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「何があったのか教えて?」
「私にもよく分からなくて…」
先程の出来事を話すとリオネル様の顔は少し険しくなった。
「私は叩かれた事よりもダイアナ様に酷い事を言ったのが許せません」
リオネル様は叩かれた頬をずっと撫でていてくすぐったい。
すぐに治癒魔法をかけてくれたから大丈夫なのに。
「もう痛くはありませんよ?」
リオネル様の眉間の皺を撫でると表情が少しやわらいだ。
リオネル様の過保護は今に始まった事では無いけれど……。
頬を叩かれただけで抱えられて帰宅する事になるとは思いませんでした。
使用人達が騒然とする中、リオネル様と応接室でお父様を待つことに……。
「フランツ公爵家の令嬢がレティシアに暴力を振るいました」
お父様はフランツ公爵家と聞いて顔面蒼白になっている。
「お前、何か失礼な事でもしたのでは無いのか?」
「何もしておりません!!」
少しムッとしてしまう。
「レティシアには何も落ち度はありません」
すぐにリオネル様が庇ってくれた。
「この事はルグラン家から正式に抗議をさせて頂きます」
相手が公爵家なので我が家は泣き寝入りするしかない。
「本当にリオネル殿には迷惑ばかりかけてしまい申し訳無い……。レティシアは、どうも緊張感にかける所がありまして…アレクシアならこんな事にはならなかっただろうに……」
リオネル様に相応しいのは私よりアレクシアだと言われているようで胸の奥がズキリと痛くなる。
「いえ、そんな所も含めてレティシアの全てが愛しいので問題ありません」
リオネル様は私の腰を抱き寄せて頭を撫でた。
お父様の前で恥ずかしいけど嬉しい。
いつもの癖で私もリオネル様にすり寄ってしまう。
お父様は私達のやり取りを見て顔を赤くしていたけどリオネル様に「娘を宜しくお願い致します」と頭を下げて部屋を出ていった。
それから半月ほど何事もなく過ごしていたのだけど突然ライラ様からお茶会の招待状が届いた…。




