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「え?」
「殿下、毒見も無しに食べ物に手を出すのは危険です!!」
側近候補だから止めるのは当たり前なんだけど…何だか私が毒を入れたと思われているみたいで悲しい。
「そのお菓子は全部、俺の物だから勝手に食うな」
リオネル様は私の頭を撫でるとクッキーを一つ食べた。
「もしかしてレティシア嬢の手作り?リオネルが食べたのなら安心だろう?」
王太子殿下はマフィンを手に取り食べ始めた。
「凄く美味しいよ」
ニコニコしてマフィンを食べてる王太子殿下をリオネル様は不機嫌そうに眺めてる。
「で、貴方はどうしてここに?」
「庭園の見回りをしていたらルグラン家の馬車が停まってたからね、リオネルが居るのかと思って、まさかレティシア嬢と一緒とは思わなかったよ」
王太子殿下は私を見てニッコリ微笑んだ。
「何か用があって探していたのですか?」
「レティシア嬢も居て丁度良かった。貴女を呪っていた術者は今、城の地下牢に閉じ込めているから、とりあえず安心して良いよ」
術者と聞いて身体が震えてくる。
リオネル様が、そっと抱き締めてくれて「城の地下牢は強い結界で呪いはかけられないから安心して良いよ」と教えてくれた。
「しかし城の地下牢に入れるとは思いませんでした」
「伯爵令嬢を呪った罪にしては重いかもしれないけど我々が思っていた以上に強力な術者だったみたいでね、父上が地下牢に入れると決めたんだ。首謀者も術者が地下牢に入れられたとなると大人しくなるだろう」
私がホッと息を吐くと王太子殿下は立ち上がった。
「デートの邪魔をしてすまなかったね。お菓子、美味しかったよ」
王太子殿下の後ろに居た側近候補の…名前、何だったかしら?
魔法省長官の息子が私の前に来た。
「レティシア嬢、先程は失礼な事を言ってしまい申し訳ありませんでした。貴女の作ったお菓子に問題があるわけでは無くて…殿下をお守りするのが私の役目なので…」
「大丈夫です。気にしてませんので…えっと…あの…」
「クリス・ルーセルです。どうぞクリスとお呼び下さい」
「クリス様のお役目は心得ておりますのでお気になさらずに」
「レティシア嬢のお心遣い感謝致します」
殿下とクリス様は、お供を連れて見回りの続きをしに行った。




