90
最近、見る夢は白い靄がかかっていてよく見えない。
ただ私の手を握る温かい手だけは変わらない。
目を覚ますと少し寝すぎていたようでリオネル様が心配そうに私の顔を見つめていた。
「全然、起きないから心配したよ」
リオネル様はホッと息を吐くと私の頭を撫でて部屋から出ていった。
昨日は居眠り、今日は寝坊……。
本当に穴があったら入りたい…恥ずかしい…。
急いで準備をすると私用にドレスが数着用意されていた。
その中から薄紫色のドレスを選んで着るとリオネル様が嬉しそうに微笑む。
リオネル様にエスコートされて食堂へ行くと少し遅めの朝食が用意されていた。
私が寝坊したばかりに、みんなにも迷惑をかけてしまった…。
「私のせいで仕事を増やしてしまってごめんなさい…」
使用人のみんなは顔を見合わせて「とんでもない」と首を横に振る。
リオネル様は「みんなレティシアの事が大好きだから安心して良いよ」と頭を撫でてくれた。
ルグラン邸の使用人は、みんな優しくて私も大好き。
リオネル様と朝食をすませると久しぶりに、お庭を散歩する事に…。
リオネル様とお庭を散歩する時は自然と手を繋ぐ癖ができているようでどちらからともなく手を繋いで歩いた。
夢の中と同じ温かいリオネル様の手。
ずっと繋いでいたい大好きな手。
ぎゅっと握るとリオネル様も握り返してくれた。
「最近、リオネル様と手を繋いでいる夢をよく見るんです」
「俺もいつも君の夢を見ているよ」
リオネル様が私の頭を優しく撫でる。
もっと撫でてほしくてすり寄るとリオネル様の腕の中に包まれた。
「ずっと側に居て下さいね」
顔を上げるとリオネル様と視線が重なる。
薄紫色の大好きな瞳。
ほんのり赤く染まったリオネル様の頬を撫でるとリオネル様が手を重ねてきた。
「一生、側にいるよ。君が嫌だと言っても離さないよ」
明けましておめでとうございます。
今年も読んで頂けると嬉しいです。宜しくお願い致します。




