28.side アレクシア
ロラン様とレティシアと入学前の適性検査を受けに学園へ行くとレティシアの婚約者リオネル様がお手伝いをしていた。
リオネル様は、とても魔力量が多いと聞くから当然ね。
二人の関係はとても良好のようでお互いの存在に気付き微笑みあっていた……のにレティシアの肩がビクリと震えた。
リオネル様の側にいる金髪の女が、物凄い形相でレティシアを睨んでいる。
女の態度でリオネル様へ好意を寄せているのが分かる。
しかし婚約者が居る男性を好きになるのは仕方ないけど関係が良好な婚約者を憎らしげに睨み付けるのはただの逆恨みでは?
三人の関係性に気付いたロラン様が思わず苦笑している。
私はレティシアの手を引いて検査の説明を受けに奥へ進んだ。
微かに震えているレティシアの手を握っているとリオネル様がレティシアを迎えに来た。
私の手を離してリオネル様の元へ行こうとするレティシアを引き寄せてリオネル様の前に立った。
「リオネル様、私の妹をよろしくお願いしますね」
「ああ、もちろんだよアレクシア嬢」
リオネル様の目を真っ直ぐ見て言うと一瞬驚いた表情をしたけどすぐに私の意図を理解したようで力強く返事をしてくれた。
「ロラン様、私はあちらの女性の所で適性検査を受けてまいりますわ」
さっきの金髪の女が手伝いをしている場所を言うとロラン様は「何かあったらすぐに呼ぶんだよ」と私の頭を撫でて適性検査を受けに行った。
「では水晶に手をかざして下さい」
魔法水晶に手をかざすと眩しく光った。
「これは素晴らしい魔力だね。君が入学するのを待っているよ」
「ありがとうございます」
魔法講師の男性は嬉しそうに私に話しかけるけどその後ろで金髪の女はリオネル様とレティシアの方を気にしている。
この後、何事も無ければ良いのだけれど…
「アレクシア終わった?」
「ええ終わりましたわ」
ロラン様が迎えに来てくれた。
レティシアを連れてさっさとこの場から離れようと迎えに行くとリオネル様と帰る事になったと言われた。
ロラン様とリオネル様に挨拶をしに行くと金髪の女が嬉しそうにリオネル様と後片付けをしている。
「リオネル様、妹をよろしくお願いしますね」
チラリと金髪の女を見るとリオネル様も気づいている様で…。
「ああ、分かっているよ。アレクシア嬢もロラン殿も気を付けて」
検査室を出ると思わずため息をついてしまった。
「アレクシア、妹を守って偉かったよ」
ロラン様が私の頭を撫でた。
「わ、私は姉として当然の事をしたまでですわ!!」
そう姉として妹を守るのは当たり前の事!!
「後はリオネル様が守ってくれるから俺たちは大人しく帰ろう」
「そうですわね、それにあのペンダントもありますしね…」
「ペンダント?」
レティシアのペンダントは魔力があまり無いとただのペンダントにしか見えないけど魔力が多い人間が見ると、まぁえげつない事になっている。
リオネル様の魔力がいくつも付与されておりレティシアの身を守る事ができる。
しかも防御だけでは無くてきちんと攻撃魔法も付与されてるのが恐ろしい所。
「リオネル様の愛が付与されておりますのよ」
にっこり微笑むとロラン様は納得したように微笑み返してくれた。
しかし我が妹ながら、とんでもない婚約者に愛されているわね…。




