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クリス様は立派な人なのだと思う。
だけど夜会ではリオネル様の悪口を言ってた…。
「あの人、嫌い」
思わず口から出てしまった言葉に自分でもビックリしてるとリオネル様は理由を聞いてきた。
「あの人、夜会でリオネル様の悪口を言ってて…」
「レティシアは優しいね。俺の為に怒ってくれてるんだね」
リオネル様に頭を撫でられた。
「レティシアに嫌われたら俺なら生きていけない。奴には少し同情するな」
「リオネル様を嫌いになる事なんて一生ありえません!!」
それにクリス様は私に嫌われても何も問題は無い。そもそも接点が無いし。
クリス様とは、もう逢いたくないけど呪いの件で逢うことになるのかしら?
お城の地下牢…。
何だか大事になっている気がする。
呪いの事は両親にも話していないのに、早く話した方が良いよね。
「レティシア?」
突然、黙り込んだ私をリオネル様は心配そうに見つめる。
「呪いの事…まだ両親にも話してなくて…」
「この後、一緒に話そうか?」
本当は一人で話さないといけないんだろうけどリオネル様に甘えてしまった。
私が呪いをかけられた時は、たまたま一緒に居た事にしてリオネル様が私の元へ転移できるのは二人の秘密にした。
お父様には、なぜ早く言わなかったのかと物凄く怒られてお母様には号泣された。
そしてリオネル様にとても感謝していた。
二人からやっと解放されてリオネル様を見送ると次はアレクシアが烈火の如く怒り狂っていて、お父様に言われた様な事を延々と説教された。
心配してくれたのが嬉しくてお礼を言うとアレクシアは真っ赤な顔して「怒ってるのに何でお礼を言うのよ!!」と言いながら自分の部屋へ帰っていった。
ふぅー。
自分の部屋でお茶を飲んで一息ついていたら、いつもは気配を消しているエマが私を鋭い視線で見ていた。
怖い。
「エマ、その心配をかけてしまってごめんなさい」
「お嬢様は、エマの命でございます。これから先、何かありましたらすぐにエマに教えて下さいませ。命に代えてでもお守り致します」
エマ…?
目が本気で少し怖い。
「あ、うん。ありがとう」
エマの視線が怖くて軽く流してしまった。




