表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アポカリプス ~ 神道界と魔法界の戦い ~  作者: 千代田 昌子
第1章 小学校編
10/54

夢に現れた人。その後、歌が、声が、聞こえる。

 私たち家族はよく、夜ご飯を食べながら歴史のクイズ番組を見た。


 今回は日本三大怨霊というテーマだった。


 何のことは無い、面白おかしく、大袈裟に演出して、クイズ番組にしているような内容だった。


 私はその番組の中で、

「瀬をはやみ 岩にせかるる 滝川の われても末に あはむとぞ思ふ」という歌が読まれた時に、聞き覚えがあったので「あっ。」と思った。


 小学校では、百人一首を覚えさせられていた。


 いろいろな歌の意味を先生が説明してくれた時、こんな綺麗な歌を、男の人が詠んだりするんだな・・。と、とても心に残ったのが、崇徳上皇様の歌だった。


 何となくクイズ番組を見ていたけれど、怖い顔をしたその人が、空を睨んでいる絵は、その歌の綺麗な切ない印象とはかなりかけ離れたものだったので、私はふと思った。


「本当にこんなに怖かったのかなぁ。この上皇様はどんな人だったんだろう。」


 私はとても気になったので、その上皇様の事を解説した本を、数日後、お母さんにお願いして買ってもらった。でも、途中で読むのをやめてしまった。何故か、「怨霊」という言葉がしっくりこなかったからだ。


 ある日、私は家でまったりと過ごしながら、その上皇様の本を読んでいた。


「どんな人だったんだろう。気になるなー。」と思っていると、急に眠くなって眠ってしまった。


 そうすると、私はすぐに夢を見た。後ろから強い光が射していて、逆光で顔が暗くてよく見えない、男の人が私にこう言った。


「あのお方は、太陽のような言葉を話す方でした。」


 その言葉を聞くとすぐに、私はぱっと目が覚めた。


「今の人は誰だろう。」


 私はとても不思議な気分になった、兜と言えば五月人形だけど、五月人形の兜には、右と左に大きな飾りがある。 

 その男の人は、その部分が無い帽子のような兜を頭に被っていた。


 

 そんな不思議なことがあるものだから、私はますます、上皇様の事が気になった。本を詳しく読むと、京都に御霊みたまを移したとあったので、夏休みに丁度、京都に行くことだし、絶対にお参りに行ってこようと強く思った。



 それから数日後、家族で車で出かけた日は、帰りはとても綺麗な夕焼けだった。

 遠くの山々がオレンジ色の夕日の光と一緒になって、物凄く幻想的な、薄いオレンジ色の水墨画のような景色になった。皆んなでその景色に見とれていると、


「うおおおおおおーーー。」


 と、高いような低いような、よく響く声が聞こえてきた。私はびっくりして、

「これ何の声?お父さん、ラジオの音大きいよ!」と言うと、お父さんは呆れた声で、

「何もつけてないし、何も聞こえていないよ。」と言った。


 私はびっくりして、「え?だって、男の人の声聞こえるでしょ?」と聞いてみると、お父さんもお母さんもお姉ちゃんも、

「そんな声聞こえないよ。」と口をそろえて言う。私は「えー。」と言いつつも、その声に耳を傾けてみた。



 連なった山々の、この夕焼けの眺めは、かつて私がいた場所に似ている。

 山の重なり方によって、濃くなり淡くなる美しい柿色の色合いが、あまりにも美しいので私の心を強く動かした。

 帰りたいあの場所には帰ることが出来ないが、この景色は私の心を美しく染め、私を優しく慰めてくれる。

 天野浮舟が私を乗せ、私をあの夕日の中に連れて行ってほしい。



 とても澄んだ張りのある響きの良い声だった。


 夕日がだんんだん暗くなってくると、声は聞こえなくなり、何も無かったかのような藍色の空の、見慣れた街並みになった。私は本当に不思議な気持ちでいっぱいになった。


 家の前に着くと、お父さんとお母さんとお姉ちゃんが車から降りて来て、三人が同時に私の顔を覗き込むように聞いて来た。

「何?どうしたの?何が聞こえたの?」


 私は、聞こえてきた声と歌をそのまま伝えた。


 お姉ちゃんは、「えー。何も聞こえなかったし。でも、そんなことってあるんだね。」と、肩を窄めた。

 

 京都で上皇様の御霊が帰られた場所は、白峯神宮だったと思う。私は、「絶対に白峯神宮に行く!」と気合を入れて、夏休みの計画を立てていった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ