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リオネル様は毎日、私を教室まで送り届け放課後も迎えに来てくれる。
とても嬉しいのだけどクラスメイトには過保護な婚約者だと思われている気がする…。
少し遠巻きに見られているのは、たぶん気のせいでは無いよね。
クラスメイトとあまり打ち解けられずに数日が過ぎて女子だけのお茶会の授業が始まった。
好きなテーブルに着席するスタイルなので、それぞれ仲が良い友人達で固まっているみたい…。
どのテーブルに着席しようか迷っているとひとりで座っているストロベリーブロンドの令嬢が居た。
「レティシア・ランベールと申します。ご一緒してもよろしいでしょうか?」
「え?あっダイアナ・ローレンスと申します。どうぞお座りください」
ダイアナ・ローレンス
やはり彼女は、この世界のヒロインだった。
ヒロインなだけあってとても可愛らしい顔をしている。
「あの…レティシア様は、私の噂をご存知無いのでしょうか?」
「噂ですか?何の事でしょう?」
私には噂話をする友人が居ないので、その手の話には疎い。
「私は、孤児院育ちの元庶民なのです…」
ヒロインのシンデレラストーリーと言うベタな展開はゲームだと王道で面白いけど現実世界を生きるヒロインからしたら中々ハードで入学してからも周りのヒソヒソ話に心を痛めていたのかもしれない。
「それが何か問題なのですか?」
「え?」
「ダイアナ様の所作はとても美しいですわ。
堂々となさっていれば良いのです。貴女の育ちをバカにして良いのは貴女より美しい所作ができる方だけですわ」
彼女の所作はとても美しい。
ほんの数年でマスターしたとなるとかなりの努力をしたんだと思う。
この様子ならダンスも完璧に踊れてしまいそう。
「レティシア様…ありがとうございます」
ダイアナ様は大きな瞳を潤ませて私にお礼を言った。
ヒロインはやはり可愛い。
「ダイアナ様、私とお友達になってくださいませんか?」
あまりの可愛さについ言ってしまうとダイアナ様はきょとんとした顔をした。
攻略対象者は彼女のこういう所に惹かれるのねきっと…。
「私で宜しければ喜んで」
にっこり微笑んだ彼女は本当に可愛かった。
ダイアナ様とお喋りしているとお茶会に特別ゲストが現れた。
ざわめく会場の中心には王太子殿下が居た。
殿下は私に気付くと真っ直ぐ私のテーブルに歩いてきた。
「こちらのテーブルが空いているようだね。ご一緒しても良いかな?」
「ええ、もちろんですわ」
ダイアナ様の方をチラッと見ると彼女は緊張して顔が青くなっていた。
殿下は私とダイアナ様と当たり障りない会話をして席を立った。
「ダイアナ様、大丈夫ですか?」
「ええ大丈夫です。とてもオーラが凄くて…」
ダイアナ様はお茶を飲んで「ふぅー」と息を吐いた。
「王太子殿下はレティシア様の事がお好きな様ですね」
うふふと笑いながら話す彼女に思わず
「王太子殿下が好きになるなら私ではなくてヒロインのダイアナ様の方ですわ」
とついうっかり言ってしまった。
ヒロインと言う言葉にダイアナ様は驚いたのか目を見開いた。
ヒロインの様に可愛いと言い直そうかと思っていたら…彼女は、とんでもない事を口にした。
「レティシア様は、乙女ゲームをご存知なのですか?」




