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「今度、剣術のトーナメントがあるんだ…」
お昼休みにいつもの中庭で過ごしているとリオネル様は浮かない顔をしている。
「何も知らずに去年、全力を出してしまったから今年も出るはめになった…」
リオネル様は「はぁー」とため息をつく。
「リオネル様は出場したくないのですか?」
「あんなの騎士科のお祭りみたいな物だよ。魔法科や普通科からしたら良い迷惑だ…」
どうやらリオネル様は、一年生男子は全員参加の剣術トーナメントで去年、準優勝してしまったらしく今年も強制参加させられるらしい。
「二年生からは参加自由なのに…」
嫌がるリオネル様には申し訳ないけど剣を握るリオネル様の姿は滅多に見られないので、少しワクワクしてしまう。
リオネル様も騎士服を着るのかしら?
想像しただけでカッコ良くて胸が熱くなる。
「レティシア?」
リオネル様は珍しく不機嫌な顔をしている。
「俺の話、聞いてる?今、何を考えてたか話してごらん」
「あの…」
がっちり腰をホールドされて逃げ場を失った私はキョロキョロと視線をさ迷わせてしまう…。
「剣を握るリオネル様を想像してました…」
恥ずかしくて声が小さくなる。
聞こえたかな…?
「俺が剣を握っている姿が見たいの?」
こくりと頷くとリオネル様は機嫌が治ったのかニコニコして私の頭を撫でた。
「レティシアが応援してくれるなら頑張る」
「もちろん応援しますよ」
剣術トーナメントは三日間で繰り広げられてリオネル様は最終日に勝ち残った相手と戦うらしい。
「去年の優勝者はどなただったのですか?」
「去年は騎士団長の息子のリアムが優勝した」
リアム様か…。
騎士団長の息子だから、やっぱり強いんだろうな…。
「リアムは兄弟子だからね、勝てる気がしない」
「え?」
兄弟子?
「俺の師匠はリアムの父親だよ?」
リオネル様って騎士団長に直接、指導してもらってたの?
それは強いはず。
そういえば…剣術トーナメントってイベントがあったような気がする…。
お約束なんだけどヒロインが応援した相手が優勝するやつ。
後でダイアナ様に確認しておこう。




