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98. side エミリオ

「ライラ、手を出してごらん」


ライラの手は赤く腫れ上がり焼けただれていた。

これは完治するのにかなりの時間がかかるし痕が残るかもしれない…。


リオネルの魔力は本当に厄介だな。

簡単に治せない様にしている。



俺に出来るのは気休めに痛みを和らげる事くらいだ。


「何故、あの様な事をしたんだ?」


「あの方が悪いのですわ…」


自分は悪くないと言い続けるライラに思わず溜め息が出る。


「あの方は婚約者が居るのに王太子殿下やお兄様達と特別に親しくしていると聞きました!!」


レティシア嬢の悪い噂は、まだ消えていないのか……。

カリーナとその友人が流した噂をリオネルに相手にされなかった令嬢達が面白おかしく流しているのだろう…。


「それは噂で真実ではない」


「でも、皆さんがっっ!!」


「お前が何を言われたか知らないが噂だけで浅はかな事をしたのは分かった」


ライラはカリーナを失った令嬢達に目をつけられたのかもしれない。

だからといって公爵家の令嬢が簡単に利用されては困る。


「ライラ、暫く部屋で謹慎していろ」


ライラの部屋から出ると溜め息が零れる。

レティシア嬢の頬は赤く腫れていた。

ライラが…俺の妹が、彼女を傷付けた。


「完全に嫌われたな……」




数日後。

父上が物凄い剣幕で帰って来た。

リオネルが正式に我が家へ抗議をしてきたのだろう…。


「今すぐライラを呼べ!!」


ライラは良くも悪くも父上に似ている。

二人にするのは危険すぎると思い同席することにした。




「お前は一体、何をしたんだ?ルグラン家からは正式な抗議、騎士団長からは一日中、嫌味を言われ続けたぞ!!」


「騎士団長って、ダイアナ嬢にも何かしたのか?」


「ダイアナ…?孤児院に居た方ですか?」


ライラの言い方でダイアナ嬢に何をしたのか大体、分かってしまう。


父上と二人で盛大な溜め息を吐くとライラがムッとする。


「私は悪くありません!!」


「エミリオは優秀に育ったのに何故ライラは……」


父上は頭を抱えている。


「父上、この件は私に任せてもらえませんか?」


「エミリオ…?」


「ライラに誠心誠意、謝罪をさせます」


レティシア嬢は形だけの謝罪では受け入れない。

ライラが、こうなったのには甘やかした俺にも責任がある。


「エミリオ、分かったお前に任せる。本当にお前は自慢の息子だ」


自慢の息子…。

そう言われると嬉しいはずなのに胸が痛くなる。ライラが我が儘になったのは俺に責任があるのに…。


ライラを連れて部屋から出ると不機嫌な顔で「絶対に謝罪はしない!!」とわめきだした。


まずは自分の立場を自覚させなくてはならないようだな…。


ライラを立派な公爵令嬢にするのは俺の役目だ。

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