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呪いをかけられているなんて恐ろしくて誰にも言えなかった。
あの胸を刺すような痛みを思い出しただけで身体が震えてくる。
リオネル様は逆恨みだと言ったけど例え逆恨みでも私は誰かに恨まれている…。
リオネル様の声が聞きたくてペンダントを見つめていると淡く光った。
『リオネル様?』
『レティシア、大事な話があるんだ。今から行っても良いかな?』
『はい、かまいません』
転移してきたリオネル様に吸い寄せられるように抱きついた。
今、私が安心できるのはリオネル様の腕の中だけ…。
「レティシアもう大丈夫だよ。呪っていた術者は捕らえられたよ」
「本当ですか?」
「首謀者については口を割らないが、術者が居なければ奴は何もできない」
「首謀者と術者は別なのですね…」
「口が固くて決して名前を言わないんだ。それでも必ず証拠を見つけるから」
私の不安を感じたのかリオネル様の腕に力が入った。
「大丈夫だよ」
リオネル様の腕の中は安心する。
ずっとこうしていられたら良いのに…。
名残惜しかったけどリオネル様から身体を離すと額にキスをされた。
「よく眠れるおまじないだよ」
私の頭を優しく撫でるとリオネル様は帰っていった。
不安な気持ちは消えないけどリオネル様が大丈夫だと言ってくれたので、その言葉を信じて私は眠りについた。
リオネル様のおまじないが効いたのか珍しくぐっすり眠ることができて翌朝、エマに「顔色が良くなりましたね」と言われた。
エマにも心配をかけていたみたいで少し反省。
あの日以来、部屋に閉じ込もっていたから他のみんなにも心配をかけていたかもしれない。
お詫びに久しぶりにお菓子を作ってみんなにご馳走する事にした。
前世の記憶のおかげかお菓子作りには少し自信がある。
何をしてもアレクシアに敵わないけどお菓子作りだけは私の方が得意。
厨房へ行きお茶の時間に合わせて使わせてもらえるようにお願いをし、クッキーを焼こうと準備をしていたら厨房のみんなが手伝ってくれて久しぶりに楽しい時間を過ごすことができた。
クッキーは大好評でみんなあっと言うまに食べてくれた。
今度、リオネル様にも食べてもらいたいな。




