97. side ダイアナ
本当の事を言われたくらいで傷付いたりしない。
私を庇うように前に出たレティシア様の背中を見つめていると視界がぼやけてきた。
泣きたくないのに…。
涙が零れないように必死に耐えていたら背後からリアム様の声が聞こえた。
「これは何の騒ぎだ?」
振り返るとリアム様は私の顔を見て眉をひそめた。
「何があった?」
何でも無いですよと言いたいのに言葉が出てこない。
安心させたくて首を横に振ると…リアム様が力強く私を抱き締めた。
「俺が来たからもう大丈夫だ」
リアム様の腕の中は温かくて我慢していた涙がポロポロと零れ、泣きたくないのに涙は止まらなくてリアム様を困惑させた。
「ダイアナ…何があった?」
「………」
リアム様は私の涙を拭うと優しく手を引いて場所を移動した。
「後はリオネルに任せておこう」
リアム様とお昼休みを過ごすベンチに並んで座ると大きな温かい手が優しく頭を撫でる。
「ダイアナ…話せるか?」
上手く話せなかったけど何とか状況を説明するとリアム様は烈火の如く怒りを露にした。
「あの女、叩き斬る」
「い、いけません!!騎士道は、どうなさったのですか?」
いきなり乱暴な事を言うリアム様を慌てて止める。
「俺は騎士である前にお前の婚約者だ。お前を傷付ける者は誰であっても許さない」
「本当の事を言われただけです……」
だから大丈夫と言いたかったのにリアム様が優しく抱きしめるから涙がまた零れた。
「ダイアナ、俺はリオネルの様にお前に『騎士の誓い』をする事はできない。それでも俺が誰よりも守りたいのはお前だ!!」
「リアム様……」
嬉しいのに涙で言葉が詰まって出てこない。
リアム様の唇が目蓋に降ってくる。
「くすぐったいです」
ふふふっと笑うとリアム様の目元が少し緩んだ。
「お前は笑っている方が可愛い。俺の腕の中で安心して笑っていれば良い」
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