2 『受け取ってくれるとうれしいね。受け止めてもらえると安心するね』
僕のいる理系クラスには、女子が圧倒的に少ない。
そして理系クラスを選択する女子というのはたいてい変わっていたり、キャラが強かったりで、僕は少し苦手だった。なのであまりクラスの女子とは関わらないようにしていた。
だから僕は高校生活で、女子とフリートークをしながら一緒に下校だなんて、そんな青春イベントが自分の身に起きることなんて完全に諦めていた。
僕が画伯とお呼びしている竹内ちづると、週1で一緒に帰るようになったきっかけは、僕が技術部、画伯が美術部だったからだ。
そして美術部と技術部の部室が隣同士だったこと、部活の終わる時間がだいたい同じだったこと、帰り道がほとんど同じだったことの、三つの偶然が重なった結果によるものだった。
文化祭前の準備で帰りが遅くなり、両部活の顧問から女子一人での帰宅を避け、なるべく家の近くまで誰かと帰るようにと指示があった。僕はその日から画伯の家の近所まで一緒に帰ることとなった。
竹内ちづるは、僕が思う典型的な文系の女子だった。
ちょっと控えめで大人しくて、絵と本が好きで、あんまりグイグイこない。
お互いに十分すぎるほどの距離感を保てる関係が、僕的には安心した。ぐいぐい来る女子は正直、苦手というよりも怖い。
でも――同じくらい、この先のちょっとドキドキするような展開はないのかもな、という小さな諦めを感じていた。
それくらい、十分すぎる距離があいていたから。
文化祭が終わって、帰宅時間も通常のサイクルに戻り、もう画伯とは一緒に帰る理由もなくなった。
もともと画伯は塾があるからなのか、よくは分からないけれど、部活は週に一回しか出ていなかった。
だけど。
「あの、せっかくなら別々に帰るより、一緒に帰りませんか?
方向も一緒だし、いつも数メートル後ろにいますけど。私と帰るのが……嫌じゃなければ……」
君がそんなふうに言い出して。
僕はすごく驚いた。願ってもないことだった。
その日から毎週金曜日に、僕たちはまた一緒に帰るようになった。
絵手紙を最初にもらったのはその次の金曜……あれ? 次の次の金曜日だったかな。ごめん、あんまり覚えてないや。
でも君が最初にくれた絵手紙は、緑がいっぱいで、かわいい女の子が笑っているやつだった。
それはちゃんと覚えてるよ。
だってまだ、それは僕の部屋の引き出しに入ってるからね。
もちろん他のも。ちゃんと全部大事にしまってあるよ。
本当だよ。




