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「私の婚約者を取り囲んで何の用でしょう?」


リオネル様の冷たい声に私までビクリと肩が震える。

見た事も無いような冷たい表情のリオネル様に令嬢達は何故か勝ち誇った顔をした。


「リオネル様、迷惑なさっているのなら、はっきり言った方がよろしいですわ」


「この方に付きまとわれて迷惑なさっているのでしょう?」


私の肩を抱いているリオネル様の手に力が入った。


「迷惑?いったい誰が誰に迷惑していると言うのですか?」


「え?」


リオネル様の態度に令嬢達は困惑し始めた。


「何を勘違いしているのか知らないが言いがかりは止めて頂きたい」


リオネル様を見上げると優しく頭を撫でられた。


「彼女は私の大切な婚約者です。彼女の名誉を傷付けるのならルグラン家がいつでも相手をしますよ」


令嬢達の顔が青ざめていくと休み時間が終わる鐘が鳴った。

そそくさと去っていく令嬢達の後ろ姿を見て思わずホッとため息がこぼれる。


「大丈夫だった?」


「ええ、クリス様が通りかかって下さったので…」


リオネル様の視線が私からクリス様へ移る。


「彼女を守って頂いて感謝します」


「いえ、どうぞお気になさらずに自分はこれで失礼します」


「クリス様、ありがとうございました」


クリス様は小さく頷いて教室に戻って行った。


「医務室へ行くと使いを出そうか?」


「え?」


「レティシアは俺に用があって魔法科の校舎へ来たんだろう?」


あ、そうだった…。

医務室へ行くと使いを出してそのまま中庭へ向かった。


「授業をサボるなんて初めてです」


「うん俺もだよ」


リオネル様は楽しそうに笑っていつものベンチより奥の大きな木の下にハンカチを敷いてくれた。


「ここなら見つからないだろう」


ハンカチの上に腰を下ろすとリオネル様の手がペンダントへ伸びてきた。


「大事な話?」


「あの、お昼休みを御一緒できないと伝えたくて…ペンダントで伝えれば良かったんですけど、お昼休みに逢えないから、お顔を見て直接伝えたくて…」


大したことない理由に思わずうつ向いてしまうとリオネル様の手が私の頭を撫でた。


「そんな可愛らしい理由で逢いに来てくれたの?」


リオネル様にぎゅっと抱き寄せられた。


「でも次からは先に言ってくれたら俺の方から逢いに行くよ」


最近、魔法科では変な噂が流れていてあまり私が出入りしない方が良いらしい…。


「さっきみたいにカリーナ嬢と仲が良かった令嬢達が変な噂を流しているみたいなんだ」


ため息をつくリオネル様が少し疲れて見えた。


「彼女の呪いの影響なのかもしれない…」

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