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「レティシア嬢、それではまた…」


殿下と別れてリオネル様に手を引かれてフロアから離れるとホッと息を吐いた。


「レティシア?」


「殿下と踊るのは緊張して……」


リオネル様の手が優しく私の頬を撫でる。


「続けて踊って疲れたろう?」


頷くとリオネル様は飲み物を取りに行ってくれた。


フロアを眺めながらリオネル様を待っているとロラン様と踊るアレクシアが目に入る。

とても優雅で美しい双子の姉は皆の視線を独り占めにしている。


美しい姉に見とれていると……。




ーバシャッッー





背後から液体が零れるような音がした。


振り返ると私のすぐ後ろに真っ赤なジュースを頭から被っている令嬢が立っていた。


誰…?


呆然としていた令嬢は私と目が合うと、鬼の形相に変わった。


怒り狂って私に何かを叫んでいるけど何を言っているのかよく分からない…。


周囲の視線が私たちに集まる。


どうしよう…。

私が、この人に飲み物をかけたと思われているかもしれない…。



「これは何の騒ぎですか?」



困っていると男の人が私と令嬢の間に入ってきた。


この人は、確か……。



「エミリオ様、この方が私に飲み物をかけたのですっっ!!」



エミリオ様と呼ばれた男性は私の方を向くと目を見開いた。


やっぱりカップケーキを渡した人だ。


「貴女が、かけたのですか?」


首を横に振ると……。


私に何かを言おうとしている所にダイアナ様が入ってきた。


「私、見てました!!この人がレティシア様の後ろから飲み物をかけようとしてました!!」


たしかに令嬢の手には空のグラスが握りしめられている。


もう何が何だか分からない。



「何の騒ぎですの?」


とうとうアレクシアまで出てきて会場のほとんどの人がこちらを見ているのに気付く…大変な騒ぎになってしまった……。


「あら…?先輩ではありませんか?」


アレクシアが、にっこり微笑んで令嬢の前に立つ。


「私の妹にジュースをかけられたのですか?」


え…?

アレクシア…?


どうしよう。

涙が出そうになってきた。

アレクシアも私を疑っているの?


「レティシア?」


リオネル様が騒ぎに気づいて戻ってきてくれた。


「リオネル様…」


何が何だか分からないと今の状況を伝えるとリオネル様は優しく私の背中をさすってくれた。


「大丈夫。彼女は全部、理解しているよ」

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