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リオネル様と手を繋いで歩いていると中央の広場へ着いた。
出店が、たくさん並んでいてまるで『お祭り』のよう。
休みの日はいつもこんな風に賑やからしい。
出店を通りすぎると少し静かな通りに可愛らしいカフェがありリオネル様に連れられて中へ入ると店内も可愛くてまるで絵本の中へ迷い込んだみたい。
少し混んでいたけどリオネル様が事前に予約を入れていてくれたようですぐに席に案内された。
可愛い店内を見渡していると女性客の視線が私たちのテーブルに集中しているのに気付く。
私たちと言うか視線は、ほとんどリオネル様へ注がれている。
メニューを持ってきた店員もリオネル様を見て頬を赤らめていた。
私が周りの視線を気にしているとリオネル様が口を開いた。
「レティシアの作るお菓子もまた食べたいな」
「またお作りしますね」
「俺以外の男に勝手に渡したらいけないよ?」
この間の調理実習のカップケーキの事をまだ言っているのだろうか?
あの後も沢山注意をされてしまった。
でもカップケーキ(しかも調理実習で作った)を渡したくらいで好意を持たれるなんて事は普通はありえない。
でも心配性なリオネル様を安心させる為に「リオネル様にしかお作りしませんわ」と、にっこり微笑んで答えるとリオネル様も満足したように微笑んだ。
注文していたケーキが運ばれてくると盛り付けも凄く可愛くて私のアイスはウサギの形にリオネル様のはクマの形にデコレーションされていた。
「可愛い」
思わず声に出してしまうくらい可愛い。
前世の私なら絶対に写真に撮って残すのに、この世界には写真が存在しない…。
崩すのが勿体なくてスプーンを握りしめてケーキプレートと見つめ合っているとリオネル様が吹き出した。
「早く食べないと溶けてしまうよ?」
「可愛くて勿体なくて…」
リオネル様は自分のプレートのクマのアイスにスプーンを突き刺すと私の口に運んできた。
「美味しいうちに食べないとクマが可哀想だよ」
こうしているうちにもアイスはどんどん溶けてしまう。
リオネル様のアイスを食べると口いっぱいにチョコ味が広がって笑みがこぼれる。
「もう一口食べる?」
リオネル様のアイスを食べて自分のウサギちゃんにもスプーンをさした。
苺味のアイスは甘酸っぱくてリオネル様は、こちらのアイスの方が好みかもしれない。
「リオネル様もどうぞ」
スプーンを差し出すとリオネル様もパクッと食べて「美味しいね」と微笑んでくれた。
可愛いし美味しいしお腹も満足して席を立つと周りの女の子達が真っ赤な顔をして私達を見ていた。
人前でした……。
一気に恥ずかしくなって持っていた帽子を目深に被って会計をしていたリオネル様の腕にしがみついてしまった。
ふたりのいちゃラブデートにもう少しお付き合い下さい。




