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91. side 騎士団長夫人

私の息子は愛する旦那様に瓜二つ。


そう言うとさぞや息子を溺愛している事だろうと思われがちだけど、けしてそのような事は無い。


息子は似なくて良いような所まで旦那様に似ていて私の頭を悩ませている。


「はぁ」


息子の婚約が決まらない……。


見た目は、けして悪くは無いと思う。

問題なのは何を考えているか分からないあの顔。

旦那様譲りの無表情。


何故、そんな所まで似てしまったのかしら……。


婚約が纏まりそうになっても必ず相手の御令嬢から断られる。


「はぁ」


旦那様も無表情だけど私が上手くやっていけているのは私と旦那様が幼馴染で何となく何を考えているのか分かるから。


「はぁ」



息子にも幼馴染が居たら良かったのに…。


あの子が居てくれたら良かったのに…。


慈善活動で訪れた孤児院に居た女の子。

珍しい事に息子に懐いているようで訪れる度に息子と遊んでいた。


とっても可愛い子で頭も良かった。


もし息子の事を好いてくれているのなら、婚約者として引き取りたいと思っていたのに…。

何処かの貴族令嬢だと分かって引き取られていってしまったらしい。


「はぁ」


上手くいかないわね。


あれだけ可愛かったのだから今頃は美しく成長している事でしょう。


家の息子なんて見向きもされないわね…。




「さっきから何をそんなに、ため息をついているんだ?」


「まぁ旦那様、お帰りになってたのですね」


いつの間にか旦那様が帰って来ていた。

お出迎えもせずに申し訳ない。


「悩み事か?」


「リアムの婚約が…纏まらなくて…」


「リアムの事なら心配いらないだろう。あいつは俺に似ているからな」


いや、心配しか無いのですが?

さらに貴方様の遺伝子を恨んですらいるのですが?


「リアムは俺に似ているから最高の女に巡り逢えるよ」


旦那様が少し微笑んだ。

私にしか分からない微かな表情の動き。


「俺にお前が居たようにリアムにも唯一の存在が必ず現れるから心配するな」


「…はい」


そう言われても母は心配なのです。

旦那様に聞こえないように何度目かのため息をついた。


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