おなじみだよね。赤と青のラインが入った熱帯魚。ラインが光って、ネオンのように見えるから、この名前がついたんだって。どうして、こんなに美しいんだろうね。
あとは、グッピー。こちらも、おなじみかな?鮮やかな色の、背ビレとしっぽが、まるで、ドレスを纏うよう。とても優雅に泳ぐんだ。
その日も、僕は、熱帯魚達にエサをやったあと、しばらく、舞うように泳ぐ、熱帯魚達を見ていた。
でも、何故か、突如、凄まじい悪意が湧いてきたんだ。
そして僕は、水槽についている、温度調節レバーを、徐々に、徐々に、上げていった。
熱帯魚達は、最初は、いつも通りに泳いでいたけれど、徐々に不可思議な動きを、するようになった。変な所で、カクッと曲がったり、上がったり下がったりするんだ。
そして、そのうち、泡を吹きながら、1匹ずつ、1匹ずつ、水面に上がっていった。
僕は、熱帯魚達が、悶え苦しみながら、死んでいく様を、微動だにせず、眺めていたんだよ。
それでね、最後の1匹が、ぷかりと、水面に浮いた時、僕が思ったのは、可哀想とか、そういう事ではなく、指をほんの少し動かすだけで、生き物の命を奪えるなんて、面白いな……と、いう事だったんだ。
それでね、今さ、地球温暖化じゃない?
いや、今は、地球沸騰時代に入ったとか、ニュースで言ってたかな?
誰かがさ、僕達の知らない、何か強い力を持った誰かがさ。
凄まじい悪意で、地球の温度調節レバーを、徐々に、徐々に、上げていってさ。
僕達が滅びる様を、微動だにせず、眺めていたとしたら……。
……────面白いよね。
新井玲音、ダークサイド(初)の作品ですね。
初めて、私の作品を読まれる方に、この作品の印象が、ついてしまうのも、ちょっと……と、思わなくもないので(汗&笑)
よろしければ、他の作品も、読んでいただけたら、幸いですm(_ _)m
お読みいただき、ありがとうございました。