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短編とかその他

呪われた子供として虐められていた私は、神龍の生贄にされて救われました

作者: リィズ・ブランディシュカ
掲載日:2022/02/02



 私は呪われている。


 どうしてそんな事が分かるのかって?


 それは。


 私の近くにいる者は、ことごとく不幸になってしまうからだ。


 私の近くにいるとその人が怪我をしたり、嫌な目にあったり、怖い事が起きたりしてしまう。


 だから、私には友達ができなかった。


 五歳になっても、七歳になっても、十歳になっても。


 ずっと、親しい友達ができなかった。


 それどころか地元では、口を聞いてくれる者すらいなかった。


 何か話しかけようとしても、みんな逃げてしまう。


 私に声をかけてくれるのは、家族である両親だけ。


 私はそれが、ずっと寂しかった。


 でも、それだけならまだ良かっただろう。


 十を過ぎた頃から、他の子供達からの嫌がらせされるようになった。


 拒絶から、敵意へと変わっていったのだ。


 石をぶつけられて額から血を流したり、棒で叩かれたり、ペットをけしかけられて獣に噛みつかれたりした。


 そんな事が続いた私は、辛くて仕方がなかった。


 楽になれるなら、死んでしまった方がいいのではないかと、何度も思った。


 けれど、ある時、状況が一変した。


 私は神龍の花嫁に選ばれたらしい。


 神龍とはこの世界のバランスを保つ聖なる存在だ。


 この世界には、邪悪な世界と聖なる世界が存在している。


 しかし邪悪な世界の者達は、聖なる世界で生きる者達を害そうとしている。


 だから、神龍は二つの世界の間に壁をつくって、両方の世界の人間がまじわらないようにしているのだ。


 けれど、それには力がいる。


 壁を作る事で消耗した神龍は、人の命をくらって回復するらしい。


 そのため、数百年に一度、神龍の花嫁が選ばれるのだ。


 花嫁と言われているが、実際は生贄のようなものだった。


 名誉ある役目と言う事で、表向きには皆から祝福されるけれど、死刑宣告に等しい。







 ともかく、そんな事があったため、私は神龍の元へ赴かなければならなかった。


 ひどく悲しむ両親に別れを告げて、支度をととのえた。


 そして、豪華な馬車にのせられて、決して二度歩く事のない道を、進んでいく。


 たどりついた場所で、馬車が引き返していく。


 私は今すぐ舌を噛んで死のうかと悩んだ。


 今さらになって、竜に殺されるのが恐ろしくなったからだ。


 辛い現実から解放されたいと願っていたはずなのに。


 生きたいと思ってしまった。


 やがて、その場に龍が現れる。


 龍は、想像通り恐ろしい見た目の生き物だった。


 血の様に赤い目で私を見つめる。


 その様はとても恐ろしかったけれど、なぜかどこか苦しそうに見えた。


 そこで私の視線はとある一点に吸い寄せられた。


 なぜか、そこから嫌な雰囲気を感じたのだ。


 龍の額には、綺麗な宝玉がはまっている。


 しかしその宝玉に一つの槍がつきささっていたのだ。


 私はどうせ殺されるなら、と思って話しかけた。


「私が額にささっている槍をとってあげるわ。そうしたらしばらくの間殺さないでくれる?」


 龍に言葉が通じるのか分からなくて不安だったが、結果は行動でしめされた。


 龍は、頭を下げて、自らの額をこちらにちかづけてきた。


 私は手を伸ばし、その宝玉にささっている槍を力いっぱい引こうとした。


 それはそうとう深くつきささっていたらしい。


 かなり難儀したが、小一時間かけて最終的には引き抜くことができた。


 すると心の中に龍の声がきこえてきた。


 龍はどうやら私に感謝しているらしい。


 というのも、あの槍は呪いの槍だったらしい。


 その槍のせいで、人を喰わないと生きられないという呪いに煩わされていたようだ。


 それは壁を作る前に、邪悪な世界の者から、つきたてられた品物らしかった。


 その槍が抜けたと言う事は、私は食べられずに済んだと言う事だ。


 しかし、どうして私はその槍の存在が気になったのだろう。


 首をかしげると、龍が推測を語り掛けてきた。


 呪いにかかっている者同士はお互いの事が何となくわかるらしい。


 と。


 だから、私が呪われていたから、呪いの槍の事が分かったのかもしれない。


 そして、呪われた品物は、呪いにかかっている人間しか手にできない。


 私は運命めいたものを感じていた。


 龍はお礼に、私の呪いを聖なる力で浄化してくれるという。


 今なら、万全の状態で力を振るえるから、人間一人の体から呪を消し去るのもたやすいらしかった。


 私は夢のような心地だった。


 ほんの少し前まで、死ぬかもしれないと思っていたのに。






 その後、私は竜の手?(状態的には、背にのせてもらって、だが)によって無事に家に送り届けられた。


 娘はもう帰ってこないとばかり思っていたらしい両親も、これには驚きだ。


 龍に乗った私をみて、死ぬほど驚いていた。


 その後に、龍の生贄はもう必要ないと言う事を然るべき場所へ伝える事になった。


 事実が事実なだけに、最初は信じてもらえなかった。


 それどころか私が役目を放り投げて逃げてきたといわれる事になってしまった。


 だが、本人(本龍?)の言葉もあって最終的には信じてもらえるようになった。


 その後、私を虐めてくる人達はいなくなった。


 呪いが消えたためだ。

 あの龍が私に、幸せをくれたのだ。


 私は、龍とその後の花嫁になるはずだった者達を、呪いから解放した者として、多くの人に称えられながら、その後の人生を過ごした。



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