42
「ダイアナ様まさか…前世の記憶が…?」
「はい。男爵家へ引き取られた時の驚きで思い出しました」
ヒロインが転生者なら聞きたい事は一つ。
誰のルートへ進むのか…。
「ダイアナ様は誰のルートへ進む予定なのですか?」
彼女の返事次第ではアレクシアが悪役令嬢になってしまう可能性がある。
じっと見つめているとダイアナ様は頬を赤らめて小さな声で攻略対象者の名前を口にした。
「私は、騎士団長の御子息のリアム様をお慕いしております」
騎士団長の息子リアム様。
私は、まだ逢った事が無い。
思わず「良かった」と呟くとダイアナ様が不思議そうに見つめ返して来た。
「もし王太子殿下ルートだと私の双子の姉が悪役令嬢になる可能性があって…」
アレクシアが悪役令嬢にならないのなら私の不安は消えた。
「悪役令嬢アレクシア」
ダイアナ様は「ふふっ」と笑うと懐かしそうに『乙女ゲーム』の話を始めた。
「レティシア様は全員攻略されましたか?」
「実は、そんなに思い入れが無くて王太子ルートしか覚えてないの。たぶん王太子ルートしかクリアしてないと思います」
「私は、このゲームが大好きで全員クリアしました。中でもお気に入りは王太子殿下で何度もプレイしてスチルも一番見ました」
え?なら何故?
「記憶を思い出す前にリアム様と数回、逢った事があるのです。気づいたらリアム様に恋をしておりました。でも王太子ルートばかりしていたのでリアム様の攻略方法は、うろ覚えなのです」
「がんばらないと!!」と微笑むダイアナ様はとても可愛くて間違いなくこの世界のヒロインなのだと思った。
「あの、アレクシア様とは仲はよろしいのですか?」
「昔は最悪だったけどアレクシアがロラン様と婚約してからは、それなりに仲良くしているのよ」
「そうなのですね」
楽しくお喋りしていたけどお茶会の授業は終わりの時間になった。
また、後でゆっくり話しましょうと約束をして教室へ戻る途中でカリーナ様とすれ違った…。
夜会で見た時より、痩せたと言うよりやつれた気がする。
ただ目だけは鋭くて私をじっと見てた。
カリーナ様と目が合うと身体が震え出した。
ダイアナ様が慌てて私の身体をさする。
「レティシア様?大丈夫ですか?」
大丈夫と言いたかったけど上手く声が出ない。
「レティシア様、医務室へ参りましょう」
ダイアナ様に手を引かれて医務室へ向かった。ベッドに横になると震えも落ち着いて声も出るようになった。
「ダイアナ様、ご迷惑をおかけしました」
「迷惑だなんてそんな…」
「私は大丈夫ですので、どうぞ授業に戻って下さいませ」
ダイアナ様は心配そうに眉を下げて医務室を出ていった。
目を閉じてベッドに横になっていると、ふと人の気配を感じた。
重たい目蓋を、ゆっくり開けるとリオネル様が居た。
「どうして?」
「ストロベリーブロンドの髪の令嬢が呼びに来てくれたんだ」
リオネル様の手が頬に触れる。
「顔が真っ青だ。側に居るから少し眠ると良いよ」
リオネル様の手は温かくて安心する。
目蓋を閉じると私はすぐに意識を手放した。
誤字報告ありがとうございます。




