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ダイアナには気にしなくて良いと言われたけどライラを泣かせてしまったのは間違いなく私なのよね……。
帰りの馬車の中で落ち込んでいるとリオネル様が頭を撫でてくれた。
「レティシアは悪くないよ」
リオネル様もダイアナと同じ様な事を言って私を慰めてくれる。
「いつまでも落ち込んでないで、そろそろこっちを見て欲しいな」
リオネル様は私の顔を自分の方へ向けると、にっこり微笑んだ。
こ、この笑顔は、少し機嫌が悪い時の笑顔。
「リオネル様、ごめんなさい…。リオネル様と一緒に居るのに…」
「俺は、レティシアと一緒に過ごせるの楽しみにしてたのに…」
「ごめんなさい…」
視界が滲むとリオネル様が目蓋にキスをした。
「少し虐めすぎたね。でも楽しみにしてたのは本当だよ?今日は、俺以外の事を考えたらダメだよ」
「…分かりました」
基本的にリオネル様の事しか考えてないなんて恥ずかしくて言えない。
でも、いつも通りリオネル様の事を考えていれば良いのよね。それなら簡単だから良かった。
「あの…リオネル様…?」
私は何故、リオネル様の膝の上でお茶を飲んでいるのでしょう?
「ん…?どうかした?」
離れようとしてもリオネル様の左手がぎゅっと引き寄せる。
「リオネル様…恥ずかしいです…」
「今日は一日、此処が君の定位置です」
「!?」
一日、リオネル様の膝の上なの?
「レティシアが寄り道するから、一緒に居る時間が減ってしまったんだよ?」
「うぅ…」
それを言われると何も言えない。
「早く一緒に暮らしたいね」
素直に頷くとリオネル様が、私を抱き締める腕に力を込めた。
「リオネル様…?」
「可愛すぎてムリ…」
リオネル様が小声で何か呟いたけど、よく聞こえなかった。
「さて、そろそろかな」
リオネル様は私を抱き上げたまま立ち上がった。
「あの…?」
「散歩に行こう」
散歩って言っても…私、抱っこされていくの?
困惑したままリオネル様に庭に連れていかれると…。
「この花は夕方に咲く珍しい花なんだよ」
「キレイな花ですね」
花壇には水色の花が咲き乱れていた。
「もう少しすると不思議な現象が起きるよ」
「不思議な現象……?」
「もうすぐだよ」
水色の花に夕日が当たると…キラキラと反射しながら紫色に変わった。
「色が変わった…?」
「夕日が当たると色が変わって見えるんだよ」
「水色から紫色に変わるんですね」
嬉しくて頬が緩む。
「どうしてもレティシアに見せたくて…間に合って良かった」
そっか…。
だから私が寄り道するのを嫌がってたんだ…。
「リオネル様、ありがとうございます。凄く嬉しいです」
リオネル様の頬にキスをすると…。
「そこでは無くてここにして欲しいな」
リオネル様の人差し指が唇を指す。
そ、それは…私には…まだ、ハードルが高くて……。
「リオネル様からして下さい」
「可愛いから許してあげる」
リオネル様の唇が何度も重なる。
私の顔が赤いのは夕日が当たっているからです!!
リオネル様の口付けでフラフラになってしまったので、帰りもリオネル様に抱っこしてもらいました……。




