65. side ダイアナ
騎士科の校舎は離れていてリアム様と偶然すれ違うなんて事はあり得なかった。
リアム様との出逢いイベントって何処だったかな?
あーもう本当に全然覚えてない。
どうせ適当にスチル回収だけしてたであろう前世の私を殴ってやりたい。
来世のあんたは一番興味が無かった騎士団長の息子リアム様に恋をするのよっっ!!
それにしても一番好きだった王太子殿下に逢っても何も感じなかったのにもビックリした。
もう少しトキメキとか感じると思ってたのに…。
記憶にあるスチルだとリアム様は騎士姿が多いから練習中にイベントが起こる可能性が高い気がする。
騎士科の練習は見学可能らしいから放課後、行ってみようかな。
放課後、騎士科の練習場に来てみたけど、本当に見学可能なのよね?と思うくらい誰も居なかった。
私ひとり?
とりあえず隅のベンチに座ってリアム様の姿を探すけど見当たらない。
リアム様、居ないのかな?
少し期待してた、私が来たらイベント起こるかもしれないって……。
やっぱりそう簡単には出逢えないよね…。
諦めて帰ろう。
また明日、来てみようかな…。
ベンチから立ち上がると数人の騎士科の生徒に囲まれていた。
「誰に逢いに来たの?」
「可愛いね、名前教えてよ」
背の高い男の人達に囲まれて怖くて声を出せずに居ると
私を庇うように男の人が間に入ってきた。
「怯えているではないか!!お前達はもう一度、騎士道を学び直せ!!」
前より背が高くなってるけど声も低くなってるけど…
それでも私はこの後ろ姿に見覚えがある。
胸がドキドキする。
「御令嬢、後輩が失礼をしました。出口までお送りしましょう」
振り返ったその人は、やっぱりリアム様だった。
「リアム様…」
「ダイアナ…?」
嬉しくて涙か溢れてきた。
「ダ、ダイアナ…怖かったな…申し訳ない、あいつらにはちゃんと言っておくからな…」
リアム様は私が怖くて泣き出したと勘違いしてオロオロしだした。
「ふふふ」
その姿が可愛くて思わず笑ってしまった。
「ダイアナ?」
「リアム様、失礼致しました。もう大丈夫です」
「貴族に引き取られたと聞いていたけど見違えたな…」
リアム様の手が私の頭を優しく撫でた。
頬が赤くなってしまう。
「ダイアナは何か用があってここに来たのか?」
リアム様に逢いたくて来たって言えば良いのに上手く言葉が出ない…。
「あの……」
「おいで出口まで送るよ」
リアム様に手を引かれて練習場の外へ出るとそのまま馬車まで送ってくれた。
「リアム様…」
「ダイアナ、騎士科にはあまり来てはいけないよ」
「え…?」
そう言うとリアム様は私に背を向けて去っていった。




